7-3 奇妙なお茶会
7ー3 奇妙なお茶会
俺は、どこかの庭園の中に立っていた。
薔薇の花の咲き乱れる美しい庭だ。
ここは?
庭園の奥へと続く細い道を向こうから誰かがやって来るのに気づいて、俺は、顔をあげた。
「お前は?」
「誰だ?」
そこには、俺とクリソツの見知らぬ男が立っていた。
「「お前は、誰だ?」」
俺たちは、お互いを凝視していた。
ひりついた時が流れる。
先に動いた方が殺られる。
「はいはい」
パンパン、っと手を叩く音に俺たちは、振り向いた。
そこには、美しい金髪碧眼のちょっと童顔ぽい美女が立っていた。
「ここは、そういう場所じゃないでしょ。君たち、喧嘩は、しちゃダメよ」
真っ白な汚れのないワンピースを身に纏ったその女は、俺たちについてくるようにと言うと、俺たちの返事を待つこともなく歩き出した。
彼女は、俺たちを涼しげなあずま屋へと導くと、それぞれに椅子をすすめ、自分も空いている椅子を引き寄せて腰を下ろした。
彼女は、いつの間にかテーブルの上に置かれていたポットから白い陶磁器のカップへとお茶を注ぎ、俺たちへと渡した。
「このクッキーもなかなか美味しいのよ。私が焼いたの。食べてみて」
「「はぁ・・」」
俺たちは、一瞬、躊躇したが、それぞれクッキーを手に取ると一口噛った。
「あれ?」
俺の目からなぜか涙が流れ落ちた。
忘れてはいけない何かが俺の脳裏をよぎった。
あれは、誰だったのか?
ふと、前を見ると俺にクリソツの男も涙を流していた。
俺は、もう1枚クッキーを取ると、齧りついた。
俺にそっくりの男も夢中で咀嚼していた。
カリカリ、ポリポリ。
俺たちがクッキーを齧る音が辺りに響いていた。
だんだんと俺の中にその誰かの面影が浮かび上がってきた。
黒髪の、中性的な少女?
まだまだ、幼い感じがして。
けど。
俺は、もう少しで何かを思い出せるような気がして、もう一度、クッキーへと手を伸ばした。
だけど。
もう、皿の中には、1枚もクッキーは残されてはいなかった。
ああ。
俺の頬を涙が流れ落ちる。
俺は、嗚咽を漏らした。
俺の前にいる俺とそっくりな誰かも泣いていた。
思い出したいのに、彼の人のことを思い出せない。
その苦しみに胸を焼かれる思いだった。




