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君の地獄まで  作者: なー


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3/3

俺の地図

「本当に目的地を知ってるんだよね?」

「もちろんです」


 旅の途中でアイスを買いに行く案内人。

 それにその後もこれはなんですか、あれはなんですかと俺に質問してばっかり。絵本で見たことがあるようなものだったから答えられたけど、俺のほうが説明しているのはやはりおかしいと思う。

 訝しげな目で彼女の方を見ると、彼女はしてやったりと言わんばかりに紙を掲げる。


「なんだこれ?」

「地図です」


 いや分かってるけど...。彼女の見事なまでのドヤ顔に、俺のツッコむ気力は失われていった。


「さっき買ったんですよー」

「さっき買ったの?ホントに俺を案内する気あった??」


 そう聞くと、彼女は少し寂しそうな顔をした。なぜだかは分からない。彼女は表情をころっと変えて正論を放った。


「現地の人に聞くのが一番なので」

「そうなのか...」


 俺は彼女の地図を覗き込んだ。そこにはご丁寧に地獄という文字が書かれてあって、赤いペンで丸をしてあった。周りにいる妖精たちが地獄を目指すことはなさそうだから、地獄への地図を買ったというのは考え難い。彼女がこの地図を完成させたのだと思った。

 だが、地獄以外に俺の分かる文字はない。案内人にしかわからない言語なのかもしれない。

 それに、今俺が頼るべきは地図ではない。


「案内人さん、俺の向かう方向はどっちですか?」


 俺が聞くと、彼女は嬉しそうに教えてくれた。


「東に向かいましょう!」


 俺も笑顔で答えるが、どの方向が北なのかを俺は知らない。彼女がきっと導いてくれるのだろうと考えて、彼女が歩き出すのを待つが一向に進む気配がない。


「あのう、死者様。」

「何?」

「コンパスを買い忘れました」

「...分かった」


 もうこれくらいでは動じない。彼女の性格はよく分かっていた。

 彼女が買ってきた何の変哲もないコンパスが、これからの冒険の道具のような大切なものに見えた。


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