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epilogue
絵本で視た太陽の色は、ランプの放つ光の色よりも淡い色だった。
けれど、街の空に新たに生まれた太陽の色は、もっと温かな赤橙だった。
街に昼夜が戻ったことで、再び街は大騒ぎになった。
そのおかげでマリアベルの試験日は伸びてしまって、結局当初よりも一週間遅れて行われることになった。
マリアベルは試験の日、アカデミーに顔をださなかった。
後日、顔色を赤へ青へと変えるカンタスに事情を説明しろとせめられた時、彼女は退学届を放りながら、こう言った。
「やりたい事が出来たの。せっかく太陽が生まれたんだもの。魔術に頼らなくても、植物くらい育てられるわよね」
マリアベルは呆気にとられたカンタスの顔を見ながら、トマトが好きだった二人の家族のことを思い出していた。
――自分にできることなんて、よくわからないから。
微笑む。
どうせなら、出来るかどうかわかりもしなことをやってやろう―― と。
空を見上げて、眩いばかりの灯りにそう誓った。




