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極東4th  作者: 霧島まるは
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早紀+真理

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 静かで、身体に吸い付くような心地よい鎧。


 早紀が、最初からステルスをオンにしているのが、そこから伝わってくる。


 契約でつながっていながらも、本能的に何もかもを隠すことの出来る女。


 蝕へ飛びながら、真理は鎧の鼓動を探ろうとした。


 タミの言う、他の力の混じりを何か感じるかと思ったのだ。


 しかし、不快感も違和感も、そこには見つけることが出来なかった。


 ただ。


 首筋から、武器を引き抜こうとした時。


 その感触と、形の意味を理解した。


 ああ。


 そうか。


 これか。


 水馬刀に似ていると、最初にそう思った。


 下賤な形の武器。


 それは、強くないという意味ではない。


 海族が、好んで使う形だからだ。


 鎧の能力や武器は、イケニエにした魔女によって変わる。


 この武器は、まさに早紀から生まれた刀だった。


 おそらく、早紀には海族が混じっている。


 それを知らずに、真理は自分の鎧に使ってしまったワケだ。


 考えたことは、いくつか。


 一番は、勿論家名や体裁のこと。


 自分の代が終わるまで──いわゆる、真理が死ぬまで抱えておくべき重要事項だ。


 同じ運命を、早紀にも共にしてもらわねばならない。


 疑問を打ち捨て、ただ自分は純粋な魔族であると刷り込むのだ。


 簡単だ。


 早紀の、父親の情報を与えればいい。


 それは、本当のことでなくとも構わないのだから。


 その情報で、早紀ともどもタミも黙らせる。


 彼女の混じったような能力は、ただの突然変異なのだと。


 そう、信じさせるのだ。


 一瞬にして、深層意識で計算を済ませる。


 意識を引き上げるように、真理は空を見た。


 蝕が──見えた。



 ※



 今日、真理は自分の能力を乗せるつもりだった。


 初陣の時は、早紀を制御しつつ、戦いに慣れなければならなかったのだ。


 剣技そのものは、幼少から当然のごとく学んではいるが、魔族の戦いとしてはそれだけでは無意味だ。


 蝕の前には、金の鎧が一人。


 あれが、一番速く来た敵さんのようだ。


 魔族側では、真理が一番ということか。


 真理は、刀を握る手に魔力を集めた。


 早紀のステルスは全開のようで、警戒はしているが、彼の接近はまったく気づいていない。


「来い…」


 鎧の指が、がちっと音を立てた。


 そのまま、刀と一体化する。


 指に集めた冷気が、真っ白い結晶となってつないだのだ。


 そのまま。


 刃の切っ先まで、白く彩られる。


 予想以上だった。


 早紀が海族と関わりがあるのを証明するかのように、水にまつわる刀は予想以上に彼の冷気を受け入れた。


 飽和する水分までも凍らせたのか、無数の氷の棘が刀から張り出す。


 元の水馬刀の形とは、似ても似つかぬ針の刀。


 悪くない。


 前の形は、とても好きにはなれなかったが、これはまさに真理の能力を体現している気がしたのだ。


 その刀を。


 たとえ前回、早紀のステルスを体験していたとしても、対処出来るはずもない哀れな天族に振り下ろす。


 気づいたら、斬りつけられている。


 そんな、屈辱的な一瞬。


 だが。


 天族は、前回のように墜落はしなかった。


「くっ!」


 深々と、鎧に大傷を負いながらも踏みとどまり──斬り返してきたのだ。


 きちんと、認識した反撃ではなかった。


 ハハハッ。


 真理は、笑いながらその一撃を刀で受けた。


 無数の棘を壊しながらも、相手の剣や腕に真理の氷が飛ぶ。


 魔力による冷気。


 天族にとって、それを浴びるのは――火を浴びるようなものに違いなかった。



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