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SOS 187 白雪6

「(侵入は出来たわね……後は――)」

 シロは執事服をキッチリと着こなして

対象者(ゼン)を抱きかかえたまま

三人の家に入る。


 シロは目的地に先回りして、店から予備の執事服を

拝借していた。どうせなら、酒が入っている方が

立ち回りやすいと思い様子を見た。


 案の定、使用人は酒を飲み、

対象者であるゼンも酔いつぶれた。

 千載一遇と言っても良い。


 見覚えの無い自分に警戒するかとも考えたが

思いの外、二人の警戒感は緩く、

すんなりと受け入れられる。


 家は三人で住むにはやや広く、

賃料を考えても新人職員二人と

小遣い稼ぎが一人では足が出る間取りだった。


「(……権力者に囲われているのは間違い無い。

防諜術式が全く無いのは二人への配慮?

それとも、何かの対策……?

わからない。中途半端な囲い方……)」


 顔色を変えずに、シロは二人の使用人に

「お部屋までお運びしますよ」

と申し出た。


 ありがたい提案に、二人はあっさりと

ゼンの寝室を教える。

「(警戒感の欠片も無いわね)

かしこまりました」


 二階の寝室へとゼンを運ぶ。

殺すだけなら、ここで仕事は終了だが、

シロはどうにも簡単過ぎて違和感を感じる。


 背後でざわつく

誰かの意図を感じるような、気味悪い感覚だ。


 念には念を入れる為、下の二人を

潰しにかかる。ついでに情報も

仕入れようと考えた。


「それほど酔ってはいないようですので、

あのままでも大丈夫だと思います。

……宜しければ酔い醒ましなど

お作りしましょうか?」


「え? いえ、………大丈夫ですよ」

 とはいえ、二人は家に着くなり

食卓に座ってしまっている。


 おもてなしの欠片も無い姿勢だ。


「それだけ作れば帰ります。

台所をお借りしても?」

「え、ああ、はい。

ありがとうございます……」


 爽やかな笑みに押し切られ、

シルビアとソアラは全てを委ねる。

 シロは台所で酔い醒ましの

飲み物を作ると、自然な動作で

食卓まで運んでくる。


 そのまま何も考えず、シルビアとソアラは

グビグビと飲み干した。

「すごーい、美味しー」

「これ、どうやって作ったんです?」


 色めき立つ二人をよそに、

シロは身支度を整える。


「ふふ、今度いらしたときに

お教え致します。では、ごきげんよう」


 颯爽と去っていく姿に、

二人は見とれてしまう。

「あんな格好いい人、いたっけ?」

「本当、格好いいねー」


 しばらくして、二人は

「(あー、寝る準備……着替えて

髪とかして………)」


 などど考えながらも、からだと頭は

言うことを聞かず、パタリと食卓に突っ伏して

眠ってしまう。


 先ほどの酔い醒ましに

シロが睡眠薬を入れたのだ。

 警戒心の無くなっていた二人では

その味の違和感に気付くことは

出来なかったのだ。


 その後、玄関の扉がゆっくりと開かれる。

音もなく開いた玄関から、

髪を解いたシロが再び侵入する。


 その目は先程とは打って変わり、

獰猛で冷酷な獣の本性が

剥き出しになっていた。




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