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東方氷精異聞  作者: ゆっくりキラセス
壱章 紅霧異聞 紅き忠誠編
17/19

ーその瞳、暗い闇にて 2

 しばらく飛んでいると、

「霊夢さん、ちょっと降りてください!」

 メリーの一言に私と魔理沙は森の中に着地する。

「どうしたのメリー?」

「……もしかして。」

 メリーは歩き出し、ある場所で止まると手を伸ばした。

 その手が何かに触れたのか、波のように空間を歪ませ、そして……

「…どこかの内部ね。」

 その歪んで現れた空間の歪みの先には、紅い建物の壁や机、階段が見えた。

「…多分ですが、これ、あの紅い館の中じゃないでしょうか。」

「はあ!? マジかそれ!」

 魔理沙は驚き、ついで蓮子が首を入れて、

「…入れる! すごいよメリー!」

 引っこ抜いた蓮子はメリーを抱きしめてぴょんぴょん飛んだ。

 その力に魔理沙は私と同じことを思ったようで耳打ちしてきた。

「……これ、どう見ても『スキマ』だよな。かなり不味くないか?」

「……メリー。」

 私は確認のためにメリーを呼ぶ。

「…あなたってまさか『境界を操る程度の能力』を持ってたの?」

 もしそうならきっと、手に入れようとするものや排除しようとするものも現れかねない。だが、少し困ったような顔になったメリーは、

「いえ、私は普段、たまに『境界の境を見る程度』しかなかったんですが、なんとなく今なら入れそうな気がして。」

 すると蓮子も何かに気付いたのかもう一度隙間の中に顔を入れた。

「……私もだ。」

 蓮子は顔を引っ込めてこちらを半信半疑な目で向き、

「…月も星も見てないのにあの先が紅い館だって分かった。今までそんなことなかったのに。」

「おい霊夢、これってもしかしてさ。」

「……ええ、多分幻想郷の中で二人の本来ある力を引き出してるのかも。」

 かなりレアなケースだけど、たまに幻想入りする人間の中にはこう言った影響を受ける人間もいる。そして二人はすでに能力持ちだったこともあってさらに使いやすく変わったのかもしれない。

「…この二人でよかったわ。多分その力、使い方次第ではかなり悪用されると厄介そうね。」

「だな。例の男の件もそうどが、今は味方で心強いぜ。」

 とはいえ、流石に自由にさせるにはかなり危険なため、魔理沙とめくばせし、目を離さないように注意する。

「……さて、だったら行きましょうか、本拠地に。」

「あ、結局連れてくのか?」

 魔理沙は念のため聞いたけど、私が答えるより先に二人が口を開いた。

「ネツがいるかもしれないなら私は絶対ついていく! 彼は私達の大切な部員ですから!部長として絶対!」

「そうです。どこまで力になれるかわかりませんが、それでも巻き込んだのは私たちです。だから私たちが助けます!」

「……アイツはそんな柔な奴じゃないわ。」

「「それでも!!」」

 決意は固い二人に、私も魔理沙もお手上げだった。何より探し人を一緒に探しに行くと判断した地点で彼女たちを置いていく選択はもうできるわけもないのだけど。

「はあ……魔理沙、悪いけど二人を守りながら戦ってもらえる?」

「おいおい、お前も守れよ霊夢!」

「分かってるわよ全く……さ、行くわよ」

 決意を新たに、メリーが開けたスキマに私たちは飛び込んだ。

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