5-7 これがリアルな恋なのか。
5ー7 これが、リアルな恋なのか
俺は、しばらく自分の部屋の窓からすぎていく砂漠の風景を見て過ごした。
砂漠の風景は、荒涼としていて、俺は、つい、物思いに沈んでいった。
思ったら、遠くまで来てしまったものだ。
毎日、ゲームとかばっかして、友達もいなかったこの俺が、今じゃ、勇者なんて呼ばれているんだから、驚きだな。
遠くに沈んでいく夕日を見つめていると、エレクシア王国に残してきたアズミちゃんのことが思い出された。
魔族と砂漠の民が和平を結んだとはいえ、まだ、人と魔族の間にはお互いに対する不信感とでもいうようなものがあった。
バサラティ王国や、クリスティア王国は、特に、魔族に対する偏見は、強いのだという。
俺は、アズミちゃんをそんな場所に連れていきたくなかった。
アズミちゃんもそれは、わかっているはずだった。
だけど。
朝、エレクシア王国を旅立つ時に、一瞬、アズミちゃんが見せた寂しげな表情が忘れられない。
アズミちゃんを残してきたのは、間違いだったのか。
俺は、いまだ迷っていたんだ。
なぜかな。
1日1日、アズミちゃんの存在が俺の中で大きくなっていく。
気がつけば、アズミちゃんのことを考えている。
だけど、それは不快じゃない。
それどころか、なんだか暖かい、うれしいような気持ちになる。
俺は、アズミちゃんに恋をしてるんだ。
なんか、不思議だった。
この世界に来るまで、俺は、ゲームの中のアズミちゃんに夢中だった。
触れることもできない、アズミちゃんのことを好きだったんだ。
見ているだけで満足だった。
なのに。
今は、違う。
俺は、今、アズミちゃんに触れたいと思っていた。
抱き締めたい。
その温もりを感じていたい。
これが、リアルな恋なのか。
俺は、アズミちゃんを傷つけたくはない。
そっと、大切にしていたい。
まあ、アズミちゃんは竜だし、そんな簡単には、怪我したりしないけどな。
それでも、守ってあげたい。
ずっと、ずっと、側にいて欲しい。
俺は、暮れなずむ砂漠を見つめながら、この甘酸っぱいような物思いに耽っていた。




