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万年童貞の異世界転生!  作者: 竹輪
幼少期
6/6

3話 身内が強すぎてどうしよう

「ぎゃーーーー!ちょっ、待て、待ってくれって!死ぬから、死んじゃうからーーーーーー!」



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



~拝啓 ケリュネイアへ~


お主との邂逅から早くも8年がたったが、いかがお過ごしじゃろうか?


あれからワシは、アレクに連れられ城塞都市プロダザイトへ無事にたどり着いた。

8年とは長く聞こえるが、全てが初体験なワシにとってはかなりあっという間でな。

きずいたら先日、8歳の誕生日を迎えておったのじゃ。


友人もできたぞ。

鬼族の鍛冶職人ガンテツの息子カゲカツ、

エルフの裁縫職人ネルネリウスの娘ラシェル、

後は付与魔法使いのアインスなんかもおるぞ。

まあアインスは40半ばのおじちゃんなんじゃがの。


で、やっと8歳になったのでやっと街の外に出る許可が下りてな。

アレクと共に行くのが条件じゃが、お主に会いに行く予行演習として意気揚々と森に入ったのじゃが、

その矢先に転移型トラップにかかってしもうたのじゃ。

一応ここもダンジョンの一つと言われておったので警戒はしておったのじゃが、

まだ浅いところだったので油断しておってな。

見事にかかってしもうたわ。


そんなこんなで今現在クマに襲われているわけじゃ。

いやーまいったまいった、

まさか休憩するために座った岩がクマの魔物とはな。

何とか紙一重で爪を避けながら走っているのじゃが、それもそろそろ限界かもしれん。



















助けて。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「くそっ、そろそろ諦めてよ。年寄りは労わるもんだって教わんなかったの?」


まあクマがそんなこと教わってるはずもないんじゃがな。

そう心の中でぼやきながらワシは神眼を起動した。



====================


ネーム 無し

種族 タイラントベアー

レベル 318


スキル 

・爪術

・威圧

・ハウル

・特殊スキル ≪炎爪≫


====================


「うっわこりゃ無理だ、勝てん。」


スキルというのは、謂わばその動作にかかる補正のようなものじゃ。

別にこれが無くとも、その行動を行うことはできる。

ほれ、剣術のスキルが無くとも剣を振るくらいは誰でもできるじゃろ?


スキルはそれをもう一つ上のランクまで押し上げる。

たとえば剣筋が見えないくらいに早く振れるようになったり、より切り口を滑らかに切ることができるようになったりじゃな。

まあその動作を極めた証みたいなものだと思ってくれて構わん。

表れる効果は人それぞれじゃが、総じて埒外のことができるようになるな。


たいして特殊スキルというのは、生物が本来できないような動作を可能にするスキルのことじゃ。

有名なのは≪鷹の目≫、及びその上位互換の≪千里眼≫じゃな。

本来、生物は自分の視野以上にものを見ることはできないが、これはそれを可能にする。

千里眼はその名の通り千里先まで見ることができるらしい。


まあ前者は多大な努力が、後者は先天的な才能が必要となるので滅多に保有者はいないのだが、、、、

これはやばいの、どうするか、、、、、



「まあ、でも時間さえ稼げればあいつが助けに来るか。」


むしろあいつが来た後のこいつの方が可愛そうじゃの。

こっちに飛び火しなければいいのじゃが。


「じゃあそろそろ助けてコールでもしよう。」


依然こちらに向かってくるクマを見つめながら、そうつぶやく。


「発動!サンダーサイン!と同時にド――――ン!」


サンダーサインのみならず、サイン系の魔法はすべての魔法の初歩じゃ。

その効果はその名の通り、その属性の司る事象で文字を書くというもの。

初歩とは言え魔法じゃし、そのなかでも強力な方の雷じゃからただの魔物であれば直接当てるのじゃが、

こいつ相手には少々役不足じゃろう。


それで空中にSOSを打ち出し、仕上げにお手製の音響爆弾を爆裂させたら完璧じゃ。

後は死なないように逃げ続けるだけじゃな。


「うわっと!」


そうこうしている間にクマもこちらに追いついたようじゃ。

いつもならなりふり構わず逃げたいところなのじゃが、助けを呼んだ以上あまりここを離れるわけにもいかん。


「グルウ!」


掛け声とともにクマが爪を振り下ろす。

やはりスキルの恩恵はすさまじく、さっきまでワシの立っていた地面は大きく削れていた。


だがワシもただ突っ立っているわけではない。

紙一重でそれを避けると、アイテムボックスから金棒を取り出した。

カゲカツが鍛冶の練習にと作ったものじゃから、装飾などは一切ない武骨な黒い棒じゃが、それでも重心が傾いていたりしていないので立派に武器として使うことができる。

恐らくこのクマの爪が当たればひとたまりもないじゃろうが、何もないよりはましじゃろう。


「そらっ!」


ワシは地面に刺さった爪を抜こうとしているクマの後頭部に思いっきり金棒を振った。

普通の魔物ならばそれだけで熨してしまうような一撃じゃったが、

こいつ相手には圧倒的に力不足じゃったようで、怯むどころか殴ったこちらの手の方がダメージを負っておる。


「ッ!石頭すぎんだろ、、、」

「グルア!」


クマは余りの手ごたえにたじろいたワシを見逃さず、振り向きざまに腕を振った。

何とか金棒を当てることで軌道をそらし、身体が裂かれることだけは避けたが、肝心の金棒の方は使い物にならなくなってしもうた。


「くっ、そろそろやばいな。」


金棒を叩き付けた衝撃で後方に大きく飛んだワシはそう呟いた。


「早く助けに来てくれよ、、、」


「呼んだか?」

「!」


突然返ってきた返事に驚いて振り向く、

少しねじれ気味の金髪、

狼のように鋭いその灰色の瞳には若干の愉悦を含んでおり、いたずらが成功した少年のようにも見える。

8年たった今でも衰えることのないその肉体は、この男の力強さを何よりも雄弁に表しておった。



見間違うはずもない、この男こそワシが心待ちにしておった男。

ワシの養父であるアレクじゃった。


「父さん!」

「」



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