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アンハッピー・アライブ  作者: 八千夜
6章 舞い降りる神、ただひたすらに屈すれば

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とりあえずの作戦帳

 魔術学園を卒業した生徒が踏んでいくであろう過程がすべて白紙になってしまったマイクラストとメイニーは数週間の間、魔狩師協会に通ってその手続きをすべて終わらせた。

「ということで、二人は今日から晴れて魔狩師だ。おめでとう」

 カラ爺から資格証を貰うと、嬉しそうにそれを眺めた。

 ……そこで家接はあることに気が付いてしまう。

「そういえば、僕ってそういう資格貰ってない気がするんですけど」

 今まで魔狩師がなんであるったりとか、学園で実際に授業を少しだけだけどかじってみたりはしているけれど実際に僕の今の立ち位置が気になる。

「家接くんは、この資格欲しいの?」

「あるに越したことはないと思いますけど」

 カラ爺は顎に手を当てて考えると、閃いたように雪広を呼ぶ。

 相変わらず家の中では全くと言っていいほどやる気のない彼女は、おおよそ今までマイクラストたちには見せていなかったであろう状態で居間までやってくるとそのまま頭を座布団で挟むと横になる。

「ちょ、雪広ちゃん。起きてって。もう12時だよ?」

「分かってる。話って何」

「ちょっと依頼を受けていたことを思い出してさ。君達四人で行って来て欲しいんだ」

「四人?」

「そうだよ。マイクラストくんと、メイニーちゃんは今日で帰ってくるって昨日言ったと思うけど」

 それを聞いた雪広はバッと顔を上げて二人と顔を合わせる。自分がだらしのない格好をしていることを思い出すと「ちょっとタイム」と言ってざぶとんで自分の顔を隠しながら居間から出ていくと廊下をどたどた走る音が聞こえてくる。

 羞恥に満ちた彼女の顔を見たのは久しい。一緒に住むことになったとはいえ、やっぱりまだ慣れていないのか固い気がする。まぁそれは僕もなんだろうけど。

 彼女がそれなりにちゃんとした服に着替えてきて居間に全員がそろう。

「まぁ雪広ちゃんが戻ってきたから仕切り直しに。今回の依頼はすごく単純というか、前回二人で言ってきたもらったものと内容的には似てるかな」

 カラ爺は全員に札を一枚渡す。それは彼がいつも部屋に籠って作っているものの一つなのだろうか。

「これは保険だから、身に着けていてもらうことにして。依頼内容はとある村の祭りの実態を調査してきてほしいというものだよ。やっぱりNo.0が活発に動き出す予兆があったことが大きくてね。日本中にある奇々怪々なものの実態を把握しておきたいみたい。それで、僕たちみたいな末端にもその調査をしろっていう依頼が回ってきたってわけ」

 カラ爺も一人で任せられた仕事があるらしくて、四人をその村に降ろしたらすぐに離れないといけないらしい。だからそのために一応の保険を彼は全員に渡した。

「それって四人で行かないといけないほどのものなんですか」

 マイクラストがカラ爺に聞く。それは他の三人も思っていたことみたいで彼に返答を求める。

「それがさ、その村あまりにも閉鎖的すぎて実際のところ何を祭っているのか、はたまた正確な村の位置ですら分かっていないんだ。だから四人で調査に向かってもらうことになったんだよね。幸い、みんな戦闘経験はあるみたいだし治癒魔術を使えるメイニーちゃんがいるから安心して任せるよ」

 その日、蝋火会の人たちが家にやってきたがどうやらカラ爺を呼んで話をするとすぐに帰ってしまう。夜ご飯の時にそのことを聞くと、蝋火会に所属しているほとんどの人はさっき家接たちも任された日本にある儀式やら祭事やら幽霊、妖、はたまた土地神について調査を任されたらしく、その間カラ爺に管轄の管理をお願いされたということだった。だがカラ爺本人は不満どころか少し楽しそうにしていて理由を尋ねると旧友とまた組めるから、らしい。

「久佐と組むのなんて何年ぶりだろう。楽しみだよほんと」

「確か蝋火会の会長でしたっけ」

「そうそう。今じゃなんだか偉そうな身分になってるけど、ほんとは彼が一番好戦的なんだから。まぁ僕と彼がいれば町一つくらいの管轄なら問題ないよ」

 そんなに実力のある人なのか。面識がないので想像にしかつかないけど、今のところ会長というイメージからしても大柄で屈強な男性像しか浮かばない。カラ爺はそのまま自室に向かい僕と村に向かう三人で居間に再び集まると作戦会議を始める。

 とはいっても、今考えるべきなのは村を探すこととそこでの祭りについてどう調べるかについてだけ。

 具体的な方法なんかはその村を見つけないことには始まらない。

「一番手っ取り早い方法は、雪広が家接を上空に四方印で飛ばしてそこから場所を割り出す。そして先祖返りの力で無事着地ってのがいいんじゃないか」

「そうね。私の魔術が一番移動に長けているとは言っても、そんな短時間に何度も使える物じゃないし。家接ならたぶん大丈夫でしょ」

「そうなの?」

 ホントにそれだけで済むのか心配ではある。かといって自分でもたぶん大丈夫なんだろうなみたいな安心感はあるので過度に信頼しすぎている節はもう少し考えなおしたいものだけれど。

「万が一があれば、私がなんとかしますので」

「なんとか?」

「それはなってからのお楽しみです」

 メイニーが笑顔で言うので、急に笑えなくなってきた。とても嫌なので最悪の事態には至らないようになんとかしよう。

「僕がゆらぎで衝撃緩和くらいはできるからたぶん大丈夫だろ」

 それでも不安の残った家接を安心させようとしたのか、マイクラストがフォローを入れる。

 中に入る方法。こればっかりは一か八かだと思う。

「そもそも見つけにくいから人に知られていないのか、見つけてほしくないから人に知られていないのかが分からないのよね」

「どっちの線もありえなくはないってことか。無理だったときは、雪広の四方印でどうにかなるよね」

「そういえばそんなものもあったな。頼んだぞ」

「お願いします」

「いや、なんで全部私任せなの。もうちょっと考えないの?」

「じゃあ逆に何か案がある?」

「え、それはまた話が違うっていうか………。もう少し策を考えようってこと!それ一つだったら万が一の時全員が足を止めないといけなくなるじゃない」

 それは一理ある。一理あるけど、あってないような作戦なので別にいいかなと家接は思ったりしていたが二人はそれに納得して他の策がないか真剣に考え始めているので家接もそれに倣って考えた。

 一時間考えた末に出された他の案は、祭事に乗じて村に侵入するだった。

 ………本当に参考にならない作戦かもしれない。

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