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SOS 217 先回り

「し、白雪さん。遅くなってしまい

申し訳ありません」

「大丈夫ですよ。

それより、少しよろしいですか?」

「は、はい。……先回りされている件ですか?」


 流石だ。この娘は、戦闘経験と手数が

足りていないが、それを補って余りあるほど

戦闘勘に優れている。


 後追いしてきた避役族ではなく、

もう一つの方を脅威と認識しているあたり、

やはりタダモノではない。


「ええ。その通りです。

確認ですが、

どの時点で気づきましたか?」

「一つ目の宿を出た時、

遠くから観察されている……いえ、

単純に視られている気配?

を感じました。白雪さんもですか?」


 白雪は首を振る。


「いえ、私はつい先程の戦闘で

やっと明確に感じました。

興味本位で観察するような、

不躾な視線を」


 マリンは白雪より先に気付いていたらしい。

ただ、敢えてそれを言わなかった

理由も分かるので、報告が無かった点は

別に咎めない。


「なる程、となれば、

カルマリを出る前から視られていたと

考えるべきですね」


 遠視の術式。ただ、それにしては

違和感がありすぎた。


「ただ……先回りにしては、

位置が的確過ぎますね」


「は、はい。

まるで来るのが分かっているみたいに。

ぴったり先回りしているようです」


 白雪はその違和感に合点が行く。

まるでこちらが後追いしているような

妙な距離感だったからだ。


「来るのを待っている?

いえ、分かっているような位置取りですか。

……普通の刺客では無さそうですね」


「こ、このまま転移で直接王都に向かうのは……?」

「しない方が良いでしょう。

別の刺客が、待っているハズですから」


 白雪は嘆息する。

やはりご主人様には、本人の知らない

追われる理由があるらしい。


「し、白雪さん」

「? 何ですか、マリン」

「わ、私も頑張ります。ので」


 白雪は、不思議とその言葉が嬉しかった。

自然と笑みがこぼれてしまう。


「お、おいおい、鬼――白雪先輩が

嗤ってるぜ?」

「この世の終わりですか」

「ベルかソフィアのせいじゃね?」

「問題児二強だからな」


 他の面々も帰ってきたようだ。


「あー、わかった!

この前ソフィアがご主人様に媚薬を盛るって

言ってた。それだぜ!」

「っはあ? てゆーかそれなら、

ベル! あんたも発情期に襲えば

事故で済むとか言ってたわよね!」

「まあまあ、お二人さん」

「醜いっすよ」

「つーか、シュリシュラも。

脱衣遊技でイチコロとか言ったし」

「はあ? 男の夢だろ?

叶えてやるって言ってんのさ」

「むしろ感謝?」


 しかし、白雪によって土に還ることに決まった。

マリンは先回りして既に合掌している。

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