テスト期間(三十四)
「まぁ、それは冗談として、ゆっくりして行って下さい」
返事に困っていた真治の顔が『ホッ』とした顔になる。
「私も料理手伝うので」「うん」
「その間、トランペットの練習するなり、テスト勉強するなり」
そうだ。忘れてはいないだろうか。今は『テスト期間』なのだ。
明日から、期末テストが始まるのだ。
「じゃぁ、トランペットの練習しようかなぁ」
真治は迷わず答えた。香澄はちょっと驚き、念押しに気味に言う。
「余裕ですねぇ。英語の勉強した方が、良いんじゃないですか?」
「んー。英語は良いかなぁー」
普段の真治からは、考えられない『諦めの言葉』だった。
英語を生活の中で使って来た香澄は、ちょっと悲しくなる。
「そんなに英語嫌いですか? 将来、凄く使うかもしれませんよ?」
疑問形だが、絶対使わせる。
香澄は真治をどこまでも引っ張って行く気だ。
ただ、肝心の真治は『あくまでも日本で生活することのみ』を、考えているようだ。
「そうだけどっさー」
真治は困った顔をした。社会人になって、英語なんて絶対使わん。
英語ねぇ。誰か『自動翻訳』してくれないかなぁ。
「じゃぁ、こうしません?」「なぁに?」
考えている所に、突然香澄からの提案である。
「私が『英語の問題出します』から、解いて下さい」
「小石川さん、英語得意なのっ?」
前を向いていた真治が、驚きの表情で香澄の方を向く。
香澄は、失礼だと思ったかのように、眉をちょっと動かす。
「はい。外国生活長かったので。今でも『英語で手紙書いて』、やりとりしてますっ」
香澄は顎を上げて、ちょっと得気に言う。
真治は驚き、素直に信じた。
「すごいなぁ。俺、サンタにしかないよっ!」「サンッ?」
「じゃぁ、ちょっとチャレンジするか!」
真治の『やる気』に、香澄は嬉しくなる。
サンタの件は置いといて、頼むなら、今がチャンス!
「代わりと言っちゃー何ですがー」「なんでしょう?」
真治は首をかしげて香澄を見る。
ちょっと『深刻な顔』からのお願いとは? 一体何?
「英語以外の教科、教えてください!」
香澄は片目を瞑り、右手だけでお願いのポーズをした。




