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 気を取り直して。

 首都生活3日目―――……。

 今日も快晴です。

 気持ちが良い位に晴れています。


 さっさと支度をして待つことしばし。


 「おはようございます、殿下」

 「……」

 「殿下?」

 「……」

 「……ハロルド様」

 「おはよう、ジーク」

 ジークは相変わらず黒装束です。

 一応騎士服の上から漆黒のマントを羽織っています。

 もくもくと私の荷物を背負い込むジークを眺める。

 今日の夕方には戻るからなぁ。

 心なしか嬉しそうに見えるのは私だけだろうか?

 「カートは?」

 「階下したで待っておいでです」

 「わかった」


 一階でカートと合流し、薬剤店へと向かう。

 ……といってもそんなに遠くないところにお店はありました。


 『緑の子羊屋』


 ……緑色の羊は気色悪いだろう。

 「カート、ここ?」

 「はい。東方の物を扱うと有名で……主は居られるか?」

 お店の人に声をかけてしばし待つ。

 出てきたのはちょっと小太りのおじさんと、可愛らしい女の子。

 「これは、ファレル様。何か御用でしょう?ご注文のお品は後3日ほどで届

 きますが……」

 「今日は、ある……痛ぅ……(痛いです)……職場の仲間が一度来たいとい

 っていたのでね。東方の……なんでしたか?」

 「イーネの種、下さい」

 「イーネ……ですか?それならば食材屋に……」

 「あっちのは食べるようでしょ?じゃなくって育てられるの」

 「少々お待ち下さい」

 店主が奥でがさごそと物をひっくり返している音がする。

 暇だから周りのものを見ていると。

 「騎士様は何かお探しですか?」

 「いや」

 「東方の薬にご興味が……?」

 「……あの……」

 「とてもお強そうですわ。今日は護衛で来られましたの?」

 「……」

 女の子がジークに熱心に話しかけています。

 ジークは面倒くさそうです。


 ……面白いから放っておこう。


 「……ありました」

 一掴み分をケースに入れる。

 「カート、ケラソスは?」

 「今日はあまり良いものがないようなので、苗木と一緒に持ってきてくれる

 そうです」

 ふむ。

 じゃあ、もう用事は終わったかな。

 店を出ようとして。

 その豆に気がついた。

 「お、お、お、おじさん。これ。この豆どうしたの?」

 大豆らしいのと小豆っぽいのがありました。

 「昨日東方から来た行商人が東方の一地方で栽培されている豆を土産にくれ

 まして……」

 「これ、売ってくれる?」

 「いえ、これは見てのとおり、少量でして。売れもしませんので、明日にで

 も豆料理にしようかと妻とも話しておりましたところで……」

 「これ、頂戴?お金は……カート」

 「言い値で買い取らせていただきます。いかがか?」

 「……喜んで」

 思わぬ収穫物でした。

 ふふふふふ。

 これでレパートリーが広がった!

 ああ、懐かしい和食を食べたい。

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