フードの男
俺の隣に座ったフードの人物は、席に着くなりフードを外した。
ここでエレガントなサウンドエフェクト。
そいつは、金髪のウェーブしたロン毛、クールな眼にはクールな眼鏡、尖った顎に不敵な微笑みを浮かべた、一部のお姉さまたちが、一発でクラッと逝ってしまう美形キャラだった。
もちろん男ね。
「君は先程の勇者か」
多分耳元で囁かれたら昇天しそうな魅惑のボイス。
俺は男で良かった、と思った。
「あ、先ほどはどうも」
「君は続けるのかね?」
「あ、ええはい」
「そうか・・・・近頃は脱落者が多くてね・・・・上のレベルはそこそこ充実しているのだが、中級レベル、特に初級から中級に上がったばかりの、20レベル台が深刻な人材不足なのだよ」
「そうなんですか」
「私の妹も冒険者を始めたのだが、パーティが組めなくてレベルが中々上がらない、と愚痴をこぼしていた」
この男の妹なら、さぞかし美形に違いない、と俺の妄想は膨らむ。
「あ、そうだ、自分はマサムネといいます」
俺は自己紹介をした。
何しろパーティを組んだ時に現れる表記がクラスやら職業なので、名前を知ることが出来ないのだ。
「私は単なるレンジャーだよ」
「あ、そういった決まりですか」
「そうだね。固定パーティでも組まない限りは」
「そりゃ失礼しました」
「いや、構わない・・・・ところで、君は私の妹のパーティに固定で入る気は無いかね?」
「え?」
「先日勇者に逃げられたので、冒険に行くことが出来ないのだ」
「逃げられた・・・・」
「正確に言えば、勇者であることを辞めた。そしてこの世界から消えた」
「ああ・・・・」
「この世界では勇者が居なくては冒険が始まらないからね」
「なるほど」
「かと言って、野良パーティに入ろうとしても、深刻な勇者不足でままならない」
「ほうほう」
「君は見どころがある。勇者としての」
「俺の、どこに見どころが?」
「くじけそうに無いところだ」
「ああ、それですか・・・・」
「確かに一度の戦闘で50回も死ねば、くじけるかも知れぬが」
「ごじゅっかい・・・・!」
「どうかね?考えておいてくれないか」
50回も味方に殺されるパーティは如何なものか、とは思ったが、固定パーティなど中々作れないとかウンチクおじさんも言っていたし、取り敢えず、このイケメンの妹に会ってみようか、と俺は決めた。




