6-5 2人の姉弟
6ー5 2人の姉弟
姫は、どんどん回復していった。
そして、立ち上がり、歩けるようになると、姫は、一番にきいた。
「カリファは、どこ?」
アリサが姫に付き従いながらカリファの閉じ込められている部屋へと姫を導いた。
姫は、その部屋の前で、躊躇することもなく、扉へと手を伸ばすと扉をノックした。
「カリファ?入るわよ」
姫が扉を開くと、カリファは、椅子に腰かけてじっとこちらを見つめていた。
椅子に座ると、床に足がつくかつかないかというぐらいの子供だ。
その子供が口を開くと、姫に訊ねた。
「僕を殺すの?」
「いいえ」
姫は、微笑んだ。
「あなたを殺したりはしないわ、カリファ」
「なんで?」
カリファは、姫を姫と同じ色の瞳で見つめてきいた。
「僕は、もう必要ないものなんでしょ?」
「誰が、あなたを必要ないなんて言ったの?」
姫は、カリファの前にひざまづいてカリファを覗き込んだ。
「あなたは、私のただ1人の残された家族、なのよ?カリファ」
「でも、僕は」
姫は、カリファを抱き締めて囁いた。
「私は、あなたを愛するわ、カリファ。だから、あなたも私を愛して欲しい」
「マージニア・・姉様」
カリファは、姫にすがりつくと泣き出した。
俺たちは、2人の姿を見つめていた。
アリサは、そっと涙を拭っていた。
俺は、少し、ホッとしていた。
とにかく、姫には、家族ができた。
これから、2人が、どんな物語を紡いでいくのか。
それは、2人次第だ。
俺にとっては、彼らは、充分、人間らしく思われた。
ホムンクルスの定義は知らないが、俺たちにとっては、姫たちは、充分、人間らしかった。
それから、姫は、カリファを自分の弟として認めることを国民に宣言した。
「私の弟は」
姫は、俺たちに言った。
「このカリファ、ただ1人です」
それは、これ以上のホムンクルスの作成を認めないという、姫の意思がこもった言葉だった。
俺たちは、姫のその言葉に頷いた。
「共に、クリスティア王国を滅ぼそう。二度と、悲しい生命が産み出されることのないように」




