AM 08:31
真っ暗で狭い、ダクトの中。
(……何とか、助かったけど……)
ドラグノフを背負って這いながら、グースは小さく息を吐いた。
潜んでいた部屋に見回り組のテロリストが迫った時、咄嗟に見上げた部屋の天井隅には、点検口があった。
丁度背の高い書棚の付近だった事も幸いし、間一髪で潜り込んで難を逃れることに成功。
そうして誰もいない部屋を見た見回り組が、階下の爆発による揺れで花瓶が落ちた音だったと判断して去った後には、鍵の壊された部屋に居座るのも落ち着かず、ダクト伝いに移動したり、時折床に降りては、別の点検口から床下や天井裏に潜って進んでいる。
(……〝南側通路から入った〟って、確か、言っていた)
見回り組は、無線で連絡を取っているテロリスト達が、南側から入って来たと言ったのだ。そして、その直後に爆発が起きたのである。
(それなら、一階南側に行ければ、何か分かるかもしれない……)
狭いダクトの中を這いながら、グースは考える。
(……動かずに、ここで待ってた方が良いのかな……)
何が起きたのだという不安と、下手に動けば更に事態を悪化させるのではないかという不安が、グースを行動させようとし、同時に行動を躊躇させていた。
(……それに、そもそも、どうやって1階へ行こう……)
グースが現在潜んでいるのは、2階の南側寄り教室の屋根裏ダクトだった。
(3階から2階みたいに、昇降機の縦穴は使えない)
西棟には、機材等を運ぶ為の小荷物専用昇降機がある。
飲食店や学校施設で、料理、給食を他階に運ぶ為などに使用される小さな昇降機は、この西棟では、有事の武器や物資の運搬用設備として備えられていた。
階段を使用するのは、テロリストとの鉢合わせ可能性に対して、あまりにリスクが高いと判断したグースは、3階から2階までは、この昇降機の縦穴を伝って移動したのである。
けれど、昇降機の筐体が1階で停止しているため、その筐体が縦穴から当該階へ出る扉を塞いでしまっており、1階には同じ方法では到達が出来ないのだ。
2階の昇降機縦穴から出た先の教室天井裏で、グースは次の行動に迷って暗闇を睨んでいた。
そこへ。




