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上田みき

初投稿です。公募では出しにくい構成の物語を描いてみました。

文字数があまりないので、するっと読めると思います

少女漫画の主人公のような女の子だった。

バスが一日三本しか来ないような田舎はトレンドなんてなくってルッキズムは穴ぼこのようだった。前髪を整えるような子も、眉毛を剃るそうな子もいなかった。

だから、浮き彫りになる。顔の小さい子、目が大きい特別な子が。

由紀子ちゃんは完璧だった、腕が細くて、腹が平たい。微笑んでいるような真顔な横顔が余りにも繊細で、帰り道のサツマイモ畑が似合わない女の子だった。それでもクラスの男子から人気なのは、江口桜子だった。二人はよく一緒にいる、細くて身長の高い由紀子ちゃんと背の低い桜子。

はたから見たら凸凹でどこかで見たお笑い芸人のコンビのような身長とスタイルだ。

それとあの女といるとき、どこかいつも見透かしている由紀子ちゃんが大口をたたいているのもそう見えた原因の一つかもしれない。私は高さの違う赤の二つのランドセルを見守って帰ることしかできなかった。

桜子はモテているのではなく、いわばいじられ役だった。男子がチビ!と言えば犬のように吠えて場をうるさくする。あぁうるさい!わたしだったらもっとうまくできるのに、私が隣に行けたら、きっと、お笑い芸人なんて言わせない。

貫くような暑さの後、涼やかになっていく通学路で私は異変に気付いた。

由紀子ちゃんがスクールバックをもって一人で歩いている。

その異変は、次の日も、その次の日も続いた。焦がれていた隣は、思ったより簡単に手に入った。想像していたより彼女はにこやかに笑い、話して。噂話に花を咲かせる普通の女の子だった。彼女の日常に取り込まれた私は、絵にしたら背中しか写らないのだろうな。



大学も、彼女と一緒に塾に通い、彼女の後を追うように東京に引っ越した。


彼女と過ごすキャンパスライフは、思い描いた通りで、人が絶えなかった。


そわそわと卒業まで過ごして、互いの仕事には干渉せず大人の遊びにシフトチェンジしていった。


いつからだろう。渋谷、15時半。居酒屋のバイト前にフラフラと人をかき分けて歩く。音楽も聞かずにきょろきょろと、交差点を渡ろうと赤の信号を見ていたら、見覚え深いスラっとした背の高い由紀子ちゃんと背の低いショートカットの女が居た。


……江口桜子だ、口を広げて笑うあの顔。フラッシュバックする。


彼女から新作のワンピースのリンクが来なくなったのだろう。


ぐるぐると思考が巡る。私は変わりに過ぎなかったのだろうか。もしや、それ以下だったのかもしれない。




気まぐれに見ていたニュースに、少女の不慮の事故が映る。

……SNSで少し話題になっていたやつだ。

私はスマホを開いて、アルバムを開いた。写真をぱしゃり。

「【拡散希望】〇〇市立××高等学校 江口桜子」そんな見出しでSNSに根も葉もないいじめの記録を綴った。できるだけひどく、悲しい結果で終わるように。

正義を気取った拡散者がいっぱい居て、暴露系に取り上げられ、勢いはさらに箔をつけた。中には「特定完了!」「報復を!」なんてひどいヘイトだ。

ただの腹いせだった。ここまで大きくなるなんて、思ってなかった。

あぁ。加害者のセリフだな。次々に湧き出る火種にため息が出た。

そんなことをしていても、由紀子ちゃんからLINEが来ることはなかった。

変わりに、江口桜子の母親から葬式の案内のメールが来た。

小中高の同級生は黒色を纏って、大人びていた。もちろん由紀子ちゃんもいる。普段選ばない暗い色とどこを見ているのかわからない表情。

燃える桜子とは裏はらに、私の背中には水がびっしりだった。

燃えていく桜子を見るのは二回目だ。


由紀子ちゃんがコーラを零す。私は跪いて拭いた。見上げても由紀子ちゃんは微笑むような口角の真顔でこちらを見る、その手には私のアカウントとスマホが写っていた。

思想

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