第17話 いつか騎士みたいに
「よかった……! まだ、あった!」
村から出て、丘をのぼって、森の中を進んで。
ようやく【ロックホッパー】が隠してある場所まで来れた。
村の中からずっと走ってきたから、すごく苦しいし脚だって痛いけど――休んでる時間はない。
「……ああ、もうっ! 何だよ、これ!」
迷彩ネットをめくってコックピットハッチを開けようとしたけど、たくさんかぶせた枝が絡んでうまくいかない。
「誰だよ、こんなにしたのぉっ!」
こういう時こそ、落ち着いてやらなきゃいけないのに。
取ろうとした枝がネットに引っかかってイライラする。
このへん、やったの俺だ。
もっとイライラする。
「よし、これで……! えっと……えっと……どうやって開けるんだっけ……? 俺、開けたことなかった……!」
いつも乗せてもらうときは、隊長が開けてくれてたから。
えっと……たしか……。
「開いた! ……よし、これで」
機種は隊長のと同じだから、操作はわかる。
――起動を確認。……各部のチェック。
「モニターも問題なし」
外の映像が映ったのを確認して、操縦桿を握る。
外の映像……っていっても、まだネットがかぶさったままだから何も見えないんだけど。
「この態勢から動かすの初めてだ……。よ…よぉぉし……!」
機体制御、苦手なままだったんだけどなぁ。
「うわ…っ! っととと……危…っ!」
起き上がった瞬間、後ろに倒れそうになったり、バランスをとろうとして前につんのめりそうになったけど――何とか……!
「ふぅ……。危なかったぁ……」
何だか……隊長の【ロックホッパー】より、すこしだけ動かしやすい気がする。
……重い……っていうわけじゃないけど――なんていうか、隊長のはもっと細かく操作しないといけない感じだった。
「これ、邪魔。……あっ! もぉぉ……」
機体の腕を動かしてネットを取ろうと引っ張ったら、引っかかってちぎれた部分が残って、モニターに映った。邪魔。
思わず操縦席から体を浮かせて手を伸ばしちゃった。
取れるわけない。恥ずかしい。
「……誰もいなくてよかった。って……あれ?」
伸ばした手の先。モニターの上の枠のところに何か彫ってある。
「ステラ……?」
女の人の名前?
……あー。
ネイトって、自分の乗機に女の人の名前付けるタイプだったのか。
もし会ったら、からかって仕返ししてやろう。
正直――ネイトのことは許せない。
……みんなのことも。
でも……このまま連合のやつらに殺されちゃうなんて、それだけは絶対に嫌だ。
――それに。
お姫様を守るのは騎士の役目だし、ね。
小さい頃、絵本で読んだおとぎ話。
かっこいい騎士が、お姫様のピンチに駆けつけて助けるんだ。
ずっと、そんなふうになりたかった。
いつも助けられてばかりで。泣いてるだけで誰も守れなくて。
だけど、今は違う。
「待ってて……リーナさん……!」
……言ってみたけど、すごく恥ずかしい。
思わず、周りを見渡しちゃった。
本当に誰もいなくてよかった。
でも――
何だか、勇気が湧いてきた。
きっとみんなを助けられる。そんな気がする。
操縦桿を握る手に力をこめると、片腕の【ロックホッパー】も応えてくれた気がした。
隊長の機体も、ネイトの機体も、カスタムされています \(´・∞・` )
技量が上である隊長の機体のほうがより感度がいいため、ネイトの機体に乗った時「動かしやすい」と感じた――という感じです ”(´・∞・` )
実はバーニー、英才教育を受けてました(´・∞・`*)




