97話
不思議の国に到着したボク達。赤の女王がいる城まで一気に駆け抜ける。
赤の女王がいる城には大きな城門。城門を抜けた先にある中庭には六芒星が描かれていて、赤の女王が杖を持ちながら何かしている様子。
「ジャバウォックを倒してくれたようですね。お礼申し上げます。あの悪魔は私の手に負える悪魔ではありませんでした。次はもっと強くて私に従順な悪魔を召喚するためには貴方達の力が必要です。大人しく生け贄になって下さい」
赤の女王が天高く杖を掲げると一瞬の暗転。ボク達はクリフォトの樹の最下層に転移。
「何も怖い事はありませんから、大人しくして下さいね」
人の姿をしていた赤の女王は大きな真っ赤な羊のモンスターに変化。
「私はハートのクイーン。そこのお前、ジャック級の分際でクイーンに歯向かうとはいい度胸だな」
真っ赤な羊の身体はさらに赤味を増して深紅に染まっていく。
「えっ?ハヤトくんってキング級になってなかったの?」
「時間がなかったのでジャック級です。すみません」
「私達はキング級だから、ハヤトくん1人くらいジャック級でも問題ないよ。だけどリュウイチとの勝負だという事を考えると厳しいかもね」
マリナさんの言う通り、深紅に染まったハートのクイーンの強さは今まで戦ったボスよりはるかに強い。
「ハヤトくん、もっとしっかり敵の行動を見極めて攻撃して!聖杯だって無限に使えるわけじゃないんだからね」
「はい、すみません」
ハートのクイーンは攻撃特化型のボスモンスター。剣と杖の二刀流で近距離と中距離に範囲攻撃をしてくるので迂闊に近寄る事が出来ない。
ボクの持つブリューナクの槍は必中だが、遠距離攻撃になれば威力は落ちる。なんとか中距離で戦いたいところだが、ボクの鈍臭さではすぐに死にそうになる。
「ハヤトさん、ハートのクイーンを見ようとしないで、私の動きを見ながら攻撃して下さい」
「えっ、あっ、はい」
いつもはボクの鈍臭さに口を挟んでこないメリーさんが口を挟んできた。だけどメリーさんの言ってる事がイマイチ理解出来ない。
「ハヤトくん、メリーはハートのクイーンの行動を先読みして鏡写しで動いて行動してるから、それをちゃんと見て!」
「そういう事か!わかりました」
メリーさんの装備は剣と杖の二刀流。弓タンカーのスズメさんの完璧なヘイト管理によってメリーさんは攻撃のタイミングをしっかりと把握。
メリーさんから次々繰り出される剣と魔法の連撃。メリーさんの攻撃が終わるとハートのクイーンが剣と魔法の連撃。
「今よ!」
「はい!!」
ボクの放ったブリューナクの槍はハートのクイーンの弱点をクリティカルヒット。
「まだよ!私はまだ死ぬわけにはいかないのよ。アッ、グァッ、ガッーー!!!」
ハートのクイーンは姿を変化。凶暴さを増し失われていく知性。巨大化していく角。熱を帯び真っ赤に燃え盛る深紅の身体。
「このまま一気に攻めるよ」
「はい!」
形態変化したハートのクイーンの攻撃力は急上昇。だが知性を失った攻撃は単調になりシンプルに。
「これならボクでもイケる」
最大威力を発揮出来る距離でブリューナクの槍を連射。マリナさんからの聖杯によるMP回復も追いつかなくなってくる。
「マリナさん、こっちにもお願いします」
「メリーとスズメを回復させるからちょっと待ってて」
ここで回復を待っている時間がもったいない。ボクはアイテム袋からジャコウネココーヒーを取り出し、一気に飲み干した。
「ニガっ!あっ、これが本物か。って言ってる場合じゃない」
「ハヤトくん、お待たせ。はい、回復したよ」
「あ、ありがとうございます」
「ところでなんだけど、さっきアイテム使ってなかった?」
「何でもないです。それよりハートのクイーンに隙が出来るようになってきました。もう少しで倒せるはずです。一気に決めましょう」
「えぇ、そうね」
ここにきてハートのクイーンの行動がさらに変化。力を溜め始める動作をし始めた。
「さすがにこの攻撃を喰らうわけにはいかないわよ」
「わかってます」
「メリー、スズメ、最強の攻撃をするわよ。準備はいい?」
「こっちはオッケーよ」
「こっちも大丈夫だ」
「これで決める!!!」
ピコン
[ラスボスを倒した者が現れました]
「リュウイチに先を越されたみたいだね。こっちもこれで終わりよ!!!」
4秘宝から繰り出される最強攻撃によってハートのクイーンを撃破。
直後、一瞬の暗転からのエンディングムービー。倒れている赤の女王の前に女神アテナ降臨。
「悪魔に取り憑かれたハートのクイーンよ、これで終わりにしましょう」
「スペードのクイーンよ、私を殺したところで悪魔達は何度でも蘇るわ。私はただの迷える子羊。導く者がいる限り終わりはないわ」
赤の女王にトドメを刺す女神アテナ。
「ひとまずこれで危機は去りました。ですがハートのクイーンが言っていた事がホントであれば、また悪魔が襲ってくるかもしれません。その時はこの世界を護るために再びみなさんの力をお貸しください」
女神アテナが姿を消してエンディングムービー終了。
ボク達は赤の女王がいた城の中庭に戻っていて、近くにリュウイチさんの姿。
「ハヤトくん、お疲れ様。ここは俺の方が早かったみたいだ。次も負けないぞ」
「ここは負けたかもしれませんが、勝負の決着は隠しボスを先に倒した方が勝ちです。ボクも負けるつもりはありません」
「それじゃあ俺は次に向かうとするよ」
「リュウイチ!!ちょっと待って!!!」
急いで行こうとするリュウイチさんを呼び止めたのはどこかに隠れていた蛇白レミさん。その後ろには亀梨カリナさんの姿。
「なんだレミか。今、俺は急いでいるから用があるなら後にしてくれ」
「ハヤト様のおかげで私は本当の愛というものがなんなのかわかったわ。だから私をリュウイチのパーティーに入れて欲しいの」
「なんだよそれ。なんで俺のパーティーなんだよ。パーティーに入るって言うならハヤトくんのパーティーに入ればいいだろ」
「だってここでリュウイチが勝ったらハヤト様はマリナと付き合えないんでしょ。ハヤト様は私だけのモノよ」
っていうか何か知らない内にレミさんに様付けされてるぞ。ボクが思ってたのはリュウイチさんの愛に気づいたレミさんがリュウイチさんと一緒にパーティーを組む事を想定していたんだが。
「相変わらずお前は愛が歪んでるんだな。まぁ、いいや。これで俺が負ける要素はなくなった。ハヤトくん、君はまだまだ段取りの組み方が甘いみたいだな。それじゃあ月影の白兎のところに行くぞ」
「それじゃあハヤト様、失礼いたします」
リュウイチさんはレミさんとカリナさんとパーティーを組んで移動アイテムを使い月影の白兎の元へ。
リュウイチさん達がいなくなると、ボク達の目の前に死獣・陽炎の夢羊が姿を現した。
「どうやら悪魔達との戦いはまだ終わっていないようですね。赤の女王を倒した貴方達なら女神アテナの試練を乗り越えて、エース級になる事が出来るでしょう。再び死獣達全員から力を認められるとエース級になる事が出来ます。それでは私はこの辺で失礼いたします」
死獣・陽炎の夢羊が姿を消すとシステムメッセージが聞こえてきた。
[第1幕が終了しました。第2幕実装まで時間かかりますので少々お待ちください]
「よし、エンディングイベントも終わったので、ボク達も隠しボスの月影の白兎のところに行きましょう」
「えぇ、レミには絶対に負けるわけにはいかないわ。急ぎましょう」
ボク達は不思議の国から抜け出し、月影の白兎のいるウサギエリアへ向かった。




