彼女の表情と満足感
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部屋の扉の前に置かれた人形はとても神秘的で美しかった。
髪は緩くウェーブし、色素の薄い蒼。
顔は整っていて、かわいらしい造りになってはいるが、なにぶん表情がない。
街で売っている安物の人形でも、大抵何かしらの表情があるものだ。
(まぁ愛嬌があろうと無かろうと、奴なら愛でるために自宅に持ち帰ろうとするレベルだな。こりゃ・・・)
極度に美しいものを愛する仲間のことが脳裏を過り、苦笑する。
そして、何より美しいのは、人形の澄んだ水色の瞳。
まるで今にも動き出しそうな程本物じみていた。
そう考えていた次の瞬間、その目から頬に沿って一筋の涙が流れて行くのを俺は見逃さなかった。
本当に動き出した人形を目にして、俺は自分の正気を疑いながらも人形の次の動きを観察する。
そこからの人形、もとい彼女はよく動いた。
彼女は自身が涙を流していることに気付くと慌てたようで、乱暴に彼女が着ていたメイド服の袖で目元を拭いながら床から立ち上がる。
少し赤くなった目元から彼女が袖を離す時には、彼女の表情はすっかり元の通りに戻っていた。
俺は何故かそれが許せなくて、無意識に動く。
流れるような動きで外開きの窓を開き、半身を部屋に侵入させる。
そして、気づけば本能の促すままに声を発していた。
「あんたが『混血姫』か?」
と。
彼女は突然現れた俺に目を止めて、驚きで目を丸くする。
(・・・ほら、また心が戻ってきた)
俺は彼女の表情が再び戻ってきたことに満足して、そんなこと思った。
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