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クラスで一番の美少女が俺と一緒に住むことになりました  作者: 紅狐
第五章 それぞれの想いを胸に

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充実した日々


 ドキドキしながら封筒を開ける。

何だろう? 何が書いているのかな?

『好きです』とか書いてったりー!


『放課後、屋上で待ってます』


 ひと言しか書いていない。

誰? でも、この筆跡は微妙だ。

女なのか、男なのか分からない。


 でも、放課後に屋上ってあれしかないですよね?

絶対にあれですよね!


「放課後、屋上に来るように書かれている」


「女の子?」


「うーん、分からん。名無しの太郎さんだ」


「見てもいい?」


 俺は杏里にもらった手紙を渡す。

鑑識班の出番だ。


「この封筒はその辺で売っているし、この筆跡からも男女が分からない……。でも、放課後に屋上って事は……」


 どうする?


「とりあえず行ってみるよ。杏里は心配しなくてもいいよ」


「……うん。前と逆の立場になっちゃったね」


 そういえば杏里も屋上で何度か告白を受けたらしいな。

ついに俺にもそんなイベントが。

でも、答えは一つ! もし、付き合ってくださいとか言われたら、俺はこう答えるだろう。


『だが断る!』


 俺は意志の強い男。

杏里以上の女性はこの世にいないのだ。


 そして、あっと言う間に放課後。

時間が流れるのは早い。


「じゃ、俺はこの後予定があるので……」


「なんだ、先に帰るのか? ボウリングのチケット手に入ったから一緒に行こうと思ったのに!」


 高山! なんでそうポンポンと……。

まぁ、いい。


「すまん。先約なんだ。ボウリングはまたの機会に」


「しょうが無いな。天童がいないと、面白くないしなっ」


 なんでそうなる? 俺だってボウリング位できますよ?


「悪いな」


 俺は呼び出された屋上に向かう。

杏里はそのまま教室に残り、杉本と何か話していた。

さて、さっさと終わらせますか。


 屋上に行く階段を上がり、扉を開ける。

少しだけ冷たい風が吹く屋上。

そろそろ冬になるのかな。


 フェンスの手前に立ち、向こうを向いて立っている生徒がいた。

誰だろ?


「俺を呼び出したのは君か?」


 その生徒は振り返り、俺の目の前にやってくる。


「来てくれてありがとう。その手紙を書いたのは私」


 見た感じ真面目そうな女の子で、それなりに可愛い。

ま、杏里の方が可愛いけどね!


「名前も書かないで、なんで俺を?」


 彼女はゆっくりと俺に近づき、顔を覗き込まれた。

何を見ているんだ?


「傷、すっかり治ったみたいだね。ごめんね、急に呼び出して」


 彼女は俺から少し距離を取り、真っ直ぐに俺を見てくる。

もしかして、いよいよか?

内心ドキドキしながら彼女が口を開くのを待つ。


「天童君、結婚式も披露宴もすごくかっこよかったよ」


「おう、ありがとな」


 頑張りましたからね!

いやー、結構準備も大変だったんですよ!


「あのね、噂で聞いたんだけど……。姫川さんとお付き合いしてるの?」


 きた。何となく聞かれるような気がしていたけど、ストレートに聞かれた。


「そうだよ。姫川さんと付き合っている」


 少しだ悲しそうな表情をする彼女。

俺が悪いわけではないけど、何となく心が痛い。


「そっか……。じゃぁ、あの結婚式も二人が望んでいた事なんだね」


「……そうなるかな」


 スっと彼女が俺に抱き着いてきた。

おっふ、何ですかこの展開!


「ずっと、好きだったの。初めて天童君を見た時、一目で恋に落ちた」


 俺は優しく彼女の肩を握り、突き放す。

俺には心に決めた人がいるのだ。


「ごめん。君の気持ちには応えられない。俺は杏里の事が好きなんだ」


「……わかってた。多分実らない恋になる事はずっと前からわかってたよ。ごめんね」


「じゃぁ、なんで……」


「振られたかったの。自分の想いを伝えて、振ってほしかった。私も次の恋にいきたいから」


 もし、俺が杏里と付き合っていなかったら、彼女と付き合っていたかもしれない。

でも、今の俺には心に誓った杏里がいる。


「ごめんな。新しい恋ができるように応援しているよ」


 彼女の瞼に涙が見えた。


「うん。ありがとう、最後まで聞いてくれて。ずっと好きでした……」


 そんな事を言われると心が痛くなる。

なんでだろう。俺があの子に好きになられて、告白を断る。

でも、心が痛くなるのは罪悪感があるからなのか?


 胸がチクチクする。


「伝えてくれてありがとう。その気持ちに応えられなくてごめんな」


 彼女は振り返り、再びフェンス越しに遠くを見ている。

もしかしたら泣いているのかな?


 でも、ここで声をかけるのは違う気がする。

俺は色々と考えながら屋上の入り口に向かって歩く。


 ……入り口に向かう途中、扉が少しだけ開いているのに気が付く。

何となく、誰かがいるような気がした。

途中からダッシュして扉を一気に開ける。


「何でいるんだよ」


「……ごめん。どうしても心配になって覗きに来ちゃった。司君だって前、覗いていたでしょ?」


 まー、確かにそうですね。


「覗きはあまりいい事ではないぞ?」


「うん……。告白されたの?」


「まー、そうだけど。断ったよ、俺には好きな人がいるって」


 少しだけ頬を赤くする杏里は可愛い。

そんな可愛い彼女が俺の恋人なのだ!


「その好きな人って……」


「杏里の事に決まってるだろ? さて、用件も終わったし、帰ろうか」


「うんっ」


 杏里と誰もいない階段を下りながら、文化祭の日を思い出す。

杏里のドレス姿も綺麗だったし、誓いのキスとかも……。


 あかん、何だか恥ずかしくなってきた。

つないだ手からも俺の熱が伝わっていたらどうしよう!


「俺はずっと杏里の事が好きだよ。死ぬまでずっとだ」


「うん……。私もずっと司君の事好きだから、私の事も好きでいてね」


 杏里の手を握り、杏里の方を見てみる。

階段の段差のせいか、ちょうど俺と同じくらいの背の高さになった杏里。

自然と杏里の顔が近づいてくる。いや、俺が近づいているのか?


 鼻と鼻がくっ付きそうになる。

あ、この雰囲気……。


「ゴホンッ! あー、んー」


 俺と杏里は光速で離れる。

え? 何? 誰?


「あー、お熱いのは良いけど、出来れば誰もいない所でしてほしいもんだな」


「高山。何してるの?」


「んー、何となく心配だったから階段下で待機していた。姫川さんが天童の後をこっそりついて行ったから、ここは親友として追わないとダメだろ?」


「ご、ごめんね。杏里が行った後に、高山君も追いかけて行ったので、その流れで私もこっそり来ちゃった……」


 杉本さんまで……。

あー、恥ずかしい!


「高山!」


「な、なんだよ」


「ボウリングは何人までできるんだ?」


「四人!」


「みんな、この後の予定は?」


「「ボウリング!」」


 話をすり替える。

真っ赤になった杏里も可愛いけど、このままだったらきっとゆでだこになだろう。


「杏里、ボウリングした事あるか?」


「あ、あるよ。アベレージで二百位だけど……」


 おっふ。何それ? 結構なハイスコアじゃないですか?


「杏里、ボウリングうまいんだね! 私なんて五十位だよ!」


 五十……。杉本さんはスポーツタイプじゃないからなー。


「っしゃ! じゃぁ、お互いにペアになった勝負だ! 負けた方がアイスおごり!」


 良いだろう。俺だってそれなりにできる!

杏里に良い所見せるぜ!


「良いだろう! 俺の腕を見せてやる!」


 毎日が楽しい。毎日色々な事がある。

全く同じ日はなく、その日はその日ににしか訪れない。


 だったらその日を楽しもう。

やりたい事、やらなければならない事。


 俺達はそれぞれの未来を描きながら、その日を過ごす。

たまには休む事もあるけれど、それでも一日一日を大切に過ごす。


 大切な人と、大切な仲間と。


「司君、アベレージどれくらい?」


「俺か? 聞いて驚け! 前回は三十だ!」


 ボウリング、うまくならないんだよねー。

何度練習しても。でも、杏里と一緒に、みんなと一緒のボウリングはきっと楽しい。


「ぷはぁー、天童へたくそ!」


「いいんだよ。その場が盛り上がれば! 今日は杉本さんに負けない!」


「私だって負けないからね!」


 今日も一日、ありがとう。

俺は毎日充実してます!


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― 新着の感想 ―
[一言] 司に告白してきた子萩原再登場あるなら一緒に再登場させたらどうだろう
[一言] ナルホド荻原じゃなくてホントの告白だったのね 修正前のやつ見て何故に荻原?しかも頭丸めるってwちゃんと反省してるのねって思ってた
[気になる点] 司に告白した女の子誰だろ? [一言] 高山いったいどこからチケット入手してるんだろ。
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