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相川大翔

初投稿です。公募では出しにくい構成の物語を描いてみました。

文字数があまりないので、するっと読めると思います

やっと寝静まった。

彼女は、いつも決まって頼んでいた宅配のご飯大盛りを付け足した海鮮丼を、半分残してた。

ラップをかけて、冷蔵庫に戻すというやさしさはもう残ってなかった。

カピカピになったそれから目を逸らし、テレビをつける。

爽やかな音楽とともにアナウンサーが今日の天気を読み上げている。

今日のニュースは二件。

上野のパンダが帰ったらしい。

パンダのいない上野に誰が興味を持つのだろう。

いつ来るのかもわからないパンダを待ち続けるのだろうか。

パンダの絵や看板、置物が多々置かれている上野はなにが残るのだろう。

実際に見たこともないパンダに思いをはせていると次のニュースが流れてきた。

この辺で小学生がトラックに挽かれたらしい。

この辺りも物騒になったなぁなんて思っていると、ふと思い出した。

そういえば彼女も初めて会ったときトラックに挽かれかけていたなと。

大学のコンペだか、なんだったか。

高校の時からの彼女が切れて、入り込むように現れた。

危なっかしいのに周りを見ていない彼女の手を引いた、その時、初めて女に対して力を使った触れ方をしたかもしれない。

ぱりっとしたストレートにしようとなれないヘアアイロンを使って頑張っていたけど所々にうねりがあった桜子。

きゅっと潰せてしまいそうな小柄な体、高校の時に付き合ってた女とは真反対だった。

見かけに寄らずガンガン来る彼女はLINEを毎日送ってきた。

講義で必要なものだったり、調べたら出てくることを聞いてくる、俺はそれに答え、ガキみたいに夜までLINEをした、おやすみを送って、おはようと返した。


ニュースに見飽きて、たばこを吸おうとベランダに行こうとしたら彼女が起きてきた。

「はると。」

おはようもなにも言わずに名前を呼ぶ彼女を無視してベランダに出る。

会社からそのままうちに来た彼女は24にもなってスーツのまま寝た。

「話があるの」

 昨日ずっと気まずそうに、ちまちま海鮮丼を食べていたあたりから、嫌な予感はした。

きっとこのことだろう。

「……浮気してごめん、会社で本当に好きな人ができた。」

彼女は鳩が豆鉄砲を食ったように目を見開いた。

「こんな形になって申し訳ない、別れてほしい。」

「はると?違う。違うの。あの。」

いつ言おうか、とずっと思ってたことだ。

この際はっきり言えてよかったのかもしれない。

ぱくぱく口を開いてなにか言ってるけどもう、何もわからなかった。


 それからちょうど一年だっただろうか。

偶然、彼女が住んでいたアパートの近くに来ていた。

お互いというか、彼女は友好関係が薄いのでよくお互いの家を行き来することが多かった。

……表札が変わっている。

引っ越したのか、なんて思ってたら隣に住んでる顔なじみの隣人が帰って来た。

俺を見て、目を見開いて驚いた。

「なんでいるんですか。」

「たまたまここを通って、桜子が住んでたので。」

とっさに恋人のフリをしてしまった。

「……なにヘラヘラしてるんですか、江口さん、ちょうど去年のこのごろ自殺したんですよ」

「は?」

出たのは身勝手な言葉だった。

訝しげな顔をして隣人は部屋に帰っていた。

俺に縋ってたのはわかってたけど、わかってはいたけど。

もしかして、おれのせい?俺と別れたから?

浮気がバレて焦った俺は、確かにひどい言い方をしてしまったかもしれないけど、 

ずっと未読にしていたLINEを開いて、スマホを落とした。

あぁ。桜子が一番かわいかった。

髪のセットができない不器用な桜子も。

何処か自信がないのに話すことをやめない桜子も。

別れを受け入れられない桜子も。 

俺のせいで死んだんだってさ。

その足のまま、上野に向かった。

あいかわはやと、です。

上野のパンダの置物を良くずらして遊んでます。

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