表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
名も無き戦場  作者: 六花
レイ編
6/10

レイ編第二話「暁光の月 二の日」

朝だった。


荷馬車はすでに森の中を進んでいる。


風は重く、湿っている。


(少し深い)


レイは手綱を握ったまま前を見ていた。


特に何も考えてはいない。


いつも通りだ。


荷は軽い。

道は悪くない。

問題もない。


「……また少し遠くまで行く」


誰に向けるでもない言葉だった。


荷台の中で気配が動く。


拾った男。


目を覚ましたらしい。


(生きている)


それだけで十分だった。


男は荷台から身を乗り出し、周囲を見ている。


視線は速く、無駄がない。


(悪くない)


その程度の評価。


森に入る。


空気が変わる。


(いる)


言葉になるより先に分かる。


レイは馬車を止めた。


剣を抜く。


「アブナイ」


必要以上に説明する気はない。


伝わればいい。

伝わらなくても構わない。


茂みが揺れる。


獣だ。


小さいが数がある。


(またか)


面倒ではない。


ただの処理だ。


飛びかかってくる。


一歩。


剣を振る。


一体目。

二体目。


それだけで終わる。


いつも通りのことだ。


後ろで気配が動く。


男。


避けている。

見ている。

動いている。


(生きている)


それだけでいい。


戦闘は短く終わる。


森はすぐに静けさを取り戻した。


レイは剣を収める。


血を払う。


そして、酒を飲む。


(習慣)


意味はない。

理由もない。

ただの癖だ。


後ろから何か声がした。


意味は分からない。


だが、敵意ではないことだけは分かる。


(どうでもいい)


そう思う。


それでも完全に切り捨てるほどではない。


横目で一度だけ見る。


男はまだそこにいる。


生きている。

壊れてはいない。


「……別に」


そう呟いて前を向く。


馬車は再び進み出す。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ