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運命の人は男の子でした【完結済】  作者: 甘語ゆうび
三章【リガルーファル家編】

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馴れ初め聞かされてるみたい

「⋯⋯行っちゃいましたね」

「クルリ、逃げ足だけは昔から速いですから。まぁでも、クルリがああ言うのなら、任せちゃって大丈夫だと思いますよ〜」

「⋯⋯あの、さっきのやり取りを見て思ったんですけど、お二人は、クルリさんと親しいんですか?」


 私が訊ねれば、応えてくれる。しかし、口を開いたのは意外にもフォルテさんの方だった。逆にノアラさんは口を固く閉ざしていた。


「昔から、交流があったんです。うちとノアラは孤児で、孤児院に住んでたんですけど、うちらは元から、霊力が強かったんです」

「霊力?」

「⋯⋯主に、霊を視たり、浄化したりするのに必要な力ッス。あ、魔力とは別物ッスよ。魔力は、産まれ持った誰もが持っている力ッスけど、霊力を持った人間は滅多に産まれないッス。でも、自分達はそれが一際強かったってことッス」

「そう。だから、昔から他の人には見えないものがよく見えていたんです。それで、不気味がられて、葬儀屋の経営している、()()()()()が集まる他の孤児院に移動させられました。そこで出会ったのがクルリってわけです。だから、うちらは結構長い付き合いなんですよ」

「そうだったんだ⋯⋯」


 幼なじみ、というやつだろうか。私にはそういった昔馴染みな友達が居なかったし、大体の友達にさっさと縁を切られたから、少し羨ましい。


(それにしても、さっきからなんなんだろうな。この空気。馴れ初め聞かされてるみたい)


 学生の眩しい青春に思い切り当てられているみたいだ。ラブコメ漫画でよく見かける三角関係みたいに感じる。


「⋯⋯クルリ、多分、殿下に対して凄く腰が低いし、すぐ謝ってると思いますけど、なるだけ怒らないであげてください。根は凄く良い子なので」

「怒りませんよ。それに、クルリさんが良い人というのは、さっきのやり取りで分かっていますから。私の身を案じてくれているの、ちゃんと分かりましたよ」


 私のことを嫌いだったり、どうでもいいだなんて思っていたら、私がまた襲われることを心配して魂確保にだって向かわない。それどころか、そんな選択肢すら出ないだろう。それだけで、彼が優しい人ということはすぐに分かる。


「⋯⋯話、まとまったか?俺、そろそろ会場に向かわないといけないんだが」

「え、そうなんスか!?あ、もしかして、クルリと向かう予定だったッスか?」

「あぁ。だがまぁ、アイツに急用が入ってしまったなら仕方ない。俺一人で向かう」

「お、お一人でッスか!?大丈夫ッスか?」

「問題ない。近くの村で馬車を捕まえて向かう」

「そうッスかぁ?なら、くれぐれも気をつけて行ってきてほしいッス」


 ノアラさんは先程とは打って変わって、満面とはいえないが、淑女らしい笑顔でシルヴィさんの対応をした。


「あぁそうだ。舞台までにはまだ時間があるから、リガルーファルの家は好きに見てもらって構わない。ついでに、シャミア達にも会ってくるといい。この時間だと、三人とも温室に居るだろう。ノアラ、フォルテ。しっかりと時間を見て動けよ」

「勿論ッス!」

「分かってますよー」

「では、俺はこれで。⋯⋯殿下、また後程」

「はい!また会場でお会いしましょう」


 シルヴィさんは優雅に一礼して、私達に背を向けて歩き出していった。


「⋯⋯さて、というわけですので、自分達はシルヴィ様の仰った通り、温室に行くとするッス」

「おー。⋯⋯あ、でもその前に、殿下にはこれあげる。手出してくれます?」

「え?はい」


 フォルテさんに言われるがまま右手を差し出すと、中指に赤色の宝石がはめ込まれた指輪を付けてくれた。自分の眼前まで持ってきて、指輪を凝視する。


「⋯⋯これは?」

「お守りみたいなものです。さっきみたいなことを少しでも防ぎたいので、リガルーファルに居る間は、その指輪を絶対に外さないでください」

「⋯⋯それ、寝る時や、お風呂の時も?」

「当然ッス!寧ろ、そういう時こそ一番危険ッス!自分達が傍に居ない間に襲われるとか、一番避けるべき事態ッス」

「まぁ、それはそっか⋯⋯。分かりました。指輪は外さないようにします」


 手を下ろして、歩き出した二人に着いていく。


「そういえば、さっきのことで聞きそびれたことがあったんですけど、二人のあの武器ってどうなってるんですか?魔法だったりするんですか?」

「いや、あれは魔法具のうちの一つッス。普段は指輪で、必要な時に武器の形に変化するんスよ」

「うちらの師匠のお手製です。幽霊特化型の武器で、人間や他の生き物には効果が無いんですよ」

「え!?そうなんだ。凄い武器ですね」


 私が相槌を打つと、二人は急に歩みを止め、私の方をじっと見てきた。


「⋯⋯ねぇ殿下、自分ずっと思ってたんスけど、なんで敬語なんスか?違和感なんスけど」

「え、だって、初対面だし、ちゃんと働いているし、年上っぽいから⋯⋯!」

「客人である殿下が、メイドであるうちらに敬語を使うのが不思議って話です。あとうちら、殿下と同い年ですよ」

「えぇ!?嘘だぁ!二人とも十六歳!?」


 私の声に、二人はこくりと首を縦に頷いた。私よりも何倍もスラッとしていて、あんなに強くて同い年だなんて、信じられない。


「そ、そうなんだ⋯⋯」

「だから、自分達には敬語を使わなくていいッスよ。普通に話してほしいッス。自分達もそうするッスから!」

「ノアラはもう既になってんじゃん」

「く、癖なんスよ!⋯⋯あ、でももしかして殿下は嫌だったッスか!?」

「え?いや、私は全然気にしてないよ。寧ろ、好きに話してほしい」


 私の言葉に、ノアラは胸を撫で下ろした。


「それじゃ、改めて温室に向かうとするッス!」

「今日はどんなお菓子が貰えるかな〜」

「自分達、お菓子目当てで行くんじゃないんスよ」


 二人の喧騒に挟まれながら、私達はシャミアさん達が居るらしい温室へと向かうこととなった。


 二人、新しく友達が出来た、と思う。

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