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勝手に生きてます  作者: ねこまんまときみどりのことり


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22/56

今後の対応その2

9/9 22時 誤字報告ありがとうございました。

大変助かります(*^^*)

 「お父様(アルオ)お祖父様(ジローラム)の子供じゃない? お父様はそれを知っているの?」


リオルナリーは、ランドバーグに向き勢いのまま尋ねた。

アルオは良くも悪くも貴族然とした男だった。

そんな彼が自分が次期侯爵ではなく、そもそも貴族でもないことを知っているとは思えなかったからだ。



ランドバーグは首を横に振る。


「いや、知らないはずだ。このこと(事実)が解ったのは、つい先日なのだ。調査していた我々より先に、知ることはないだろう。


ジローラムの母(リオルナリーの曾祖母)ララナ夫人が、ジローラムに問い詰められて、絞り出すように語ったらしい」


そんなジローラムは、どう動くか予想がつかない。


(ジローラム)は結局、フローラを一番に選ぶこともなく、悩んでいるうちに彼女は身を隠した。そしてアメリアと結婚した後も、責任を負うことなくナミビアを愛して結果的に追い出した。


侯爵家のことを考えるなら、仕方のないこともあっただろうけれど、なんと言うか情熱が足りないのだ。行儀良く流され続けるだけに見える。


家の借金についてもそう。

公爵家に頼むのが効率的だとしても、次期侯爵になるならいろいろと考えることも出来ただろう。


土地を売ったり、他の貴族家(侯爵家より下位にでも)に頭を下げて借金をしたり、公爵に分割払いを頼む方法だってあったはずだ。それをせず、最悪爵位を返すことになる可能性があっても、国の重鎮である侯爵家を王家が放っておくとは思えない。


確かに噂されたり、一時的に格が落ちたとされる認識は免れないだろう。


それでも優先されるものの為ならば、そんなことは大したことではないはずなのだ。



だから…………………

きっとジローラムが大切だったのは、侯爵家を守ること。矜持を傷つけられないことだったのだろう。



そんなジローラムの考えること。

この思考が今も同じなら、何もしないが順当だろう。



だが、ランドバーグがそれを伝えた後、ルメンドが言葉を付け加えた。


「ずっと警戒していたアメリア様が、こちらに気取られる失態を犯したことが気になります。何か公爵家で動きましたか?」


ランドバーグが頷き、さすがルメンドだなと呟いた。


「アメリアの父親ウィスラル公爵が倒れ、もう意識がないと聞いた。たぶん彼女は、自らの役割を終えたと割りきり、立ち回っているのだろう。


本来侯爵家の資産であったはずの鉄道関係の利権や、貿易利権の大部分が公爵家に握られている。アメリアが利益を増やしたと言われる経営手腕の後ろには、いつもウィスラル公爵がいた。その一部をアメリアが侯爵家の利益として入れていただけの話。


ウィスラル公爵亡き後、後継者であるアメリアの異母兄ウルゴスがどうするのかは見物だ。何十年もジローラムから掠め取った利益をどう処理するのか? いわゆる横領だからな。隠蔽活動をしていた公爵が不在となり、指示系統は混乱するだろう。


アメリアは亡き母と共に、ウルゴスや正妻に虐げられて来たから、公爵家がどうなるのか楽しんでいるのだろう。


まず手始めに、グリーニーを隠さずに行動し始めたのがそうだ。同時に2人ジローラムが存在すれば、周囲は混乱するだろうね。それを公爵家が隠蔽などして処理しなければ、公爵家も侯爵家も破滅に繋がる。


解っていてしているなら、復讐なのかもしれないしな」



なるほどと思う一部の者と、よく解っていない者。

ランドバーグの調査で、ウィスラル公爵が侯爵家の貿易船を沈めたことは明らかになった。その利益の一部は国王にも献上されており、この暗躍に何処まで絡んでいるのかは、今も調査中だ。国王と公爵は幼馴染みであり、特別な絆がある。些細なことでは、公爵家は揺るがないことは明らかだ。


最悪を考えれば、アメリアとグリーニーを暗殺でも事故でも屠り、グリーニーの顔を潰して埋めれば、これ以上の秘密の漏洩は防げるだろう。


しかしアメリアだって、むざむざと殺されてやるつもりはない。公爵と侯爵家が関わってきた事業から、アメリアはかなりの利益を中抜きし、多くの資産を有し更に護衛を雇っていた。


彼女の意図は解らない。

ただ生き延びたい気持ちは伝わってくる。



公爵家にしても侯爵家としても、不必要に情報の漏洩をすることで、得になることはないだろう。

だがララナからジローラムは、グリーニーとアルオのことを知ってしまった。貿易船の沈没のことはまだ知らない彼も、そこからが公爵家の陰謀だと解った時、どう動くのだろうか予測がつかない。



一先ず今後も、ランドバーグは調査を続けることを伝え、アフタヌーンティーを所望した。

アカザ、テレーゼ、マリーは、ゆったりとした優雅な動作で次々に準備を始め、紅茶とお菓子をテーブルに並べていく。


今日は机をくっ付けて、中央に全員が集まり座っていたのだ。

手伝おうとしたリオルナリーやリオ、ナミビアは、座って待つように言われた。

ランドバーグの話が衝撃的過ぎたことを、考慮してくれたのだろう。


真実が意味のないように、全て塗り替えられていく。


だけど、今さらどうでも良いと思うのが本音のリオルナリー。



彼女(リオルナリー)は記憶がある限り、母親(イッミリー)との関わりしか思い出せない。いや、ホッテムズ伯爵達やイッミリーの義理の祖父母(実は本当の祖父母だった)には、昔から良くして貰っていたけれど。


でもアルオもジローラムもアメリアも、リオルナリーにとっては関わりが薄い。アルオからは使用人棟に入れられるくらい疎まれている。


今はまだ7才の身だから此処にいるが、成人になれば平民として暮らしていこうと思っている。使用人として給料は貰っているが、それは働いた対価であり養育費ではない。母親(イッミリー)の遺産も、養父母やランドバーグに貰った宝石と、侯爵家夫人として働き夫人予算として得たものからだ。アルオから義理のように渡された宝石やアクセサリーは、今はニクスが使っている部屋に置いてきた。彼女は喜んでいるだろうけど。



ただキルスタン伯爵の孫と解った今、それを知ったキルスタン伯爵は、リオルナリーをすぐにでも迎えたくなるだろう。そうすれば、貴族として生きていく道もあるし、平民として生き、共に交流を持っていくことだって出来るのだ。




ナミビアは困惑する。

アルオが実子じゃないと解った今、リオの存在を知ればきっとジローラムに喜んで貰える。しかしそれには、途方もない危険が伴うだろう。リオがもし侯爵家の後継者になれるとしても、命をかけてまでとは思えない。


だからもう、このままで良いかと思うのだ。


幸いにして、レストランに陳列する自作服の売り上げは良好だ。店舗も自前ではないから税金もかからず、丸々利益となるのだから。ゆくゆくは自分の店を持つという夢も持てたし。



結果として、ジローラムの血縁のある孫や子は、侯爵家を継ぐことは望まないようだ。

そして今後も公爵家から疑われないように、今まで通り生活することになった。


但しリオルナリーと同じように、リオとナミビアにも密かに護衛がつくことになった。リオルナリーは、ケイシーとロザンナが見守っていたことを知らされた。


そしてリオとナミビアの護衛は、執事マクレーン・ソバンスがつくことになった。


マクレーンはリオルナリーの護衛から外されたことを不服に思っていたが、ナミビア達の生い立ちを聞いて泣いた。男泣き以上に涙が止まらなかった。

(酷い目に合ったのに、生まれてきた子を大事に育てて愛している。俺よりだいぶん年も下なのに。25才だっけ、ぐすんっ)等と。

そして彼女(ナミビア)は、自分で作ったハンカチをマクレーンに差し出す。 “どうぞ、使って下さい” と。


「これからよろしくお願いします。リオをよろしくお願いしますね」

「しかとお守りします。勿論、貴女のことも」

「まあ。では、よろしくお願いしますね。マクレーン様」


微笑む彼女にマクレーンはドキドキした。

どんな悪意も近づかせないと誓いながら顔を赤らめる彼は、惚れてしまったようだ。


今まで邸では、このメイドと執事はそれほど接触はなかった。マクレーンは、ただの巻き込まれた母子としか見ていなかったからだ。


でも正面から可愛い彼女を見て、生い立ちを聞いたらもう駄目だった。幸いにして、ナミビアは気づいていないようだけど。



ちょっとだけ、それに気づいた人達。

どうやら雇い主のランドバーグは、目を瞑るようだ。


深刻な話だったはずなのに、何故か恋の始まりで話は終わったのだった。


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