第301話 大団円
「……ということで、英雄は仲間たちの助けをかりて、見事、魔族を倒しましたとさ」
ベッドの上で金髪の男の子が眠そうに物語を聞いている。
「母さま、それ、本当に父さまのことなの? 父さまが剣の練習をされているのを見たことはないです」
母親はにっこりと微笑む。二児の母親になったというのに、その容貌は色あせるどころか、ますます輝くようだ。
「父さまはね。仲間を大切にしてきた方なの。誰に対しても誠実で、優しくて……」
「だから母様は父様と結婚したの?」
「そうよ。私から求婚したの」
「ええ?」
息子にとっては不思議なことばかりだった。隣で寝ていた赤毛の女の子が口を挟む。
「父さまは、いつも母さまに優しいよ」
二人が仲良くしている姿しか、女の子は見ていなかった。
「うん、我が家もそう。ぼくにするように、二人でいっつも顔を擦りつけてるよ。あ、ベタベタするのは母さまかな」
黒髪の男の子が少し恥ずかしそうに答える。整った顔立ちで緑色の瞳が輝いている。ゴート族の特徴だ。
「ええ? 家ではたまに電撃をくらってるけど……」
すると、母親は焦ったように「さ、もう寝る時間ですよ」と言って電気を消すのだった。
§
その頃、謁見の間ではレオンシュタインが歴史作家との会話を楽しんでいた。円形の煉瓦造りの謁見の間は、天井がフレスコ画になっており、五人の天使が一人の皇帝の周りを飛んでいる。ノイエラントに在住の画家が2年がかりで完成させた大作だった。
「レオンシュタインさまの物語を1冊の本にまとめたいのです」
頭を下げたまま、作家は話し続ける。
「私の人生なんて、そんなに面白いと思わないけどなあ」
周りの廷臣たちは慌てて頭を振る。十分すぎるほど、波瀾万丈だ。追放された伯爵家三男が仲間たちと共に魔族を倒し、帝国を築き、5人の絶世の美女を妻に迎える物語が、少年・少女文芸では大流行だ。それが現実に起こったことなのだから。
「分かりました。私の物語をどうか書いてください。して、作家殿。貴殿のお名前は?」
歴史作家はその場に立ち上がる。
「ちくわ天。と申します」
ノイエラント 「バイオリン無双~音色が領土をつくるまで~」
なろう版 「追放された貴族の三男。得意なバイオリンの音色が美人さんや有能配下を引きつけて、
気が ついたら巨大王国と大戦争をしてた件について」
完
最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました。
ちくわ天。2024.5.12
改稿版 2026.7.19
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星の数ほどの作品がある中、この作品の最終話を読んでいただき、
本当にありがとうございます <(_ _)>
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