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そうだったんだ

 次の日、“決闘”が控えた朝はとても眠かった。

 なので段々に音量が大きくなっていく目覚まし時計に手を伸ばし、消した。

 もぞもぞ。


 布団の中でその温もりを更に感じるべき私は、頭を更に布団の中に引っ込める。

 亀が甲羅の中に頭を入れる感覚がわかった気がした。

 そうして私は更に惰眠をむさぼるべく努力をしようとしすること数分。


「ミドリちゃん、起きようよ、朝だよ」

「……後五分」

「でもこの時間がいいっていって昨日の夜いっていたのは、ミドリちゃんだよ」

「うう……起きる」


 ようやく起き上がった私はぼんやりした頭で暫く天井を見てからモソモソと服に着替える。

 それからマリアと一緒に食堂に向かう。

 まだクレイ達は来ていないようだ。


「よし、好都合」

「何が好都合なんだ?」

「あ、クロード、おはよう」

「おはよう。それで今度は何をしようとしているんだ?」

「リーン先輩に頼んでマリアの“聖女”としての能力を強めるアイテムを貰おうと思って」

「……もう少し親交深めてからのほうがいいんじゃないか」

「でも私気になるんだ。名前の知らない先生」

「……だが、今はまだ……」

「何かあってから遅い気がするの。どのみち私は使えない」

「……そうだなミドリはマリアと仲がいいから、それで何とかなるか。リーン先輩も丁度来たし」


 そういった理由でリーン先輩に事情を話してマリアに伝説のアイテムを渡す。

 ただこれを使うとどうなるのかが見たいということなので、交換条件としてマリアの装備する前と後での“ステータス”を見せることに。

 食事の後に、食堂のそばの人があまり来ない辺りで私は、


「“ステータス・オープン”」


 マリアの“ステータス”を開く。すると、


「魔力値が高くなるね、それも二倍くらい、凄いね」

「本当だ。私がつけるとどうなるんだろう」

「……ミドリちゃんの魔力は大きそうだから止めてほしいな」


 苦笑するようにリーンフリークスに言われてしまう。

 どうやら私は強くなりすぎてしまったようだ、そう心の中でないた。

 そして、そういえば結局、私の“最強のアイテム”を作る機会がなくなってしまったと思う。


 近いうちにまた作ろうっと、そう心の中で私は呟いたのだった。









 装備を渡して食堂に戻るとクレイ達がいて、私たちはマリアと引き離されてしまった。

 そしてリーンフリークス、クロードと一緒に朝食をとり、授業を受ける。

 魔法の授業ははっきり言って楽しい。


 私達の世界に魔法はないから、知らない話が色々と聞ける。

 そうしている内に、昼休みが来て、午後の授業が来て。

 すぐに放課後がやってきた。


「約束通り、“決闘”だ」

「うん、分かった」

「そして今回は杖なしだ。いいな」

「いいよ、己の魔法を全てぶつけ合うんですね!」

「そうきくと不安になるが、今日は新しい技があるから必ず勝ってやる」


 クレイがそう言うと、マリアの他のお友達の一人……。


「そうです、こんな怪しいい一見味方のふりをしている人物など信用になりません」

「そうですよ」

「そうそう」


 その言葉に他の二人もそう言いだして、クレイもそうだなと答える。

 やっぱりこの人の名前は思い出せないなと思いながら私は、まだこの人達の様子を見ようと決める。

 この気持ちの悪い違和感はなんだろう。


 そう思いながら闘技場に行くと、名前の知らない先生がいる。

 こんな偶然てあるのかな、そう思いつつも私は、先ほど決めておいたように、


「ポチッとな」


 “選択画面”で魔法を選び、圧倒的な白い破壊の光を打ち込んだ。

 そして、クレイは新しい技を披露する間もなく気絶した。

 慌てたようにマリアが近づいて魔法をかけている。


 マリアの魔法が今回は強力だったのかすぐにクレイは目を覚ました。

 そして私は彼に向かって、戦闘に勝利したと宣言しようとした……その時。


「ミドリ!」


 クロードが私の前に現れて、何か大きな音がして、倒れていくのが見えた。

 ゆっくりと倒れ込むクロードが見えて世界が凍るように感じる。

 それを抱きとめるようにして、けれど私はその刹那動けない。


 同時に私の中でピシッと小さな音を立てて、白く塗られた壁が崩れるのを感じる。

 そして私は、色鮮やかなそれらを思い出して。


「そうだったんだ」


 小さく、一言呟いたのだった。


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