表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
257/272

オープンカフェ(四)

「し、して、い、ません。していません」

「ん? 何だ? キスしてたのか? チュッチュチュッチュしてたのか? この淫乱女! あ? こら、んー?」


 突然、切れ気味に会話が乱れだす。口を尖らせて、まるで『キス』でもするかのように、何度も何度も『チュッ』と聞こえる。

 それだけでなく、中腰になって本当に『キス』でもしそうな勢いだ。二人は『出来ている』のだろうか。


 いや、そうではない。香澄は苦笑いでそれを避けるように、両手を振って押し戻している。

 しかし、目をピクピクさせながらのその仕草は『昔を振り返り』、そしてそれを、隠しているようにも見える。


「いやいやいや、だから純潔ですって。キスなんてしてません。

 しぃてぇまぁせぇんっ!」


 何とか言い切るが、そんなのTシャツ女には通用しないようだ。


「あー、嘘ついてるー。何年付き合っていると思っているの。

 判った。もう判った。よーく判った。

 結婚式に出よう! 出てあげよう!

 白いドレスで出席して

『小野寺家の皆さぁん、私が『元・許婚』の真衣ですっ!

   思い出しましたかっ!』 って言ってあげよう。ねっ!」


 一部日本語まじりのフランス語だが、Tシャツ女は『真衣』と言うらしい。しかも、香澄の結婚相手の『許婚』だったらしい。


 他の客が目を輝かせて『パッ』と振り向いたが、二人は直ぐにまた『ファニャファニャ語』になってしまったようだ。


「やめて。ごめんなさい。ホントお願い。チュッチュチュッチュしてました。もう、逢う度していました。正直に言いますから、それだけは勘弁して下さい」


 両手を合わせて、平謝りである。

 しかしそれでは、真衣の怒りは収まらない。腕を組んで、ジッと睨み付ける。


「何だって? 逢う度だーぁー? それは許せんなー」


 そりゃぁ、大事な『許婚』を奪ったら、許せんだろう。

 何言っているか判らないが、周囲の客は俄然『真衣の味方』を始めたようだ。


「あ、違います。でも最初は真治さんからなんです。

 私は奪われたんです」


 香澄の方が口を尖らせて、なにやら『言訳』をしている。

 そんな『謝り方』では、絶対に許してくれる筈がない。


「えー、真ちゃんから? それはないわ。絶・対・ないわ」


 語気を強く、完全否定した。これは、これから『血の雨』か?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ