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SOS 204 入浴1

「ご主人様、お待たせ致しました」


 融和術式から帰還した白雪がゼンにそう伝える。


「えっと、お帰りなさい。それで……」


「はい、五人には思念体に術を掛けています。

これでご主人様の御意思には

逆らうことは出来ません。

ご安心下さい」


 え? そんなことしてたの?


 と完全に思っているであろう五人の表情は

白雪からは見えていないが、

ゼンからは丸見えだった。


 事前に聞かされていたとは言え、

ゼンとしてはやはり

申し訳ない気持ちで一杯になる。


「本日ゼン様の御予定は

少しお時間に余裕がございますので。

ご提案があるのですが、宜しいでしょうか」


「え、はい、それは大丈夫です」


 普段から世話になっている白雪が

頼み事というのであれば

断ることが出来ようも無い。

 買い物ぐらいであれば、

付き合うのはやぶさかではなく、

そういうことが出来るのも

休みの日ぐらいのものだったからだ。


「では、全員で

ゼン様のお背中を流させて頂きます」


「………………………………はい?」


「そうそう、宜しければ彼女たちにも

後で名前を付けてあげていただけますでしょうか。

そうすれば、術の効果が安定致しますので」


「えっと、いろいろと

順序とかがオカシイ気が……?」



 ゼンがあてがわれた家には、

元々大した地下室は存在しなかった。

精々、一か月分の食料が保存出来るような、

小さい空間があるだけだった。


 それを白雪は大いに拡張して今日に至る。

元々、白雪が因子として持っていた

『紅女郎』の記憶とも言うべきものと、

ゼンとの完全融合化により得た能力も相まって、

ゼンの家には広大な地下空間が出来上がっていた。


 現在地下四階(ゼンが知っている限りで)

程になっている

その空間は、様々な用途の部屋に

細分されている(とはいえ大きいが)ため

緊急時の避難場所や備蓄倉庫。

雨天時の運動部屋など、

どこぞの複合施設かと思うような魔改造っぷりだった。


 そんな施設の中で、やはりというべきか

白雪によって大人数で入る入浴施設も造られていた。

 しかし、シルビアとソアラはもともと備え付けの

入浴場を使用していたため、ここを使うのは

ゼンと白雪が二人だけのときに限られていた。

(知られると面倒という理由もある)


 カポーン、という響きが聞こえそうな内装は

白雪がゼンの記憶を漁り、

ゼンが好みそうな意匠に拘ったことによる。

 異世界の富士山は絶景のような、

そうでないような違和感が出ている。


 それはともかく。


「わー、すごいでかい! え? これ全部、お湯!

すげー! 王様の浴場みてー! 見たことないけどー!」

「……確かに、凄いですね。

水も透明で綺麗……これ、天然水?」

「うおおお………、なんじゃこれ」

「うわああ………、なんじゃこら」


 獣人族、地人族、

そして光人族の双子が感嘆の声を上げる。

今までは各人に割り当てられた部屋で

湯浴みする(それでも好待遇だ)

程度のものだったが、

ここまでの大浴場は見たことも入ったことも無かった。


「…………」


 しかし、海人族の少女は表情を強張らせて

肩を震わせている。


「さて、では皆さま、御準備はよろしいですか」


 あまりの興奮に言葉遣いも雑になっているが、

まあ最初だけは仕方ないと大目に見てあげることにする。


 白雪はそれには気に留めず、

全員に確認指示をした。


「では、全員衣類を脱いで、

ご主人様の奉仕をなさってください」


 ゼンの負けられない戦いが始まった。


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