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記憶喪失+一目惚れ=下僕

久しぶりに書いていきます。

焦らず、のんびりと行きますのでよろしくお願いします

 一目惚れだった。



 冷たい煉瓦の壁を背に薄暗い路地に座り込んでいた冬弥の前にとんでもない美少女が現れた。


 健康的な白い肌の上にクリクリとした大きな瞳と、小ぶりな口と鼻が完璧な配置に並んだ顔。

サイドテールに纏めた癖のない髪からは石鹸の甘い香りがする。

 しかし、それ以上に魅力的なのは、その胸。

程よい大きさに育った胸は清楚でかつ豊満。神の乳とも言うべきバストに冬弥のテンションは上がる。それでなくてもとんでもない美少女である。大人になりかけの少女のアンバランスな色香に冬弥はやられていた。

 

「えっと、こんにちは」

 座り込んでいる場合じゃないと、がばっと音が鳴るような勢いで冬弥は慌てて立ち上がった。可愛い女の子がいたら気持ちが盛り上がる、どんな時でもだ。


「・・・こんにちは」

 急なテンションの変化からだろう、彼女の声には警戒するような響きがあった。怪しむような目を向けながらも挨拶を彼女は返す。


 軽いジト目すら可愛くて、ただ挨拶を返されただけなのに冬弥の心の中は有頂天だ。

やり手のナンパ師ならここからお茶に誘うとか、そこからホテルに・・・とかやってしまうのだろうが、たぶん冬弥にそんなスキルはない。それに、お茶に誘うにしても冬弥には解決すべき問題があった。


「ところでなんだけど・・・ここはどこだ?」


「え?えっと、それはどういう意味かしら?」

 自然な雰囲気で冬弥は言ったつもりだったのだが、その程度で言葉の突然さを誤魔化せるはずもなく、彼女は素で驚いたようだ。その声は挨拶の時よりも、とても澄んでいて愛らしい。


「そのままの意味だよ、俺がいる場所は何て所なんだ?」

冬弥は、笑いながら地面を指さし場所を示して見せる。


 実は冬弥的には重要な話をしているはずなのだが、冬弥の頭の中には目の前の美少女と話すことが、ほとんどを占めていた。ぶっちゃけると質問の内容はついでだった。

 自分でも呑気なものだと冬弥は思う。先ほどまでは道に座り込んでしまう程度には落ち込んでいたというのに美少女にあった途端にどこかに飛んでしまうとは、九条冬弥はとてもお気楽な性格だったらしい。


「どこって・・・決まってるじゃない、トリタニア王国の王都、リースよ」

 呆れたように言う彼女と声は、やはり可愛い。


 しかし、冬弥にはその声を楽しめたのは僅かな時間だけ、完璧に聞き覚えのない彼女の言葉に冬弥は固まった。いや、わかってはいた・・・単に美少女効果で忘れていただけだ。


「どこだよ⁉トリトニア王国って⁉ヨーロッパか?、アジアか?わからねーよ!取り敢えず日本じゃないよな!」


「きゃっ、急に何よ、うるさいじゃない!」

冬弥の声が相当大きかったようで、彼女は耳を押さえて怒り出してしまった。

怒ってしまった彼女を見て、少し冬弥は落ち着くものの完全に元通りという訳ではなかった。


「悪い、ちょっと事情があって驚いたんだ。すまん」


「何よ、事情って!話してみなさい」

お冠の彼女は、体の前で腕を組むと大声を出した理由を尋ねて来た。腕を組んだ瞬間、彼女の胸がプルンっと揺れるのだが冬弥にはそれを少ししか見る余裕がなかった。


「あ~、実はな・・・」


冬弥の話は数分前にさかのぼる・・・


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 彼は気付いたらまったく知らない場所にいて、彼は見たことない制服を着ていた。辺りを見渡すと日本とは思えない煉瓦造りの家が立ち並んでいる。無意識にポケットに手を入れれば、覚えのない生徒手帳とスマホが入っている。生徒手帳の名前の欄には2年3組九条冬弥、知らない名前が書かかれていた。誰だよ、冬弥・・・っと思った彼は、取り敢えず誰かの持ち物かと思い、友人の名前を思い出してみた。だが、彼は友達の名前を一人も上げることができない。


「えっ、俺ってボッチだったの?いやいや、そんな馬鹿な・・・」


 友達が思い出せない=友達がいない。この図式が脳裏に浮かぶが、頭を振って頭からその考えを飛ばした。ならばと今度は、スマホの電話帳を開く・・・そこにはたくさんの電話番号とマイプロフィールの欄に九条冬弥の名前と電話番号。


「ふっ、うらやましいぜ冬弥、お友達がいっぱいじゃないか・・・」


 自虐に走ってみても彼の声は壁の向こうに消えるばかりだ。というか、彼も自分の状態が変であることに気が付いていた。最悪、ボッチなのは・・・まぁ仕方がない、人付き合いが苦手なんだ俺は、っと開き直ってみる。場所がわからないのは、人付き合いが苦手で、コミュ障引きこもりなのに久しぶりに外出したから道に迷ったんだと無理やり納得してみる。


「俺はコミュ障引きこもり、学校も休みがちで友達もいないと・・・。なるほど、外の世界は地獄だ、速く我が聖域へやに戻らねば」


 彼は一人で頷き、部屋に戻ろうとするが自分の家が思い出せない。

無理やり納得させてみたが、冬弥しらないひとの持ち物を持っているのは変だし、何より、自分の過去を思い出せないのは変だ。

 そのことに気が付いた彼は試しに自分の名前を言ってみようとするが・・・


「やばい、友達の名前とか家の住所どころじゃねー俺の名前すらわからん」


 名前が思い出せないことに彼は頭を抱える。これって所謂、記憶喪失、若しくはボケってやつじゃないか。


「まてまて、考えすぎだろ。えーっと邪馬台国の女王は卑弥呼だろ、ついでに黒船来航のペリーさん、んで、俺のかぁーちゃんの名前は・・・あれ?わかんない」


 思いついた人名を上げてみるが、何故か知り合い(はず)の名前は、どう頑張っても思い出しそうにない。


「日本の首都は東京、スリランカの首都はスリジャヤワルダナプラコッテ、東京デステニーランドはじつは千葉・・・んで俺ん家の住所は・・・日本?たぶん」


 自分の住んでいた国すら思い出せない状況に彼は確信した。自分は記憶喪失だと。はぁ~と頭を下に向けると、雨上がりだったのか所々に水たまりが出来ている。

 当然、いつ雨が降ったかなど覚えていないのだが、彼は水たまりの中に見覚えのある顔を見つけた。


「もしかして、俺の知り合いか⁉」


 痛いぐらいに頭を振り上げた彼だがそこには誰もいない。水たまりに写っていたのは彼の顔だからだ。なんだ自分かよと彼はため息をつきそうになるが、よく考えれば彼は自分の顔など覚えていない。じゃあ、何故見覚えがあるのか。彼は少し考えて思い出した。


「あ~そっか、生徒手帳か」


 先ほどの九条冬弥の生徒手帳に貼られていた顔写真と同じ顔なのだ。ポケットから取り出して見比べても、違いはほとんどない。強いてあげるなら写真の顔はめちゃくちゃ緊張しているようで表情が硬い。


「冬弥、写真うつり悪いな~顔が引きつってるぞ」


 彼が写真を軽く笑えば、水たまりの顔も笑う。


「んっ、ってことは俺が九条冬弥・・・なのか?」


 疑問形でつぶやいた彼は、状況を整理してみる。

 水たまりの顔は、生徒手帳の顔で、水たまりの顔は彼の顔。順番を入れ替えれば、生徒手帳の顔は水たまりの顔で彼の顔でもある。という事は彼は九条冬弥である。


「お~!俺は九条冬弥っていうのか。なんか変な気分だな」


 自分の名前が分かった冬弥はとても安堵した。


「えっと、九条冬弥、西高校2年3組出席番号11番、誕生日は11月10日16歳か、部活は帰宅部か」


 生徒手帳を読み進めると冬弥はどこかくすぐったい気分になった。自分の事のはずなのに、人のプロフィールを読んでいるようで、でも実際は自分のもので、自分を客観的に見ているような気恥ずかしさがある。それでも冬弥は読み進めた。


「住所は東京都○○区アパート滝205号室、連絡先は、090-○○○○ー○○○○携帯か」


 名前がわかったことで自分の個人情報が知れたことはとてもありがたい。冬弥は生徒手帳を持ち歩いていた自分を自分で褒めてやりたい気分だった。早速、冬弥はスマホを取り出して自分の家の電話番号にかける。よくわからないが取り敢えず家に帰れるかも、思わず壁を背に座り込んでしまう冬弥だがスマホは耳に当て続けた。


「あれ?」


 しかし、誰かが電話に出ることはなく、それどころか待機音声すら鳴らない。冬弥が画面を見てみると

「圏外」の赤文字が右上に小さく表示されていた。


「あー、なんてこった、帰れると思ったのに・・・」


 がっくりと頭を下げて、落ち込む冬弥。電波の良い所を探せばいいだけなのだが、あげられて落とされる、そのショックは冬弥にはきつかった。。

 その後、冬弥はその場に座り込んだまま、じっとしていた所を美少女に出会ったのだ。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「という訳で、俺は記憶が無くて困ってるんだ」


 自分の事情を話した冬弥は彼女の反応をうかがった。しかし、自分の記憶がないなど突然言われてもどうしようもない。それが女の子ならば尚更で新手のナンパかと勘繰られるのがオチだ。


「突然ね・・・いきなり記憶がないと言われても信用できないわ」


 正直に話したというのに目の前の美少女は更に警戒したようで腕を組み直した。まいったなと冬弥は考えた。記憶がないというのを証明するのは難しい悪魔の証明ってやつだ。トリトニア王国というのは、まったく知らない場所なんだがとにかく知り合いに連絡を取ったほうが確実。そう思った冬弥は、美少女に聞いた。


「だったら、電話を貸してくれないか?俺の携帯、圏外でさ」


「んっ?、でんわ?けーたい?何?魔法?」


 しかし、美少女からの返答は電話って何と言わんばかり・・・というか知らない様だ。表情もどこかムスッとしたものになっている。外国には電話がない所があるのかよ、それゃあ圏外になるわけだ。つこっみを言いたい冬弥だがそれは我慢した。美少女の言葉にはもう一つ変な事があったからだ。


「なぁ、魔法ってなんだ?」


「はぁ~ぁ、あなた魔法も知らないの?田舎者にもほどがあるんじゃない?」


 国の名前といい、魔法といい美少女にとってはそれは常識らしく冬弥はめちゃくちゃ馬鹿にされた。冬弥からすれば電話を知らない彼女の方が田舎者だ。ぐっと文句を言いたくなるのをこらえて冬弥は話を合わせた。


「そういうあんたは魔法を使えるのか?」


「えぇ、貴族の嗜みだもの」

 

 自慢げに頷く彼女。

 貴族、魔法、実際に聞くことは少ないはずの言葉だ。それとも冬弥に記憶がないだけで、地球は中世ヨーロッパ風ファンタジーだったのだろうか。それとも彼女が異常なのか、宗教とかそんな感じの。そう思って冬弥は彼女を見てみると、彼女の着ている制服は魔法使いっぽい気もした。


「じゃあさ、魔法を見せてくれよ、お願い」


「嫌よ、なんで平民に魔法を見せないといけないのよ」


 試しに冬弥が聞いていても断られてしまった。その後も何を話してもファンタジーになってしまっていまいち話が噛みあわない。

 魔法とか貴族とか電話ないとか、冬弥は世界観的なものが分からなくなってきていた。唯でさえ記憶がないのに、目が覚めて聞いた話がいきなり電波な内容では何がなんだかわからなくなるのはしょうがない。頭の中がぐちゃぐちゃになっていく。

 だからか冬弥は途中から全く別の事、自分なりに地球について考えていた。


「ところで、あなた記憶がないって言ったわよね?という事は帰る所もないんでしょう?」


「ん、まーな」


 何か思いついたかの様に話はじめた彼女に冬弥は曖昧な返事を返した。冬弥はこの時ビッグバン辺りから地球の成り立ちを振り返っていた。


「という事は、あなたは宿無しで生活に困るわよね」


「あー、そうだな」


 話を続ける彼女の話を曖昧に返答を返す。ちなみに冬弥の脳内ではいろいろすっ飛ばして、卑弥呼様の骨占いが行われていた。よく考えれば占いって魔法なんじゃねと地球にファンタジック要素を発見した冬弥であった。


「それだったら、提案があるんだけどいいかしら?」


「いいぞ~」


 少し顔を赤らめた彼女は顔を俯かせた。冬弥には表情をうかがうことはできないがその顔はきっと可愛いはず・・・冬弥はようやく現実世界に戻ろうとしていた。ちなみに冬弥の脳内では江戸時代のお代官様の悪行が行われていた。所謂、「あーーれーー」「ぐへへっ、良いではないか、良いではないか」である。


「なら、私の下僕になりなさい!」


 彼女の大声に冬弥は完全に目を覚ました。 

 真っ赤な顔ながらもキリッとした目で、人差し指を冬弥に指してポーズを決める姿はやはり可愛い。顔が真っ赤なのがポイントだ。だが、しかし


「どうしてこうなったんだ!俺が妄想している間にそんな急展開に?」


 現実に戻った途端にこれは厳しい。冬弥にはSでもMでもやれる意味不明な自信があったがいきなりはあまりに高度すぎる。


「それでどうするの!下僕になるの!」


「ちょっと、まって。状況を整理させてくれ」


 じりっと顔を寄せて来る彼女。彼女の髪からは良い香りがするわけで下僕になるのもいいかぁと思い始める冬弥。やっぱ、可愛い子に仕えたいよな~と自分が家事をする姿を想像したりしてみた。


「良いかもしれん、下僕」


「じゃあ、早速今日から・・・」


 桃色の妄想をしてみて思わず口に出してしまう冬弥。じゃあっと顔を明るくする彼女だが・・・


「いやいや、俺は家族に会わなければ!でも記憶ないしこのまま自立するのも・・・」


「はっきりしなさいよ!」


 こうして、冬弥は日が暮れるまで悩むことになる。ところでなんだが、結局彼女は最後まで待っていた。何だが偉そうだが根は優しい子なのかもと思う冬弥であった。


 




 


 


 



 













 



ん~、久しぶりに書いてみたんですが・・・

自分で書いていると客観的にみてどう見えるかがわかんなくなってきますね~


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