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斧使いのおっさん冒険者ハーレム英雄譚 ~報われない人生が神話級の斧に出会って激変する話~  作者: いかぽん
第3章

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イビルフラワー退治(ボス戦)

 無数の蔦を蠢かせ、二人の女性冒険者を苛む巨大イビルフラワー。


 俺とエレンは、あと二、三歩も踏み込めばその蔦の攻撃範囲に入るという位置まできた。


「さて、じゃあ行くとするか」


「うん。じゃあボクから先に行くよ──剣士エレン、参る!」


 まずはエレンが、勢い込んで親玉イビルフラワーの支配領域に踏み込んでいく。

 だが──


「──うわっ! とっ! ひぇっ!」


 ぶん、ぶん、ぶんっ!

 エレン目掛けて放たれた、幾本もの蔦の連続攻撃。


 エレンは猛烈なスピードで襲い掛かる蔦攻撃を三発回避したところで、慌てて敵の支配領域から逃げ出してきた。


「はぁっ、はぁっ……! ご、ごめんダグラス……これ、ボクには厳しいかも……。無理すればいけなくもないけど、二、三回立て続けにミスったら瞬殺されるやつだこれ……」


「へぇー。じゃあルークのやつ、結構頑張ってたんだな。これをかいくぐって、あの二人のもとまで行ってただろ」


「頑張ってたなんてもんじゃないよ。あいつの実力だったら、命を捨てる覚悟じゃなきゃ、あそこまでいけないよ」


「あいつなりに体を張って仲間を助けようとしたのか。まあいいや。じゃあエレンは下がってな。無理をされると俺が困る」


「う、うん、分かった。……でも、ダグラスは大丈夫?」


 心配そうに聞いてくるエレンに、俺は口元を吊り上げてニッと笑いかける。

 それから巨大イビルフラワーの支配領域に無造作に踏み込んでいった。


 ぶん、ぶん、ぶん……!

 エレンのときと同じように、幾本もの蔦が襲い掛かってくる。


「ほっ、よっ、おっと」


 上から振り下ろされたものを横に動いてかわし、横薙ぎの上段攻撃をかがんでよけ、同じく横薙ぎの下段攻撃を軽くジャンプして回避。


 そのあと斜めからの回避しづらい攻撃が来たので、それは左腕でガードして対応。

 多少ダメージはあるが、無視できる範囲だ。


 俺はその後も、攻撃を適当によけたり、めんどくさいから当たったりしながら、ずんずんと進んでいく。


「あー、そっか……ダグラスの場合、全部よけなくてもいいんだ……。は、ははは……その発想はなかった……」


 背後から、エレンの呆れたような声が聞こえてくる。


 実際、俺とエレンとでは敏捷性に大差はない。

 圧倒的に違うのは打たれ強さと、【治癒能力】の有無だ。


 そうやって細かいことを無視して進んでいけば、やがて大木の幹のごとき太さの茎の前までやってくる。


 俺は木こりのように斧を振りかぶると、それを思いきり、目の前の巨大茎に叩きつけた。


「──うらあっ!」


 ──ガゴォオオオオオオオオンッ!


 轟音を上げ、聖斧ロンバルディアは巨大茎の半ばまで刃を食い込ませた。


 斧を引き抜くと、巨大植物のパックリと割れた傷口から、大量の体液が噴き出していく。


「な、なんだ今の音は……!? すげぇ音がしたぞ!」


「いったい何だ!? 城壁でも壊れたか!?」


「大丈夫! ダグラスが、斧を打ち付けた音!」


「「「いやいやいや! 斧でそんな音はしねぇよ!」」」


 周囲の冒険者たちとエレンとが、声を掛け合っているのが聞こえてくる。


 このぐらいの手ごたえは、キマイラ相手のとき以来だな。

 斧を打ち込みがいがあるってもんだ。


「もう一丁だ──おらぁあああっ!」


 俺はもう一度、直前に打ったのとまったく同じ場所に、斧を叩き込む。

 再び轟音が鳴り響き──


 ──ブチブチブチッ、ズバァッ!


 巨大茎の最後の繊維まで引き千切って、巨大茎を両断した。


 ──ズドォオオオオンッ!


 茎が両断され、巨大な花を伴った上部が落下してきて、地響きを鳴らした。


「おっと、あぶねぇ」


 拘束していた蔦の支えを失って落下する神官アデラと魔法使いシェリルの二人を、俺は抱きとめて救助する。


 その頃には、巨大イビルフラワーの花も茎も蔦も、すべてがしおしおに枯れ落ちていた。


 俺は艶姿の二人の女性冒険者を両脇に抱えて、エレンのもとへと戻る。

 俺を出迎えるエレンは、目をぱちくりとさせていた。


「終わったぞ。……って、どうしたエレン? 妙な顔して」


「あ……お、おかえり。いや、その……まさかこんなにあっさり終わらせるとは、思ってなかったもんだから……。──ところで、その子たちはどうするの? すごくもどかしそうだけど」


「どうもしねぇよ。──さて、残りのイビルフラワーの大掃除だ。こいつはエレンにも頑張ってもらうぞ。あとミィナも、手伝ってくれ」


「承知。ボクも少しは活躍しないとね」


「ミィナも了解にゃ」


 そうして俺たちは、森の中にいた残りのイビルフラワーも全滅させた。


 どうも親玉を中心に広がっていたらしく、まだまだ結構な数がいたが、無限にいるわけでもないので時間の問題だった。



 ***



 カー、カー、カー。

 夕焼け空を、鳥が鳴き声を上げながら飛んでいく。


 俺はミィナとエレンを連れ、村から街へと戻る街道を歩いていた。


 イビルフラワー退治を終え、街に帰ってクエスト達成報告をする前に、俺はミィナとエレンの二人とともに他に誰もいない森の中に入って、三人でまた大人の階段を上った先のあれやこれやをしてしまった。


 何というかまあ、三人ともいろいろあてられてしまったわけで。


 あと触手に浮気をしようとしたエレンには、しっかりとお仕置きをしてやったことを付け加えておく。


 そんなわけで、ほかの冒険者たちはもう街へと帰還していることだろうが……まあ、慌てることもない。


 俺たちは牧歌的な風景の中を、雑談をしながらのんびりと歩いていく。


「にゃうぅぅっ……はやく街に帰って、お風呂に入りたいにゃ。外でやると、そういうところがにゃあ……」


「替えの服も洗濯しないとだしね。……でもボクもだけど、ダグラスもひょっとして、服を着たままが好きだったりする?」


「まあな。ぶっちゃけて言うとこう、普段のお前たちに対する征服感みたいなものがだな」


「それはぶっちゃけすぎにゃ、ダグラス。男ってみんなそうにゃ?」


「でもボクはダグラスに征服されるの、結構好きだなー」


「エレンがそうなのは知ってるにゃよ」


 二人の彼女とそんな猥談のようなものをしながら歩いていると、肩に担いだ聖斧ロンバルディアから声がかかる。


『さて、わが主よ。またも報告が遅れたが、いつもの朗報じゃ』


「お、あれか。レベルが上がって新しいスキルを修得したってやつだな。……しかしロンバルディア、お前ひょっとして、いつも言うタイミングを考えてくれているのか? そのレベルってやつが上がるのって、俺がお前を使ってモンスターを倒したときだよな」


『いかにも。だが我は、誇り高き聖斧ロンバルディア。そんじょそこらの魔剣や魔槍とは格が違うのじゃから、空気を読むぐらいは造作もないわ。……しかしな、わが主よ。一つだけ重要なことを言っておこう』


「なんだ?」


『誇り高き我とて、構ってもらえぬと寂しい。……最近の我の出番、このスキル報告しかないのはどうかと思うのじゃ。我に出番を、もっと出番を』


「…………」


 それは難しいんじゃねぇかな。

 立ち位置的になぁ。


「それで、ロンバルディア。新しく覚えたスキルがあるのか?」


『さらっと流しおったな……まあいいわ。そして喜べわが主よ。今回は(レベル)が二段階上がって、修得したスキルは二つじゃ』


「ほう」


 まあイビルフラワーの親玉はキマイラ以上の強さだった気がするし、普通のイビルフラワーも最終的に相当な数を倒したからな。

 そういうこともあるだろう。


「で、内容は?」


『うむ。まず一つ目は【毒耐性】のスキルじゃ。これでお主は、致死毒、麻痺毒そのほかあらゆる毒物に対して常人よりもはるかに強い耐性を得た。これも【カリスマ】と同じく常時発動型(パッシブ)のスキルじゃな』


 なるほど。

 地味だが役に立つ機会はあるかもしれないな。


「もう一つは?」


『二つ目は【絶対防御】じゃ。このスキルを発動すると、わずかの間じゃがお主は一切のダメージを受けつけなくなる。効果時間は五秒ほど。一度使用すると以後二十四時間は再使用ができなくなるから注意せい』


「【鬼神化】みたいな副作用はないのか?」


『うむ。副作用はないの』


 そうか。

 使いどころがあるのかないのかいまいちよく分からんが、少なくとも、反動がないなら普段使いする余地はあるな。


 しかしロンバルディアの力、最初からとんでもないのに、それにどんどん拍車がかかっている気がするんだが大丈夫かこれ?


 ──ともあれ、あとは街に帰って冒険者ギルドに報告して、報酬を受け取って終わりだ。


 俺はミィナが抱えている、イビルフラワーの討伐証明部位を入れた布袋を見る。


 特に重そうではないが、しおれて小さくなった魔花が袋いっぱいに詰まっている時点で、何かがおかしい。


 俺は嫁たちと一緒にのんびりと街道を歩きながら、夕焼け空を見上げる。


 討伐報酬は一体あたりの勘定だったはずだが、はてさて。


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