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クラスで一番の美少女が俺と一緒に住むことになりました  作者: 紅狐
第五章 それぞれの想いを胸に

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水族館のお土産


 スタッフの方に勧められ、杏里と一緒に舞台裏に潜入中。

普段は見えない裏部分を見ることができる。


「ここが巨大水槽の真上です」


 幅数メートル、高さ数メートルの巨大水槽。

真上から見ると正直よくわからない。

しかも波が常にあり、魚はなかなか見ることができない。


「なんで波があるんだ?」


 水槽にあえて波を立たせているようだ。

そのせいでここから魚を見ることができない。


「下から見上げた時に、水槽上をお客さんに見せない為、だったかな?」


 杏里が耳元でボソッとささやく。

常に俺の隣にいる杏里。その距離、限りなくゼロに近い。

むしろくっついている。


「そっか、水槽の向こうは館内だからこっちが見えないようにしているのか」


 突然ウェットスーツを着た人が目の前に現れた。

びっくりしたのか、杏里は俺に抱き着き俺の後ろから水面を見ている。


「こうして、スタッフが自ら中に入る事もあります」


 水面でスタッフがこっちに向かって手を振っている。

そして、巨大水槽の後は狭い通路を通り抜け、明るいところにやってきた。


「司君、ペンギンがいる!」


 杏里の指さす方向にペチペチ歩いているペンギンが見えた。


「お、ペンギンの行列だ」


 数匹きれいに並んでペンギンが行進している。

どうやら今から外に向かうらしい。


 俺達もペンギンの後に続き、明るい所に出た。

そこは外で少し寒い。ジャケットなしの俺はさすがに凍えるだろう。


「寒くない?」


 杏里が心配そうな目で、俺を見てくる。


「大丈夫、そんな長居しないだろ」


 それでも杏里は心配そうに俺を見てくる。


「だったら……」


 杏里が俺の腕に絡み、密着してきた。


「杏里?」

「ほら、こうすれば少しはあったかいでしょ? それとも、嫌だった?」


 そんなことありません! ありがとうございます。


「いや、あったかいよ。ありがとう」


 杏里に微笑みを送ると、杏里も俺に笑顔を返してくれる。

寒い空の下、俺は杏里のぬくもりを感じ、幸せな時間を過ごしている。


「それでは、ペンギンにエサをあげます。あげたい方はいますか?」


 杏里がすぐに挙手。

その瞳は輝き、スタッフにアピールしている。


「ではそちらの方。こちらへ」


 杏里が指名され、ぬくもりが去っていく。


「やった! ペンギンに餌あげてくるね!」

「行ってらっしゃい」


 笑顔で見送る。

そして、俺は再び寒くなるのだった。


 遠目に見える杏里は笑顔でペンギンに魚をあげている。

俺はスマホ片手に笑顔を写真に収める。


 その笑顔、俺はいつまで見ることができるのだろうか。

この先、ずっと隣で見ていることはできるのか?


「司君、かわいい! ほら、見てっ!」


 杏里は満面の笑みをこちらに向け、手を振っている。

俺も杏里に向けて手を振る。


「この子かわいいなぁ。持ち帰りたい……」


 俺はそんな杏里が、一番可愛いと心の中で思う。


――


 その後、いろいろな裏側を見てスタッフルームに帰る。

俺の服もすっかり乾いたようだ。


「お世話になりました」

「いえ、またご来場くださいね。あと、こちらを」


 手渡された一枚の封筒。

そんなに大きくなく、薄い。なんだろう?


「これは?」

「無料招待券です。ショーで濡れてしまった方にお贈りしているのですよ」

「招待券?」

「二名様ご招待券が三枚入っておりますので、よろしかったらまた来てください」


 ……高山。

もしかしなくても高山もここでもらったとか?

あり得る、高山だったら絶対一番前の席に座るはず。


 思ってもみなかったプレゼントを入手し、俺たちは館内へ戻った。


「面白かったね、裏側」

「そうだな。普段は見れないところを見ることができたし、いい経験になったよ」


 服も元通りになり、再び館内をぶらつく。

さっき見ていた大型水槽。

下から見上げると、波打っている水面のおかげでその先が見えない。

そんな工夫がされているんだな。


 その後、時間もちょうどよくなり、水族館でお昼にする。

帰り際にお土産コーナーへより物色。

杏里は相変わらず悩んでいるようだ。


「また悩んでいるのか?」

「うん……。このイルカのコースターとか、キーホルダーとかかわいいんだけど……」


 手に持ったイルカグッズ。

確かにピンクとブルーのキーホルダーとかかわいいよね。


「それ、買おうか?」

「でも……」


 杏里にコースター二枚を手渡す。

そして、俺はペアのキーホルダーをてにとり、杏里の手を握った。


「二人で買って、プレゼント交換しよう。今日はクリスマスだろ?」


 笑顔でうなずく杏里。

その笑顔のためだったら何でもできそうな気がする。


「うん。ありがとう。嬉しいな……。あのね、もし私があれが欲しいって言ったら、司君どうする?」


 杏里の指さす方向に視線を向けると巨大イルカのぬいぐるみ。

その大きさ、俺よりもでかい。

あれ、買う人いるの? 車に入る?


「……」

「じょ、冗談だよ、冗談。さすがにあれは持って帰れないよ」


 苦笑いしている杏里。

もし、俺が買うと言ったらどうなるのか。


「いいだろう。買ってあげよう、着払いで家に送ってもらう!」


 なんとなく言ってみた。


「嘘嘘、やっぱりいらない。さすがにあれは大きすぎる」

「杏里、イルカ好きなんだろ? いいよ、買ったら杏里の部屋に置こうな」


 部屋の半分はイルカになるだろう。

きっと出入りもままならない。


「やめ、それは困るよ!」


 杏里が俺の袖を引っ張る。

困った顔も可愛い。


「あれを置いても平気なくらい、でっかい部屋があったら買ってみるか」

「そうだね、いつか大きな広い部屋ができたら、あのイルカを置いて、子供たちと一緒に遊んでみたいね」


 部屋ができたら? 子供たちと一緒に?

俺は大きな部屋で遊んでいる子供と、その隣にいる自分と杏里を想像してしまう。

そう近くない未来、もしかしたら実現するかもしれない未来。

俺たちはその未来に向けて、歩いている。


 ふと、視線を杏里に向けてみた。


「違くないけど、違うの! そういう意味じゃないの! あのイルカに乗って遊んだら楽しそうだなって!」


 慌てている杏里を見て、俺も笑ってしまう。


「なんで笑うの!」

「いや、幸せな未来を描いているなって思ってさ」


 杏里が少し真剣な目で俺を見てくる。


「その未来、私の隣にはきっと司君がいるよ」


 杏里の手を握り、俺も杏里を見つめる。


「そうだな。俺の隣にも杏里がいるよ」


 二人で微笑み合い、手をつなぐ。

きっと俺たちの未来は明るい。

そんな気がした。


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【連載中】 微笑みの天使の恋心 ~コスプレイヤーの彼女は夢を追いかけるカメラマンに恋をした~

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