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【一年生編完】史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます  作者: 白い彗星
第五章 魔導大会編

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318話 蛇使いの魔女



「ひゃっはぁーーーおぅ!」


「ぐぉあぁ!?」


 開始より放たれた魔術によって、大半の選手が脱落した。そこに残った選手を、さらに減らす要因があった。

 笑いながら、奇声を発しながら、走るブルドーラ・アレクシャン。彼は過ぎ去る選手を片っ端から殴り倒していく。


 驚くは、その威力。たった一撃をもらっただけで、選手たちはことごとくが倒れていくのだ。

 生身も、防具で固めていても、魔力防壁を纏っても……等しく、誰もが崩されていく。


『これはなんということだ! まさにブルドーラ選手の独壇場だぁ!

 このまま彼が、勝ちの目を欲しいままにしてしまうのか!?』


「させるかよ!」


 独走を続けるブルドーラ、その前に一人の魔導士が立ち塞がる。

 彼の名はペピン。平民でありながら血の滲む努力をして、それなりに名が売れる魔導士となった。


 ペピンは自らの魔力を高め、イメージを具現化させる。空中に出現させた氷の槍を、勢いよく放つ。

 こんなもの、生身に突き刺せば怪我どころでは済まない。だが、結界内であれば死ぬほどのダメージにはならない。


 独走するブルドーラを止めるには、これくらい荒っぽいことをしなければ……


「けぇーはははは!」



 バキンッ……



「……ぇ……ぶふっ!」


 ブルドーラにぶつかったはずの氷の槍は、いとも簡単に砕かれた。

 ブルドーラは、防御の姿勢を取ったわけではない。ただ、ぶつかって、砕けたのだ。


 それにあっけに取られている間に……ペピンは、吹き飛ばされた。


「どうなってるんだ……」


 次々に倒されていく選手を見て、コーロランはつぶやく。

 魔法でも貫けない肉体。鍛えればあそこまで強化できるものだろうか。そもそも、雷の魔術の中を突っ切っていた時点でおかしい。


 おそらくブルドーラは魔導を一切使っていない。そもそも魔導を使えないのかもしれないが、この状況ではわからない。

 他選手と競いつつ、ブルドーラを観察する。


 そんな中……


「ぁ……」


 ブルドーラの突進する先に、リリアーナの姿があった。

 これまでの選手を見るに、弾き飛ばされたら一撃で終わりだ。そうでなくとも、リリアーナの華奢な体ではあれに耐えられるとは思えない。


 助けに入るべきか。いやそもそもここはバトルロイヤル……誰かを助けに、なんて甘いことは言っていられない。

 それに、今から助けに向かおうとしても、ブルドーラがリリアーナに衝突するほうが早く……


「ハハハァ、どけどけぇ!」


「……ふっ」


 二人の距離が近づき……あわや、衝突してしまうその寸前。リリアーナは体を動かし、自らのブルドーラの懐へ足を進める。

 そして、身をかがめてブルドーラの体の内側に入り込み……ブルドーラの腕を両手で掴み、体を反転させ、そのまま勢いに逆らうことなく……


 ブルドーラの体が、持ち上がり……背負い投げの要領で、ブルドーラは宙を舞った。


「お、おぉっ!」


 世界が回転する感覚にブルドーラは驚き、体が浮遊感に襲われる。

 そして、抵抗することもなく、もしくはできず……背中から、地面に叩きつけられる。


「……すっご」


 その光景を、コーロランは……いや、誰もが驚いた様子で見ていた。

 吹けば倒れてしまうような細身の女性が、自分よりも巨体の男を投げ飛ばしたのだ。いくらブルドーラの勢いを利用したとはいえ、だ。


 さらにリリアーナは、油断することなく杖を構えて……


「ファイヤ」


 短く言葉を紡ぐと、杖の先端から火の玉が放たれる。

 魔法に言葉は必要ない。しかし言葉にすることで、言葉とイメージを強く結びつけ、手早く魔法を放つことが可能だ。


 無表情のまま、リリアーナはブルドーラへと火の玉をぶつける。それも何発もだ。

 その間、ブルドーラはただ、火の玉を身に受けていた……のだが……


「けぇっはーはっはっは! こんなものか!?」


 その場で、腰の力を使い軽く飛んで、足のみを起き上がる。とんでもない筋力だ。

 立ち上がるブルドーラの体には、やはり傷一つついていない。


「まったく通用していませんか。困りましたね」


「けへははは、いやいーい対処だった。力でぶつかり合うのではなく力で受け流す。新鮮だ。

 だが、それでは足り……ぬ?」


「えぇ、足りないのはわかっています。なので……」


 リリアーナの体術は、ブルドーラにとっては新鮮だ。彼には、力で挑んでくる者が多かったから。

 しかし、それでは足りない……足を踏み出そうとするが、おかしい。足が動かないのだ。まるでなにかが足を縛っているかのように。


 ブルドーラは、足元へ視線を向けた。そこにあったのは……


「蛇?」


 白い蛇が、文字通りブルドーラの足首に巻き付いている姿であった。

 モンスター……しかし、この会場に野生のモンスターが現れることなどありえない。従って、このモンスターは何者かの使い魔だ。


 そして、その何者かは……目の前の、女だ。


「あんたの使い魔か」


「えぇ。その子、毒を持っているのでお気をつけください」


 リリアーナの使い魔、白き蛇は、ゴルドーラをはじめ他の使い魔に比べて派手さも華やかさもあるわけではない。

 だが、リリアーナはひと目でこの子を気に入った。


 彼女は、"蛇使いの魔女"と呼ばれるほどに、その扱いは見事だ。


 それを知らない者はいる。たかが蛇の巻き付きだ。ブルドーラは力づくで足を踏み出そうとするが……どうしてか、足を上げることができない。

 まるで、鉄の重りでも付けられているような気分だ。


「その子の重さは自在。今あなたを縛っているその子の重さは、鉄並みですよ」


「! ほぉ、奇っ怪な……それはあんたの魔法かな? それとも、この蛇の能力かな?」


「ご想像におまかせします」


 動けないブルドーラ。その間にリリアーナは、集中し、魔術の詠唱する。

 奇しくも、ブルドーラが他選手をなぎ倒したおかげで、最初の雷魔術含め舞台にはあまり選手は残っていない。

 おかげで、難なく魔術を詠唱することができる。


 それだけではない……リリアーナが魔術を詠唱している、その間に。

 ブルドーラのその太い足首に、白蛇の鋭い牙が、突き刺さった。

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