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東方氷精異聞  作者: ゆっくりキラセス
壱章 紅霧異聞 紅き忠誠編
15/19

良くて悪くて 3

「……さて、と。」


 人里を離れた俺たちは霧が濃くなる方角に進む。現状ヒントはそれしかないのだから。


「…それなりに濃いからか、ただの妖怪はほとんど離れているね。」


「それってかなりやばくないか? 俺たちの背後は人里だろ。」


「そこは大丈夫でしょう。ルーミア程度の実力がある妖怪が何名か人里の警護をしてたりします。何より本当に危険になれば鴉天狗や河童、紫さんもきっと動くはずですから。」


「紫、ねえ……」


 この異変に関してあの隙間はちゃんと動いているのか、現状不明。もしかしたらサボってるか寝てるなアイツ。


「…っと、意外と近かったな。」


 ようやく建物の屋根が見えてきた俺は、チルノを手招きする。




「……お、重い。」


「おー、空飛んでんぞー!」


 チルノに抱えられるようにして俺は上空に向かって飛んでいる。


「チルノちゃん、私も持つ?」


「へ、へへん!あたい一人でも、問題ないよ!」


「へー、力持ちなのだー。」


 1分前、ルーミアに煽られ一人で俺を持つと言ったチルノにルーミアはニヤリと『やってやった』と言いたげな笑みを浮かべていた。


「……にしても、アレは大変そうだな。」


「ああ、そうだな。」




 そんな俺たちは、大きくたたずむ赤い洋館を見つける。



「……なあ、アレかなりやばそうじゃね?」


「…ここの手前の湖、あたいの家あるんだけど………」


 先程チルノと合流した湖とは大きさが桁違いだが、やはりそれ以上に館が不気味に見えた。


「そっかー、じゃあご近所さんのよしみでお前苦情言ってこい。」


「落とすよねネツ。」


 そんな会話をしながら再び地面に降りる。流石に上空から向かうのも『落としてくれ』って言ってるようなモンだ。何より門の付近に人影も見えた。


「……さて、どうするか。」


「正面突破、しますか?」


「いやいや大ちゃん、流石に門を守ってるからには強いと思うよあの人。ひとまずまだ見つかってないうちに別の方法で入ろう。」


「……なら、ちょっと探すか。」


 と、俺は目を『凝らす』。ぐるりと、じっくりと。


「……あっちになんかあるな」


「はあ?真反対なのだ。」


「そうですよ。それじゃ遠回りです。」


 ルーミアと大妖精は否定する中、チルノはじっと俺を見て、


「……何か『見えた』んだね。」


 と聞いた。それに俺は頷く。


「…ルー、大ちゃん、行ってみようよ。」


「はあ?! 信じるのかー?」


「まあね。それに霊夢達だって動いてるだろうからあたいらが遅れてきたところで問題ないと思うし。」


「…まあ確かに、出来るだけ私は小物と戦いたくはないのだ。……今回だけ特別に従うのだ。」


「大ちゃんは?」


「……二人が納得しているのなら、私からはとくにないよ。」


「決まりだね。ネツ、行ってみよう。」


 意見がまとまり、俺たちは片道を一度戻ることとしたのだった。

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