time age-003 最終話・・・傾き続ける関係
三度目・四度目・・・・。
会うたびに、萌香は少し大人になり、竜也は少し若くなっていく。
一カ月後竜也は高校一年生くらいの見た目になっていた。
萌香は大学生の落ち着きを帯び始めていた。
「怖くない?」
ある日竜也はシーソーの上で言った。
「怖いよ、でも、あなたに会いたい気持ちの方が大きいの」
シーソーが上がるたび、竜也の声は高くなり、萌香の声は落ち着く。
頬に軽くキスをしたのは七回目の時だった。
竜也は中学生くらいの顔立ちで、萌香は二十歳を過ぎていた。
「好きよ、萌香さん」
「私も、竜也・・・」
十回目に会った時は・・・、竜也は小学5・6年生くらいの姿になっていた。萌香は、社会人として大人の姿になっていた。
会話はすれ違う。竜也が話すゲームやアニメの話に萌香はついていけなくなっていた。
萌香の話す、仕事の愚痴や将来の話は、竜也には難しすぎる。
それでも二人はシーソーに乗り続けた。
同じ高さに留まることはもうできなかった。
「俺・・・いつか萌香さんの事、忘れちゃうのかな・・・・」
竜也の声は幼く震えていた。
最後に選んだのは、一度だけ会うことだった。
萌香は三十歳くらいの姿で、公園に向かった。
シーソーの向かい側に、小さな男の子が座っていた。
「・・・お姉さん、誰?」
その言葉に萌香は胸がいっぱいになった。
「シーソー一緒に乗らない?」
男の子は頷いた。
別れ際、萌香は男の子の頭を撫でた。
「ありがとう、楽しかったよ」
「うん、また、一緒にシーソーしようね、お姉さん」
その無邪気な笑顔に萌香は頷いた。
二度と公園に来ないための決意・決断を含めた頷きだった。
シーソーのように誰かと対等でいられる時間はとても脆い。
愛すれば愛するほど、すれ違う。近づけば近づくほど、遠ざかる。
萌香と竜也は「釣り合うことそのものが許されなかった」二人の恋です。
最後まで読みでいただきまして、誠にありがとうございます。
♧♧ じゅラン椿 ♧♧♧♧♧♧




