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東方氷精異聞  作者: ゆっくりキラセス
壱章 紅霧異聞 紅き忠誠編
14/19

良くて悪くて 2

「……ま、ほぼ全滅か。」



 人里に着いた時、夜中とは言え人通りがなかった事に意外性もなく、こっそり民家を何件か覗いた。


 やはりというべきか、床に伏していた。多分まともに動ける状態じゃないのだろう。



「…さて、これからどうするネツ?」


「どうするって、乗り込むしかなくないか?」


 当たり前の質問に俺はそう答えた。


「おい正気なのかー? ただの人間が異変解決する気なのか?」


「そうですねよ、ここは博麗の巫女に任せて身を隠すべきです!」


 と大妖精と、意外なことにルーミアは反対した。


「まあそのほうがいいかもな。……だが、俺は行くね。」


「…君は人探しが先じゃなかったの?」


 確かに蓮子とメリーの心配は今もしている。だが、


「…大丈夫だ。よくよく考えたらあいつらって悪運強いんだよ。それよりこの紅い霧をどうにかしないとあいつらの身体に影響が出るかもしれない。そっちの方が急務だ。」


「……わかった。じゃあ行くかネツ。」


「ちょ、チルノちゃん本気なの!?」


 大妖精は焦ってチルノの腕を掴むが、その手にもう片方の手を乗せる。


「…大丈夫。ネツなら問題ないしあたいが着いていくんだ。問題ないよ。」


「でも!」


「……はー、乗っちゃった船、最後まで付き合うのだ」


 と今度はルーミアが賛同する。


「…それに、いい加減平和ボケした幻想郷にも退屈してたのだ。久々の弾幕ごっこ、楽しむのだ!」


「……はー、もう、分かりました!」


 と大妖精もお手上げとばかりに声を上げる。


「ですが、もしも危険な時は逃げてくださいね!妖精の私や妖怪のルーミアは簡単に死にませんから、あなたが庇う必要はありません。わかりましたね!」


 大妖精はそう念押ししたが、それを見てたチルノはぷっ、と笑う。


「…どうしたのチルノちゃん?」


「あーごめんごめん! 違うんだ、大ちゃんを笑ったわけじゃないんだ。ただネツの逃げについては問題ないよ。だってこいつ」


 くくっ、と笑いながらチルノはようやく笑みを見せながらいう。



「こいつ、5歳の頃にも迷い込んで、『八雲紫』から一週間逃げ切ったやつだから。」




 数十秒の沈黙ののち、二人の驚愕の叫びが轟いた。

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