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最終回です。
「……ごめんなさい。佐藤くんの気持ちは凄く嬉しい。だけど、楓を好きな気持ちは大切にしたいんだ。私が生まれて初めて本当に好きになった人だから」
佐藤くんの唐突な告白。嬉しいはずなのに涙が零れ落ちた。
ーーああ、また私は誰かを傷つけたんだ。
「たとえ、報われなくても?」
「うん。……私は楓に好きな人が出来たとしても、ずっと好きなままだと思う」
「ずっと?」
「大袈裟かな?でも、私の中で気持ちが整理できない内は、ずっとこのままだと思う。意外と未練がましいから……」
「そっかぁ。じゃあ、仕方ないか」
彼は何か吹っ切れた顔をして笑った。そして、私の後ろに目線を送る。
「そう言う事だけど、神白はどうするの?」
「えっ⁉︎」
私は彼の目線の先を追うように振り返る。そこには、楓がスマホを握りしめ立っていた。
ーーなんで?
今日は、休みのはずなのに。いや、それよりいつから居たの?どこまで、話を聞いていたの?自然と汗が吹き出す。終わった。本当に終わった。
動揺しまくりの私を見もせず、楓は佐藤くんに歩み寄る。
「佐藤、さっきのメールはなんだ」
「天凰寺に椿さんに協力してくれって言われてたし、今しかないかなと思ってさ」
司?椿さん?何?どういう事?佐藤くんと司、椿さんはお知り合いなの。いつの間に?佐藤くんのコミニケーション能力と交友関係が半端ない!だけど、協力って何?
「だからって、やっていい事かよ」
「?」しか浮かばない私を後目に楓さんが激おこされていますね。なんだかよく分からないが今なら逃げれそうだ。よし、逃げよう!これからの事を考えると、色々大変だが、とりあえず仕切り直しだな。楓が佐藤くんに気を取られている内に、私はダッシュで逃げた。
かつてない全力疾走に膝が笑っていやがるぜ。などと、独言る。私が逃げた先は、空き教室ばかりの廊下。ひとっこ一人いない場所で、息を切らし頭を抱える。
全力でやらかした!いや、まだ希望はある。私達の会話を聞いていない可能性もある。いつから居たかも分からないし、ちょっと離れた位置にいたもんね。きっと、聴こえてないはず。
「よし、大丈夫だ!」
「何が大丈夫なんだ?」
「うわぁっ!か、楓さん⁉︎」
振り返れば奴がいた!
「何でもないよ。それより、佐藤くんとの話はもうよかったの?」
ああ、と歯切れの悪い返事をする彼と目が合う。
「麗華、一つ聞きたい事があるんだが……」
彼の聞きたい事なんて、百も承知だ。やっぱり、佐藤くんとの会話は聞かれていたようだ。
「佐藤くんとの会話、聞いてたんだよね?だったら忘れて、ただの失言に妄言だから」
話はそれだけ、それでお終い。無かった事にしよう。それが一番いい。私は楓の横を何食わぬ顔で通り過ぎようとする。
「無かった事なんかに出来るかよ!」
彼が私の腕を掴み、引き寄せる。その勢いが余りにも強くて楓との距離は近い。それと無かった事には出来ないと彼に拒否される。
「どうして……」
言葉にしてみたものの、聞いた方は分かりましたと納得出来ないのも分かりきっている。だけど、どうせフラれるのだから楓にとっても私にとっても無かった事にするのが、お互いにダメージを減らす最善の策じゃないか。
「お前は、それで良いのかよ」
良いはずなんか無い。そんなの分かりきっている。 だけど……。
「私は、いっぱい迷惑掛けたから人を好きになる資格なんてないよ」
「誰だって誰かに迷惑を掛けて生きてるだろ」
以前、彼が掛けてくれた優しい言葉。だけど、そうじゃないんだ。私は転生者だから、事の顛末を知っているからもっと上手くやれたと思う。だけど、全てを諦めて全てをぐちゃぐちゃにした。だから、誰にも言えないけど迷惑を掛けて生きる重みが違う。知っているからこそ、出来た事がいっぱいある。私はそれに気づくのが遅過ぎた。
「誰しも迷惑を掛けて生きてるかもしれないけど、私はそうなる事を知っていて迷惑を掛けたんだから最悪だよ」
「だったら、俺も同じだ」
楓は苦虫を噛み潰したような顔で告げる。
「俺はお前に酷い事をした」
「楓は私に酷い事なんてしてないよ。いつも、私を助けてくれてるじゃない」
「違う!そうじゃない。司との婚約破棄の時、俺だけはお前を助けてやる事が出来たんだ」
「そんな事出来るはずないよ。だって、あれは……」
私が望んでした結果だ。椿さんだって教師達に止められていたし、楓だって同じじゃないか。そう言いかけようとしたが、彼の言葉に遮られた。
「あの時、司を止めようと思えば俺だけは止められたはずなんだ。いつも、司は俺の話だけは聞いてくれたからな」
たしかに、楓の言う事なら司も信じたかもしれない。だけど、そんなの後付けの理由だと思う。
「いや、違うか。俺は麗華が虐めをしていないのも知っていたし、以前から司に婚約破棄をするか否か相談を受けていたんだ。だけど、止めようともしなかった」
楓はそう言って言葉を区切ると私を真っ直ぐ見つめた。その表情は、辛そうだ。
「どうして、そんな事を……」
彼がまるで私と司の婚約破棄を望んでいたようにすらとれる。楓は、私の事が嫌いなのかもしれない。再会した時も意地悪だったもんね。私、馬鹿みたいだ。少し優しくされ調子に乗って、勝手に好きになっておまけにこの有様だ。
自分の浅ましさと愚かさで涙が出る。これ以上、彼と顔を合わせていられない。私が目を背けると、捕まれていた手が緩み私の頬にソッと触れた。
「ごめん。そんな顔をさせるつもりは無かった。ただ、俺はお前に振り向いて欲しかっただけなんだ。俺はお前の事が好きだから……」
「楓?」
今、なんて言ったの?私の事が嫌いではないの?私は彼が言った意味が理解できず、思わず楓の表情を伺う。
「ひいっ!」
変な声が出た。だって、仕方がないよね。あいつ、キラキラオーラ全開だし何か色っぽさもある。そんな表情でこっちを見てるんだもの、私のキラキラ耐性を余裕で貫いてくるんだから悲鳴の一つも上げたくなる。
「お前、なんて声を出しているんだ」
「ご、ごめん。何か楓さんが余りにもそのアレ過ぎて」
「アレ?何だそれ。人が大事な話をしている最中に……」
楓は、話を途中で止めるとわざとらしく溜息を吐いた。
「真面目な話をしていたつもりなんだが、俺の話はどうでも良かったか?」
「いえ、そういう訳ではないです。楓さん、もし宜しければ続きを話して頂けないでしょうか」
私の奇声と共に重苦し雰囲気は、いつの間にかなくっていたのだけどキラキラオーラフルバーストは無くなっていないのですね。何だか目を合わせ辛いどころか、キラキラオーラに毒されて楓にラブでキュンキュンしてしまいそうです。いや、私はすでに楓さんラブです!
「話が脱線したけど、要約するとアレだ。俺はお前が好きだから司と別れて欲しいかっただけだ。婚約破棄なんて麗華が辛い思いをすると分かっていても、それを好機と思う俺なんか幻滅するだろ?だから、俺こそ麗華に好きになって貰えるような人間じゃないって言いたいんだ」
「じゃあ、私に対し優しかったのは罪滅ぼし?」
「そうかもな。だけど、それでも俺の事を好きになって欲しいと望んだからここにいるんだ」
何時もの口調で話す楓。だけど、表情は真剣そのものだった。
「幻滅なんかしないし、楓の事を嫌いなんかならないよ。だって、私はそんな楓もす……」
好きだと伝えるより先に、楓の唇が私の唇に重なった。
「麗華、好きだ。俺と付き合ってくれないか」
人生初のキスと告白に、頭が真っ白になり言葉が出なかった。だけど、何か返事をしなければと気ばかり焦り一度頭を縦に振るに終わった。私の返事に楓は、嬉しそうに微笑んでくれた。
告白騒動から暫くたち、代わり映えのない穏やかな日々を私達は過ごしていた。いや、少しはあったか。二人きりの時は、甘々な楓さんが顔出すようになった。あかん、思い出しただけで顔に火が付きそうだ。それに、ニヤケてしまう。
「新学期そうそう変な顔して、どうかしたか?」
楓が訝しげにこちらを見ている。私は緩んだ顔を慌てて引き締める。
「な、なんでもないないよ」
「麗華は、三年に進級しても相変わらずだな」
新学期が始まってもクラスは変わらない。なので楓とクラスは一緒だ。教室で全校集会を待つ傍ら、暇なので楓と綾ちゃんとたわいも無い話をしている最中に彼の唐突な発言。
「そう?少しは成長したと思うけど」
「どこがだよ?」
私はそっと胸に左手を置き微笑む。
「胸よ!」
「全く成長してないな」
「いや、いや、本当に成長したからね。決して太った訳ではなくガチなヤツだから」
楓は呆れ顔でわざとらしく溜め息をつく。なんでや?成長してるよ?
「多分、神白くんが言いたい事って違うと思うよ」
「違うの?綾さん、詳しく教えて下さい」
私は綾ちゃんの両手を握り締め懇願する。
「林、わざわざ教えてやらなくてもいいからな」
「ちょっと、なんでよ」
「私もレイレイには何となくだけどこのままでいて欲しいかな」
綾ちゃんにそう微笑まれたら、諦めるほかない。納得はしていないけど……。
「麗華、それよりいいのか?」
「おっと、そうだった。私、そろそろ行くね」
「レイレイ、何かあるの?」
「うん。何だかよくわからないけど新入生代表のコが少し遅れているらしくて、お出迎えと体育館までの案内」
「そうなんだ。でも、なんでレイレイ?」
「私も分からないけど、先生に頼まれたから仕方がないよ」
綾ちゃんは不思議がっていたけど、私も同じ気持ちだ。楓は疑問にも思っていない様子だ。そう言えば、鳳学では生徒会が司や楓をお出迎えしてたっけ。多分、楓には当たり前の事なんだろう。普通はそんな事やりません!
「俺達は先に行ってるから、しっかりヤレよ」
「レイレイ、頑張って」
「何、その激励。私、まるでダメな子扱い」
綾ちゃんはそんな事ないと否定していたけど目が泳いでいるし、楓に至っては可哀想な子を見る目をこちらに向ける。
「ち、ちょっと二人とも?」
冗談っぽく怒ると、いいからさっさと行って来いと楓に煩わしそうに教室から追い出されてしまった。
彼氏彼女の関係になっても、本当に変わらない。二人の時以外でも少しは意識して欲しいよ。そう言えば付き合い始めた頃、クラスメイトの反応が薄かったのを思い出す。「えっ⁉︎まだ、付き合っていなかったの?」と予想外の驚きはあれど、誰からも祝福されなかった。周りからすれば、今更感が強かったらしい。綾ちゃんも、そんな感じだった。
佐藤くんは楓経由でいつの間にやら司と仲良しになっていて、椿さんと司にチャンスが有れば二人を煽るよう指示を受けていたらしい。その時、司からキラキラオーラを習得したのだろう。楓があの時、私達の前に現れたのも佐藤くんが楓にメールを送ったからだった。内容までは教えてくれなかったが、彼から謝まられた。まあ、椿さんからの指令なら仕方ないと私は佐藤くんを許した。なんといっても、悪ノリが度過ぎる人だからね。「でも、好きだったのは本当だよ」と彼から念を押された時、私は固まってしまった。それを見た彼は慌てて「だけど、神白と蛇窟さんが初めてバイト先に来た時に、神白から俺の女に手を出すな発言でとっくに諦めてたよ」と付け加えた。何だか気恥ずかしさと後ろめたさが残るものの、私と佐藤くんは相変わらず良い友人関係を気づけている。
私達の家族の反応も、反対されるどころかすんなり受け入れられた。椿さんは元より楓が昔ら私を好きだと知っていて、婚約破棄以降は勢力的に動いていたらしい。「楓に合うのは、レイレイぐらいだから私も嬉しよ」と喜んでくれた。だけど、楓には私なんかよりももっといい人がいっぱい居ると思うのだが、その考えは椿さんの発言で否定されてしまった。「私は貴女を気に入ってるの。だから、レイレイ以外は全員却下。全力阻止よ!それでも、付き合う根性を見せたなら認めるけどね」笑顔で椿さんは言っていたけど、目は笑っていなかった。私はゲームの椿さんがラスボス扱いされる理由がスタッフの悪ノリだけでは無かった事をその時知れた気がした。
一番問題だと思っていたシュウくんは、意外にもすんなり受け入れてくれた。「辛くなったら、いつでも俺のところに戻って来ればいいよ」と熱い抱擁。都合のいい男発言に、私は罪悪感を募らせたのは言うまでもない。シュウくんのイチャイチャスキンシップも相変わらずだ。
まあ、何はともあれ私は平穏な日々を手に入れたと思うのだがどうなんだろうか?新入生代表さんを待っている間、そんな事を考えていると私の後ろ手に組まれた腕に何か当たった。それと同時に私の首に誰かの腕が回される。
「会いたかったよ」
私の耳もとで、囁かれた言葉はとても甘美で胸を熱くする訳も無い。だって、声の主は……。
「えっ⁉︎シュウくん?なんで?ウチの制服着てるの?」
自分の弟だしね。だけど、すごく驚きはした。
「驚いてる姉さんも可愛いね」
「う、うん。ありがとうね」
じゃないからな私!会うたび甘々な雰囲気を作るのをそろそろ止めようよ弟よ。そして質問に答えてください!話が噛み合っていないからね。
「これから二人で、どこか行こうか?」
これではシュウくんのペースに飲まれる。いかん、いかん!ここはもう一度同じ質問をし軌道修正をすると、少し不貞腐れながら彼は答えてくれる。
シュウくんの話を要約すると私と同じ学校に行きたかったそうだ。実際には、説明する気ゼロの甘々な会話が大半だったけど……。
「じゃあ、新入生代表はシュウくんがやるの?」
「そうだよ」
「そっかぁ。じゃあ、立派に新入生代表の挨拶をしているカッコいいシュウくんが見れるんだね」
「まったく、姉さんには敵わないな」
敵わないのは、私の方なんだけどなぁ。上手く揺動には成功したらしく、仕方がないと笑顔で答えるシュウくんは私と手を繋ぎ体育館まで向かう。何故か恋人繋ぎで恥ずかしい。だけど、唐突に私とシュウくんの地獄のスィートタイムは終わりを迎える。
「痛ぁっ!」
可愛いらしい声が聞こえたと思うと、私に歩幅を合わせていたシュウくんが、二、三歩勢いよく前に出た。そして勢いを殺すように立ち止まる。それに引っ張られるように前に出た私はシュウくんが手を離さないもんだから、今度は後ろに引っ張られバランスを崩し尻餅をついた。
「ぐぎゃぁ!」
さっきの可愛いらしい声とは対照的な謎の奇声。私はいったいどこから声を出してるんだ。そして私に駆け寄ったシュウくんは、とても心配そうだ。
「私は大丈夫だから。それより……」
さっきから後ろで、尻餅をついて起き上がろうとしない女生徒は大丈夫だろうか?彼女、ご開帳してます。パンツが見えちゃってるよ。だけど、シュウくんは彼女を見ようともせず私に手を貸して立たせてくれる。お姉ちゃん的には嬉しいけど、そのまま体育館に向かおうとせずあの子の心配もしようね。
「あなた、大丈夫?」
「えっ!あ、はい」
声も可愛いけど、容姿も小柄ですごい美少女だ。ただ、髪の色がピンクゴールドなのが気になるけど。後、話しかけている私よりシュウくんが気になるみたいで、さっきから彼の顔をチラチラ見ている。シュウくんは超絶イケメンさんだから、嘸かし気になっちゃうよね。そして、シュウくんはと言うとーー。
うげぇっ!
シュウくん、なんで不機嫌?無表情なんだけど!いつも以上に無表情なんだけど。寒気すら感じる。いかん、このままでは私の身が持たない。
「怪我がないなら安心ね。立てる?」
私は彼女を慌てて立たせる。
「ごめんなさい。私、急いでて……」
「お互い怪我も無かったし、気にしないで。それより、このまま真っ直ぐ行けば体育館へ行く渡り廊下に出るから一緒に行かない?」
「えっ⁉︎わ、私は大丈夫なので、お構い無く」
そう言って、女生徒は走り去って行った。たぶん、彼女が原因なのは分かるけど不機嫌なシュウくんと二人きりになりたく無くて、彼女をダシにしようとしていたが無理だったみたいだ。
「どうしたら、こんな一直線の廊下でぶつかるんだよ」
苛立ちを隠せないのか、低くドスの効いた声でシュウくんが独言る。
「そんな事言ったら駄目だよ。世の中、色々な人がいるから」
不機嫌を隠しきれないシュウくんに、小さく溜め息を零すと宥めるつもりでシュウくんの頭を撫でた。
「全校集会が始まっちゃうから、私達も行こうか」
不機嫌なシュウくんがこの程度で機嫌が良くなるとは思えないので、みずから仕方なく手を差し出す。彼が私の手を握る。シュウくんはチョロかった。何にしろ手を繋ぐとシュウくんの機嫌がたちまち良くなったからだ。そうして、壇上近くの入り口まで案内した私はシュウくんに別れの言葉を告げる。
「私はあっちから入るから、もう行くね」
名残り惜しそうに手を離すシュウくんは、ありがとうと微笑む。そのまま、一緒に入ってもよかったが、極力目立ちたくない私は壇上とは逆の入り口にそそくさと向かった。
「ぐぎゃぁ」
はい、本日二回目の奇声。こればっかりは、仕方がない。私の進行方向、通路の端を歩く男子生徒がいて空いてる方を速足で通り抜け用としたら、その男子生徒がふらっと私の方に寄って来てぶつかったのだ。
慌てて謝る私に対し「俺の方こそごめんね。気づいてあげられ無くて」と言った彼は妙に老けてーー大人びていて長身の銀髪イケメンだった。あと、キラキラオーラスキルもあるようです。
「気にしないで、私も急いでたから」
「そう?だけど、気づいていあげられなかったのは本当だから」
そう言って、彼は私の髪をそっと触れる。ギャアー!何このナンパなキャラは?現実にこんな奴いるのか?寒イボたつからやめてよ。
「お前、何やってるんだ。さっきから、姿が見えないから探しに来たのに」
私達の前に、まだ幼さを残すヤンチャな感じの男子生徒が呆れ顔で銀髪イケメンを見ていた。彼もイケメンだが髪が赤い。
「お前、またナンパか?どこに行ってもやる事が変わらない奴め」
人を見下すような冷たい視線をレンズごしに送るインテリ系イケメンもいる。ただ、彼の髪は深緑色をしています。
「そんなじゃないよ。すみません、騒々しくて。また後日、謝罪に伺いますね。蛇窟センパイ」
銀髪イケメンが、私にウインクをして去っていった。なんで、私の事を知っているんだ。
「まじかよ!アレが蛇窟麗華かよ」
「噂とは大分印象が違うものだな」
「俺、タイプかも」
「やめときなよ。お前じゃガキ過ぎて釣り合わないよ」
「女を取っ替え引っ換えしてる奴も駄目だと思うんだが」
「そうだ!そうだ!」
彼らはとんでもない会話を去り際までしていたが、私の頭には入って来なかった。それよりも、彼らを見てある疑惑が浮かんだからだ。
ーーまさかの続編⁉︎
そんなはず無いよね?この学園を舞台にキャッキャウフフの恋愛が行われるのか。いや、シュウくんは続編のメインな訳だし、続編もあり得るか。だけど、流石にお役ご免の悪役令嬢には関係ないよね。悪役令嬢リサイクルとかあったら私が困る。
じゃあ、イカれたピンクゴールドの美少女がヒロインか。すでに関わりを持ってしまったし、私があのコの障害になる悪役令嬢の可能性は大いにあり得る。後、一年で卒業なのになんて事してくれるんだ製作陣!前情報が無さ過ぎて分からない。
私はめくるめく思考の渦に飲み込まれ、軽い眩暈を覚える。だけど、願わずにはいられなかった。
神様、どうか私に安寧を……。
読んでくださった方々、本当にありがとうございました。




