24 学校へGO!!
ちょっとお休みの時の話を省いちゃいました。春野愛華です。
あの後は特に何もなかったので省いちゃうことにしました。えへへ、ごめんなさい。
っていうわけです。
「愛華おっはよ!」
「わっ」
後ろから抱きつかれてふらつく。多分この声はユアちゃん。振り向いたら「えへへ~」って笑いながらぺろっと舌を出しているユアちゃんがいた。やっぱり予想があってたよ~。
「ねえ愛華」
次は梨央ちゃんに声をかけられた。
「なに?」
私が聞き返すと、梨央ちゃんは「もう、空気読めないなぁ。このKYがっ」とデコピンしてきた。
「いったぁ!」
梨央ちゃんのデコピンは痛いです……おでこひりひりするぅ。
それで結局何の用か分かんなかったからもう一回聞く。
「それで、何の用だったの?」
「優輝にいつ告るの?」
耳元でささやかれた。そのとたん、顔が赤くなる。告白って言ったって、そんなすぐに告白なんてできないよ~!!
「ま、まだ決めてない。梨央ちゃんは?」
「あたしはやめた」
あっけらかんと言う梨央ちゃんを見て、私は飛び上がりそうなほど驚いた。
「えっ、なんで!? 好きだったんじゃなかったの!?」
だって、あんなに必死そうだったのに! やめちゃうなんてもったいない! なんでやめちゃうんだろう?
「好きじゃなかった。っていえば嘘になるけど……愛華に勝てるわけないもん。優輝、ずっと愛華の事見てるしね。あたしの出る幕じゃないって思ったんだ」
出る幕じゃない……って、そんなことないのになぁ。
というか、私考え直しました。私は優輝君のことが好きなわけじゃないのかもしれない。ずっと好きだと思ってたんだけど……。もしかして私、ただ単に初めて話せた男子だからときめいちゃった的な感じなの!?
たしかに、私恋愛初心者だし全然好きとか分かんないし、そもそも男子と話した事なんてほとんどなかったんだから勘違いしちゃってもおかしくないよね。
前読んだ恋愛漫画でも、家でずーっとその人のこと考えてるっていうシーンがあったくらいだし……。
私、家で優輝君のこと考えたりなんて、全然してないよ!! やっぱり勘違いだったのかな?
さらにさらに、まず好きってどんな感じなのかも分かんないし!
ケーキが好きなのとは全然違うはずだからね。
そっか、そういうことなんだ。え、じゃあ今までの私何? 優輝君優輝君だった私何!? ただのミーハーだったのかな? かっこいいからとか、そういう理由? ってか、メンクイ?
そうなんだ!? 私、壮大な勘違いをしてたってことになるのかな……。
「愛華どうした~?」
ちょんちょんっと肩を叩かれる。顔を上げたらぷにっとほっぺたをおされた。
もちろんそれは梨央ちゃんの仕業。梨央ちゃん以外しないもん、こんなこと!! ま、別に嫌ってわけでもないから文句も言いませんが。
「どうもない……いや、どうもこうもある」
私は覚悟を決めて優輝君の事もしかしたら好きじゃないかも疑惑について語り始めた。
「――――――それで、私はもしかしたら優輝君のことが好きじゃないかもっていうことなの。オッケーですか?」
「全然オッケーじゃない。ってか、愛華話長い」
私たちは朝早くに来るから朝休みの時間が長い。だから余裕で話せるだろうと思ってたら10分くらいずっと話してたっていう……。
まさか10分も話してるだなんて思ってもなかったし、長くても5分くらいかな~あはは、みたいな感じだったんだよ!! だからこんなことになるとは思ってなかったです。ハイ。
「ごめん梨央ちゃん」
「あたし死んだ」
「死なないで!」
梨央ちゃんは長い話が嫌いなんだったっけ……忘れてた。なんか悪いことしちゃったような気がしてきたよぅ。
「ごめん梨央ちゃん」
「いや、別にいいんだけど……てか! 優輝の事好きじゃなかったかもってどういうこと!?」
反応が遅かった。もうちょっと早くそこに反応してほしかったかも。
でも、その梨央ちゃんの叫び声でちょーっとだけ嫌なことが起こっちゃったんだよね。
それはまあ簡単。恋の話に目敏い女子たちが、私たちの方に寄ってきちゃったってこと。
普段話さないような子達まで「なになに? 春野さん、好きな人いるの?」とかいろいろ……。
でも、幸い私が長い話をした後だったから朝休みの残り時間はそこまで長くなかった。だから、あたふたしている間に終わっちゃって先生が教室に入ってきたんだ。
それに気が付いたみんなはさささーと自分の席に戻って行った。ありがとう、先生!!
「みなさんおはようございます。今日は避難訓練が5時間目の終わりごろにありますので、その時の科目の先生に従って動いてくださいね。では、読書を始めてください」
私は家から持ってきた『青い空の彼方』を読むことにした。意外とはまってきちゃったんだよね。
最初は好みじゃないって思ったんだけど、意外と意外と。ほんと意外。
とりあえず読書タイムが終わって私は授業の用意を始めた。
「愛華、さっきの話の事なんだけど」
梨央ちゃんに声をかけられる。まあ、言われそうだとは思ってたんだけどね。
「うん」
普通に返事する。そしたら梨央ちゃんが話を続けてきた。
「優輝の事好きって言ってなかったけ?」
「言ってたけど、考え直したら違うのかもって。相談ってつもりだったんだよ」
「あ、そうなんだ」
梨央ちゃんは私が考えていたことと違う方向の意味でとっちゃってたみたいです。まあいいとして。
「どっちでも、いいんじゃない?」
梨央ちゃんはまたも、半分面白がっているかのように言ってきた。私は本気で悩んでるのにぃ~。
でも、私が本気だからこそ、あまり思いつめすぎないように明るく言ってくれているのかな……?
――――どっちにしろ、まだ私には梨央ちゃんの気持ちは分からないのでした。
「んで、どうすんの? 愛華」
梨央ちゃんに声を掛けられた。突然の事だったから、思わず「えっ?」と何も分かっていないフリをしてしまったみたいになる。別にフリじゃないんだけどね……。
「どうしよ。ってか、どうするっていうような話じゃないよね?」
「まあ、そうか」
あはは~と梨央ちゃんはわざとらしい笑い声をあげる。前はもしかしたら、梨央ちゃん何やってんだろ、とか思ってたのかもしれない。でも、今は私を元気づけようとしてやってくれているんだって分かる。これは、梨央ちゃんが変わったからなのかな? それとも、私が変わったから?
どっちでもいいけど……どっちでも、よくない。本当は気が付いてるんだ、もう。
私はきっと、男性恐怖症だったあの日から変わっているんだって。もちろん、男性恐怖症じゃなくなったってところも変わってる。でも、もっと変わってることがあるんだと私は思う。
これと言ったはっきりした変化部分は見つけられてないけど……。でも、変わってる。絶対に。
「私、告白します」
宣言しちゃった。というか、した。これは私が決めたこと。今まで見たいに流されてきた自分じゃなくて、ちゃんと自分だけで決めたこと。もちろん、手助けを必要としないってわけじゃない。
私はドジだし泣き虫だったし、男性恐怖症だった。人につい合わせちゃったりするし、ドジだし……あれ? ドジって二回言っちゃったかも。やっぱドジだね、私。
まあ、そんな感じでいろいろあったしね……。よしっ、私優輝君に告白する!
好きかどうかはわからないけど、ん? 好きかどうかわからないのに告白ってするものだっけ!?
いやいやいや、違う違う。危なかったよ。私、告白初心者どころか恋愛初心者で、さらに元男性恐怖症だったんだから、気持ち分かんなくてもしょうがないって言われたらそうかもしれないけど、いやでもダメだよね!? 気持ち分かんないけど多分好きです! とか言われても嬉しくないよね!?
う~ん……考え直そうか。




