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SOS 151 キチョウ

 キチョウの結界術によって、

カルマリは二分された。


 一つは、領城を中心とした

 サイエン・(アルマ)・アーセルハイム

・フランドル・近衛兵長・そしサイエンの

妹達(シスターズ)弟達(ブラザーズ)


 それに対抗する


 ベントリ・グレース・オズマット・ヒナギク

・マックス・リオン・治癒術士そして

カイケンとキチョウ。


 もう一つは、四つの門と野獣達。


 その二つの世界は、

完全に分断されている。


『……さて、これからどうしましょうか?』

 キチョウが呑気な声を上げる。


「ん? 作戦でもあったんじゃ無いのか?」

 オズマットが気だるい感じで聞く。


『わたくしこう見えて、

細かい作戦を練るのが苦手なんです』


 ああ、なるほどと

オズマットは一人納得する。


 キチョウは図抜けて強い。

広範囲に強力な結界を張るのに、

ほとんど詠唱と溜めが必要無かった事が

その事実を裏付けていた。


 故に、知略に頼らずとも

危機らしい危機を感じた事が

今まで無かったのだろう。


「……わかった、

とりあえず、うちのギルマスの

調子を戻すのが優勢だな。

カイケンの動きを

縛っている術式がこのままじゃ

解除出来ないからな」


『では、上に居る

《宝剣》使いを止めましょう。

わたくしと………あなた、

ヒナギクさんと仰いましたかね?

二人で向かいましょう』

「何であたしです?」

『直感です』


 訝しげなヒナギクだが、

本人も頭の中で同じ作戦を

立てていたこともあり

否定をしなかった。


『他はどうしますか?

東門と南門は野獣達が、

西門は闇人族が侵入したようです』

「……はい?」


 ヒナギクは普通に聞き返す。

予想していなかった事を言われ、

自分の耳を疑ったからだ。


『数はそれほどではありませんが、

西門の護衛兵では対処が

難しいかと思います』

「え? さっきの話って本当です?」


 キチョウはさらりと言ったが、

それはとんでもない事態であった。


『はい、本当です。

加えて、北門の方へ、強力な魔獣個体が

かなりの速度で近づいています』

「いや、もう無理……」


 ヒナギクはさすがに飽和しそうになったが、

オズマットがそれを留める。


「落ち着け、ヒナギク。

どうせ上の王様を何とかしない限り、

俺達に出来ることはない。

おまえさんは、王の《宝剣》を

黙らせる事だけ考えろ。

そっちの鳥面の方も手伝ってくれるんだろう?」

『キチョウです』

「はいはい、きちょうさんね。

よろしく頼むわ」


 やや不満そうなキチョウをよそに、

ヒナギクは目を閉じ、呼吸を整えた。

 調子は良くないが、最悪でもない。


 この程度、よくある話だ。


「……わかりました。

とりあえず、黙らせて来ます」

「おう。頼んだ。

心配すんな。お前が勝つさ」


 オズマットの言葉に、ヒナギクがにやける。


 次の瞬間、天窓に無数の影が群がり

バリバリと音を立てて謁見の間に

侵入してきた。


 サイエンの妹達(シスターズ)弟達(ブラザーズ)だ。


「こっちは任せろ、

余計な連中は引きつけておく。

見せ場も要らねえから、

速攻で片付けてこい!」

「了解です!」


 落ちてくる影をすり抜け、

ヒナギクとキチョウは

上へと駆け上がる。


 階段などといった悠長なものは使わず、

垂直にそそり立つ壁を蹴り、

真っ直ぐ上へと進んでいく。




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