ネッソと人形
青年視点です。
俺、ネッソが今回反乱軍に任された仕事は『混血姫』の救出だ。
数年前、俺達反乱軍のメンバーがあちこちに散らばる下町では、こんな噂が流れていた。
『現王家であるブラッドリー家には、王族でありながらもその身に人間の血を流す娘がいる。彼女は王の気紛れによって生かされ、生まれた瞬間から王城の何処かに幽閉され続けている』
(混血差別主義の王が身内に混血を飼っている?)
・・・あり得ないな。
噂を聞いた当時、俺や他の仲間達はその噂を全く信じず、鼻で笑った。
しかし最近になって、王族達の近くに潜む俺達の協力者によって、その噂は肯定された。
そして同時に、俺達の間で『混血姫』と呼ばれ始めた彼女が、俺達の仲間の混血達の比ではないほど非道な扱いを受けていることを知った。
俺達はそれからすぐ、彼女を救出するための計画を立て、王城に乗り込んだ。
ちょうど会議のために王城を訪れていた国の重鎮達を仲間達が襲っている間に、俺は単身で彼女が幽閉されているとされる最上階の隅の部屋に向かった。
しかし、俺がその狭い部屋で見つけたのは、扉に背を預けて項垂れている一体の美しい人形だった。
読んでくださり、ありがとうございました<(_ _*)>