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交換日記【改】

作者:永島大二朗
【2022年 第3回幻冬舎ルネッサンス新人賞応募 落選作】
 PDF化に対応のため一部改訂

 互いに一目惚れと言うことはある。
 真治と香澄がそうだったように。
 しかし二人は、最初の一目その時に、言葉を交わすことも、笑顔を交わすこともできなかった。
 それから暫くして、二人は各々秘密を抱え、同じ中学の同じ部員になる。しかしそれでも、二人は会話をすることができない。
 香澄の想いを借りて語るならば「目をちらりと合わせて照れるのがやっと」である。

 そんな二人が雨の帰り道で下校する所から『物語』は動き始める。

 気持ちを表に出せない香澄は、小学生の時から親友である真衣の力を借り、やっと真治と会話することにこぎ着ける。
 しかもそこで真衣に言い包められ、真治と香澄の二人は交換日記を付け始める。
 それは二人にとって、心を育むものであり、助けを乞うものであり、そして、愛を育むものとなるはずだった。

 そう。真実を書き続けていれば。

 うわべだけだったのか。いやそうではない。
 素直な気持ちで書いたのか。それはそうだろう。

 しかし人には、まだ子供である二人にだって、どうしても秘密にして置きたいものがある。

 それだけは、交換日記に記すことができなかった。それだけだ。

 毎日を過ごす内、互いに一緒にいることが自然となる。
 真治からはっきりと「好き」と言われた香澄であるが、香澄はどうしても言えない。
 想いが叶って思わず叫んだ時でさえ、その「好き」の二文字が言葉にできない。
 一方の真治も、香澄の言葉や態度から、好かれているのはひしひしと感じる。しかしその理由が判らずに怯える。
 遂に香澄が転校する段になって、お互いの気持ちを語り合うが、それは、最早話し合いではなかった。

 それの少し後、屋上でいつものように会話する二人。
 そこでふとしたことから、香澄の中で絶対に、真治にだけはバレたくなかった秘密が明らかになる。

 自爆だった。

 その秘密は真治にとっても、絶対に香澄にはバレたくなかった秘密でもあったのだ。

 そして真治は、知らぬ間に自爆していた。

 お互いの秘密を理解しあった二人は、二冊目の交換日記を始める。その内容はどんな内容だったのか。それは判らない。

 何故なら二人は卒業式一週間前、真衣の一言により、学校を別々に飛び出してしまったから。
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