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016 デート? 02

「えっと、ドラゴン討伐の話を聞いても良いですか?」


私は必死に考えた結果、エブリンさん達に聞きたかった話題を振ることにした。


「ああ。もちろん良いぞ。この村を出た後、俺たちは王都の冒険者ギルドに行ったんだ。」

「王都のギルドに?」


もっと近い領都にもギルドはあるのに、わざわざ王都まで行ったのか。


「そうなんだ。SSランクのクエストとなると、王都のギルドが一番情報が新しくて豊富だからな。」

「SSランク・・・。」


なんだか遠い話過ぎて、着いていけなくなってきた。


「そこで、今回のクエストの内容を聞いて、受ける事に決めた。」


オーウェン様がまた水を一口飲んだ。


「ドラゴンが出る山の最寄りの村で一休みして装備を整えてから、山に向かったんだ。同じ依頼が騎士団にも入っていたらしくてな。山のふもとのモンスターはほとんど騎士団が倒してくれていて、助かった。」

「へぇ、騎士団も出ていたんですか。」

「ああ。でも、ドラゴン討伐までは中々できないでいたみたいだな。」


そりゃあそうだろう。

最強と言われるドラゴン相手だ。

人間が簡単に倒せるわけがない。


「山に入ってわりとすぐに奴の鳴き声が聞こえてな。居場所の特定は簡単だった。それで、パーティーメンバー全員の連係プレイでドラゴンを倒したんだ。」

「そうなんですか・・・。」


って、あれ?!

一番大事なところの説明が無かったよ?!

もっと苦境に立たされるとか、「もうダメかと思ったが何とか頑張った」とかないの?

なんか、あっさりドラゴン倒されちゃったよ!


「はい、Aセット2つね!」


丁度そのタイミングでおばちゃんが注文した品を持って来てくれた。

とりあえず私はスープを一口すする。


「えぇっと・・・。最強クラスのドラゴンだったんですよね?倒すの大変だったのでは?」

「いや?確かに大きかったし、炎を吐くところは厄介だったが、いつも通りの戦闘だったな。」

「へ、へぇ・・・。ソウナンデスカ。」


感覚があまりにも違い過ぎる・・・!

違い過ぎるがゆえに、恐怖を感じる。

この人を敵に回しちゃだめだと、本能が訴えてきた。


「アルメリアに俺の名が届くようにと頑張ったんだ。」


オーウェン様が微笑みかけてくる。

まるで、褒めてくれと言っているような様子だ。


「驚きましたし、すごいと思います。」


無難に返事をする。


「君に褒められるとやる気が湧くな。そうだ。仲の良い者たちは『リア』と愛称で呼んでいるようだが、俺もそう呼んで構わないか?」

「はい、オーウェン様のお好きなように呼んでください。」

「ありがとう、リア。」


キラキラと輝くような笑顔を向けられて、私はどうしたら良いのか分からなくなる。


「ところで、リアはどうして俺だけ『様』付けなんだ?」

「へ?」


どうしてと問われても、何となくとしか返せない。

意識して呼び方を変えていた訳ではないのだ。

しかし改めて考えてみれば、他のパーティーメンバーの皆さんは『さん』付けだった気がする。


「俺のことも呼び捨てで呼んでくれると嬉しい。」

「・・・わかりました。オーウェン。」


そう答えると、これまた嬉しそうな笑顔が返ってくるのだった。

そうして食事が終わるころ、おばちゃんがお茶とケーキを出してくれた。


「ドラゴン討伐のお礼に、サービスだよ!」

「ありがとう。」


ケーキは甘さ控えめのガトーショコラだ。

これなら、男性のオーウェンも美味しく食べられるだろう。


「リア。これを貰ってくれないか?」


ケーキに舌鼓をうっていると、オーウェンが細長い箱を差し出してきた。


「?これ、なんですか?」

「開けてみてくれ。」


そう言われて、私は箱を開けてみる。

するとそこには、小さな青い鳥の形のトップが付いた、シンプルなネックレスが入っていた。


「エブリンとグレースにアドバイスをもらって選んだんだ。良かったら身に着けてくれると嬉しい。」


幸福の青い鳥のネックレスに、ちょっとだけときめいた。

でも、こんなものを受け取ってよいのかと少し迷う。

オーウェンのことは嫌いじゃない。

でも、私にとっては『とてつもなく強い勇者様』でしかない。

そんな人からのネックレスのプレゼント。

でも、断るのも正直怖い。

私の言動1つで感情を大きく上下させるオーウェン。

断ったらどうなるのだろう。


「リア・・・?」


私が色々考えていると、オーウェンが不安そうな目で見てくる。

うぅ、そんな目で見られると、ますます断りづらい・・・。


「俺が贈ったものをリアが身に着けてくれているところを想像したら、幸せな気持ちになったんだ。リアがまだ俺の事を好きにはなっていないことは理解しているし、受け取ったから付き合ってくれとも言わない。・・・それでもダメだろうか?」


そこまで言われてしまっては、断ることも出来ない。


「わかりました。受け取ります。ありがとうございます。」


そう言って、せっかく贈ってもらったのだからと、私はネックレスを付けてみせる。


「似合いますか?」

「ああ。とても似合っている。ありがとう。」


オーウェンは眩しいものでも見るかのような顔でそう言った。

こうして、デザートまで食べ終えた私たちは店を後にしたのだった。



ありがとうございました。


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