SOS 218 首飾り
「まあ、冗談はさておき、
今後の話を致しましょう」
「は、はいっ!」
返事をする者はマリンだけで、
あとの面々は白雪によって沈黙させられていた。
「これから私たちが王都に向かうに当たり、
不測の事態が予想されます」
なお、彼女たちは職場の昼休憩で帰ってきたらしく、
また後で午後の出勤をすることになっていた。
こんな調子で午後の出勤が務まるのか不明だが、
それはさておき白雪は説明を続ける。
「その際は、こちらの指輪を
装着しておくことで、
ご主人様と仮の回線を繋ぐことが
可能となります」
そう言って、白雪は指輪を見せる。
「また、一時的にですが、
ご主人様の能力も使用可能になります」
全員がピクリと反応した。
どうやら死んだ振りをしていただけらしい。
「願わくば、我々に万が一の事があれば、
ご主人様達をよろしくお願い致します」
白雪が丁寧にお辞儀した。
一方、ゼンとシルビア、ソアラ、ピースは
白雪達の会議には参加せず、
先程の指輪の効果について確認を進めていた。
「えっと、シルビアさんの場合は
指輪の効果を組み合わせる事で、
複数パタ――種類の術式効果を発動出来るように
改造しています」
「なる程……そういう仕組みなのね。
でも神導力の補充は?
運用効率はどの位?」
「それについては、何というか、
ソアラさんと回線を繋ぐ事で、
ほぼ無尽蔵に使用可能です」
シルビアの目が点になる。
「ちなみに、常時回線を繋ぐことで、
恐らくソアラさんも
発動の際のコントロ――操作が
かなり安定するはずです」
ソアラが驚きの声を上げる。
「いや、むしろそんなことされて
無事なソアラちゃんがヤバいんじゃない?」
ピースがとても真っ当な意見を言う。
「つーか、ゼン君……ヤバいもの造ったねー……
これ、誰かに漏れたら大変だよ?」
「はい。と言うわけで、ピースさん。
これをどうぞ」
「ん? ナニコレ?」
ピースが渡されたのは
お洒落な首飾りだった。
「ん? 普通の首飾り――」
ピースが固まる。
恐らく、間違いなく、
何らかの術式が付与されたモノだ。
ただ、問題としては、恐らくその術式は
禁忌とされる洗脳系の術式。
「ごめんなさい。ピースさん。
ちょっとだけ、首輪をつけさせて頂きます」
ピースはその場で眠りについた。
そして起きてから、自分がどうして寝ていたのか
わからなくなった。
見慣れぬ首飾りも、その違和感に
気がつかないほど
自然と身につけるようになった。




