テスト期間(二十)
『レーザービームで焼死したくなくば、
女の子の許可なく、あちこち勝手に開けてはいけなぁい』
そんな物騒な注意事項だ。
今まで『冗談』だと思っていたのだが、実は本当だったようだ。
多分、その『解除』に行ったのだろう。
怖いなぁ。やはり、本当だったのだ。
すると予想通り、部屋の中で『何かゴトゴト』と、音がする。
暫くして、ドアが再び開いた。
「どうぞー」
笑顔の香澄が顔を覗かせる。ほれ見ろ。さっきとは全然違う表情。真実味があるではないか。
「お邪魔しまーす」
真治は恐る恐る香澄の部屋に入った。そこは、女子の部屋にしてはシンプルな部屋だった。
流行りの『アイドルのポスター』が、貼ってあるでなし。あるのは『ヨーロッパの街並み』や『風景の写真』が、しかも額に装丁されて飾ってある。
あとは勉強机と、背の低い飾り棚。
向こうに見える黒い物体は、ステレオだろうか。良いなぁ。
「こちらが消音室でーす」
香澄が右手で指した方、中央に『透明なガラス』がはめ込まれたドアがあって、中にピアノと椅子が見える。
もう電気が付いていて、明るい。どうやら『何かしらの準備』を、してくれていたようだ。
「へー、凄いねぇ」
真治は外から、中をちらっと覗き込んで感心した。
「早速吹いてみますか?」「そうですね」
そう言うと真治はカバンを置く場所を探した。
香澄がそのカバンを受け取ると、机の横にある飾り棚の上に香澄のカバンと一緒に並べて置く。
どうやらそこが『カバンの定位置』のようだ。それだけで、何だか香澄は『至極ご機嫌』である。
「ありがとう」
礼を言って、トランペットケースの留め金に手をかける。
ふと、トランペットを消音室の中で開封するか、外で開封するか迷う。真治は消音室を覗き込んだ。
「中で出して大丈夫ですよ?」
横に追付いて来た香澄に言われた。
香澄の指が、トランペットケースを指さしている。真治は頷いて消音室に入った。
消音室はピアノが無ければドラムセットが余裕で置ける感じ。
小さいグランドピアノなら、ギリギリ入るのではないかと思う位の広さがあり、圧迫感がない。
真治は感心して、床にトランペットケースを置いて開ける。




