side 冒険者ギルドの母娘 01
スタートダッシュ連続投稿の2日目の5本目です。
王都の冒険者ギルドは、ギルド長が病で倒れてから、徐々にイケメンパラダイスに変わっていっていた。
それはひとえに、ギルド長代理を名乗るギルド長の妻メイサと、その娘のレイラの趣味ゆえであった。
「さて、次はこのパーティーかね。」
「ママ、今度はどんな理由をつけて追放するの?」
二人が見ているのは、冒険者ギルドに提出が義務付けられている、パーティー登録書だ。
目ぼしいイケメンのいないパーティーは、適当な理由をつけて追放し、ギルド内をイケメンばかりにしているのである。
「顔と同じで、クエストの成績が普通過ぎる。この程度の成績なら、王都ではなく、どこか田舎のギルドに行ってもらえば良い。」
「普通って一番つまらないわよね。いっそすごく不細工だったら笑えるのに。」
レイラは可愛らしい顔とは裏腹に、意地の悪い言葉を吐いた。
ギルド内には他にも職員はいるのだが、ギルド長の妻と娘ということで、誰も何も言えずにいる。
何か口答えしようものなら、自分が職を奪われてしまうのだ。
保守的にもなろうというもの。
その為、王都の冒険者ギルド内はこの二人が好き勝手出来るようになってしまっている。
夫であり、父であるギルド長が闘病中だというのに、そちらにはまるで興味が無いようだ。
「こいつらは今は王都に来ているね。今度ギルドに顔を出したら、田舎に行くように通達しよう。」
「了解。ギルドに来たらママに知らせるね。」
他人の人生に関わることを、自分たちの趣味で簡単に決めてしまえる二人が恐ろしい。
だが、その審美眼は確かであり、間違いなくイケメンぞろいのギルドになりつつあるのだから、その力を他で使えないものかと考えてしまう。
「オーウェン様、早く帰ってこないかなぁ。会いた~い!」
「ああ、レイラが結婚相手として目をつけてる冒険者だね。今は湯治に行っているんだっけ?」
「そう。オーウェン様の入浴姿・・・。きゃ!想像しちゃった☆恥ずかしい!」
レイラは頬を押さえ、ニマニマとしている。
「素敵よねぇ、オーウェン様!いつもキリっとしていて、仲間への指示も的確だし。同じパーティー内に美女もいるのに、そちらに心を奪われることもないから、浮気の心配もなさそう!」
「そうだねぇ。あんな優良物件はそうそう無いね。」
レイラがうっとりとしてオーウェンを褒めれば、メイサも同意する。
「上級ダンジョンの攻略もサラッとやっちゃうんだもの。冒険者としてすごい有望よね!結婚したら、楽な生活させてくれそう!」
「その時には、私にも楽をさせておくれよ!」
「もちろんよ、ママ!任せといて!きっとオーウェン様を落として見せるから!」
レイラは豊満な胸を張って宣言したのだった。
そのオーウェンが、先日門前払いした少女に惚れこんでしまったとは知らずに。
女性らしい凹凸のある体に可愛らしい顔。
レイラは自身に絶対の自信を持っているのだ。
まさか普通を絵に描いたような外見の少女に負けるとは思っていないのだろう。
「万が一オーウェン様を逃がしたとしても、ギルド内には他にもより取り見取りよ!」
「ああ。そのためにも、今後も余計な輩は追放していかないとね。」
「ええ。頑張りましょう、ママ!」
こうしてその後も、二人の悪だくみは続くのだった。
スタートダッシュ連続投稿はこれで終わりです。
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