第2話 変身?魔進化!
ここは、惑星ニューウィンド。
人類が地球を脱出し、たどり着いた第2の地球。
歴史に新たな風が吹いたとされ、名付けられた。
また、暦を新風と改めて200年が経とうとしていた。
これは、ある男の物語。
荒野の運び屋は、少女と出会う。
彼女を送り届けるべく、汽車に乗車するが憲兵と正体不明の敵と遭遇してしまう。
男は少女の前に立ち、叫んだ。
「君を守る!!」
とは、言ったものの武器なんて持ってなかった。
あぁ、先輩らのように護身用の小銃でも持っとくんだったなぁ。
キィシャァァー。
白銀のエイリアンは、ジリジリと近づいてくる。
槍の尻尾を左右に振り、俺を今にもブッ刺さんばかり。
そしてピタッと止まり狙いを定めたよう。
来る!
俺は、少女を庇うように抱いて目を瞑った。
「ぅぐっ!」
あれ?なんともない?痛みはない。
いや。確かに刺された感触はあった。
でも硬い何かがあって軽くつつかれたような感じ。
俺は少しずつ目を開ける。
目の前には少女。生きてる。
手の力を抜き、腕を少し伸ばす。
少女は目を閉じ両手を組んでいる。
何か、祈っているようだ。
〜♪
聞こえてきたのは、あの歌。
振り返ると、光に目が眩んだように後退り体を揺すっているエイリアン。
俺は少女と立ち上がる。
「君は、いったい?」俺は少女に問うが、またしても返事はない。
無表情の顔が、俺を見上げている。
「貴様ら、何者なんだ?」と、隊長の男。
それを聞き、俺は自分を見た。
背中を始め、体が部分的に装甲で覆われいた。
「何が、どうなってるんだ?」
分からないままいると、憲兵2人が話す。
「まさか魔進化か?」
「え?それってBB団がやるやつじゃ?」
「そうだ。ナノマシン硬化現象。やはりただの少女じゃない。とにかく、化け物を排除だ」
憲兵たちは、ダダダッと銃弾がエイリアンに撃ち込む。
「よくも!相棒の仇だ!」
この隙に俺は少女を担いで出口へ走る。
「今の内に!ランバぁ!?」
バシン!と扉横の壁に何かが叩きつけられた。
右を見ると、ガラの悪い憲兵が壁に叩きつけられていた。
「ひぃ」
頭がエイリアンの尻尾の先で貫かれており、意識は無かった。
振り向くと、隊長の男が、エイリアンと組み合っていた。
グググッと両手を握り合っているが、エイリアンの方が優勢だった。
組み合う状態からエイリアンは尻尾を抜こうとしていた。
が、壁に深く刺さり中々抜けない。
そこへ、ランバードが顔を出した。
「た、頼むぞ」と、ランバードに少女に託し、俺は荷台からナイフを抜く。
一応、調理用なんだけな。
するとナイフは、変化し始めた。
刀身が伸び、ナイフはソードに変わったのだ。
イケる。
俺は尻尾に狙いを定め、ソードを思い切り振り下ろす。
尻尾は半端な位置で切られ、反動でエイリアンと隊長は後ろにすっ飛んだ。
壁に激突したエイリアンに、床倒れ込む隊長。
メットに穴が空いており、左目辺りから血を流していた。呼吸が荒い。
「た、助かった。逃げたと思った、ぜ」
「いや、まぁなんだ。それより大丈夫か?」
はぐらかすしか出来なかった。
とにかく、現状をなんとかしないと。しか考えられない。
切られた尻尾は、しばらくバタバタと動いていた後、溶けるように消えていった。
ギギギギ、ギシヤァァア!
咆哮するエイリアン。
すると、切れたはずの尻尾が再生した。
そんなのアリかよ!
咄嗟にソードを構える。
飛びかかってくるエイリアン。
俺は、奴の頭に向かって、タイミングよくナイフを振りかぶる。
ヒュッ、と空を切る音。
パキン。と軽い音。
「折れた!?」ソードは、エイリアンの表皮を切る事なく、アッサリと折れてしまった。
唖然とした俺を、奴は見逃さなかった。
尻尾を振りかぶってきた。
「はや!」両腕を前に組んで防御耐性を取ると、腕全体が装甲で覆われていった。
バギィ。と尻尾を受け止め後ろへ吹っ飛ぶ。
片膝をついて体勢を立て直す。
再生持ちって厄介なんだな。
今更だけど、狭い客室じゃ動きにくい。
速攻だ速攻。
折れてもまだ刃はある。再びソードを構え直した所、驚いた。
「こっちも再生してる」
まるで生え変わったように、元の刀身に戻っていた。
後ろの少女を振り返る。
やはり、手を組み歌っていた。
なんなんだあの子は。
「ワタリガラス!よそ見するな」
隊長の声。
俺は向き直ると、エイリアンが両腕を振りかぶっていた。
「ヤバ!」奴の攻撃をすんでのところ避ける。
「ふ、うわぁぁあ!」
俺は突撃。やぶれかぶれに、ソードを右に振り抜く。
今度は手足を狙った。
キィシャァァ!
エイリアンの左腕が空を舞った。
それから奴は奥の扉前に着地した。
狙い通り。俺はソードを放り捨てタックル。エイリアンを扉に押し付け押し出そうとする。
苦しむエイリアン。右手で俺を引き剥がそうとするが、俺はやつの右手首と左肩を掴む。
ならばと、尻尾を振り回すが、俺は思い切り右足で踏み躙った。エイリアンの動きを封じる。
そこで隊長は、俺の思考を読んだのか、扉に銃を乱射。扉の周りに撃ち込んだ。
おかげで蝶番とドアノブが弱くなり、押し込むと扉が軋んだ。
これならイケるぞ!
「おぅりゃぁ!」
勢いをつけて右足で蹴り入れる。同時に手を離す。
扉はバギッと壊れ、エイリアンと共に地面に放り投げられ、ゴロゴロと地面を転がって・・・ない。
「うわ!!」
俺も外へ投げ出されそうになる。
仰向けで倒れるが、両手と左足で踏ん張る。
「く、うう、ぐぅ」
自由になった尻尾を俺の右脚に絡めた上、右手で柵を掴んで落ちてくれなかったのだ。
俺の右脚は伸び切り、踏ん張る左足と扉の枠を掴む両手にも限界が来る。
ジリジリと体は外へ外へ。
さらに、エイリアンの左腕はみるみる再生していった。
マジかぁ。
ガチン、ガチンと両手で柵を伝い、エイリアンは俺に覆い被さるまでに来てしまった。
歯を剥き出しにし、涎が俺の頬を伝う。
舌と共に尻尾をチラチラさせ、笑っているようにも見えた。
そして口を大きく開ける。
俺は目を瞑る。
も、もうだめだぁ〜。
ザシュ!・・・ゴト。
エイリアンの首が床に切り落とされた。
「俺を、忘れんじゃねぇ」
目を開けると、隊長の男がソードを持っていた。
一息つきたいが、エイリアンの体はゆっくり覆い被さってくる。
尻尾がゆらりと顔目掛けて振り下ろされる。
「う、うわぁー!」
クエッ!!
ランバードが渾身の蹴りを入れたのが見え、エイリアンは吹っ飛んで見えなくなった。
「はぁ。はぁ。終わった?」
息も絶え絶えで、心臓バクバク。
深呼吸する。
「ありがとな。相棒」と、ランバードをさする。少女も乗ってる。
いつのまにか、体の装甲は影も形もなかった。
だが。俺は、守れたんだな。
「ああ。とりあえずはな」
ホラっと、元に戻ったナイフを俺に返す。
「おいおい。その体で俺を逮捕するかい?」
フラつく彼に手を差し出すが、大丈夫だとジェスチャーする隊長。
「どうするかなぁ。だが、応援が来た時に話はしよう。取り調べくらいに止めるとな」
「まだいるのかよ。でも、それは助かる。のか?」
「協力者としてお咎めなしにするんだから良い方だろう?」
「うーん。・・・分かった。で、これは?」と、エイリアンの頭を指す。
「回収する。真犯人の手がかりになるはずだ」と、屈んで頭を掴み上げる。
「了解した。じゃあこの子は?」
俺は少女を見やる。
「無論、こちらでっ」
そこで言葉は途切れた。
俺は向き直り、目を見開いた。
男は喉を押さえ、ぐらりと崩れ落ちた。
咄嗟に男の体を受け止める。
倒したはずのエイリアンの頭が動き出し、隊長の首を噛み切ったのだ。
「どうして・・・」
俺が言う前に、エイリアンは溶けて消えた。
なんだったのか考える前に、今度は後ろが騒がしくなった。
向き直ると応援の憲兵たちと目が合った。
「貴様!よくも!」と、怒れる男の声。
またしても隊長と思しきメットを被り、頭にはクローバー♣️が記されていた。
「違う!俺じゃない!」
「じゃあ抱えているのはなんだ?憲兵じゃないのか?まさか第六隊長!?」
そして一斉に銃が向けられる。
くそぅ。誤解も解けず、殺される思いもゴメンだ。
俺はランバードに飛び乗り叫んだ。
「行け!」もはや泣きべそだった。
少女を前に抱き、俺はランバードを汽車から飛び出させた。
同時に弾丸の雨が襲うが、構わず着地し走り出す。
「前の森へ!」
体を掠める銃弾に怯えながら、俺たちは汽車から離れた。
クエッとランバードは加速し、手近な森の中へ逃げ込む。
過ぎ去る汽車を眺めながら、俺は立ち尽くす。
これからどうなるんだ。
つづく
次回、森の洗礼!耳長族と女剣士




