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人形少女の望み  作者: 無姫
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ネッソとエンキ

お久し振りです。

(ああ、こいつ天然だ・・・)


 気づいてしまった・・・。


 残念過ぎることに気づいてしまった・・・。


(今までこんな奴を警戒してた俺がバカみたいじゃねーか)


 いや、バカだな。


 俺は一人で納得した。


(とりあえず情報だけでも聞き出しておくか)


 こういうタイプには自分以外に興味のない奴が多い。


 敵である俺が情報を聞いたとしても、あっさり教えてくれそうだ。


 それに、この子は上司に言いつけることもなさそうに見える。


 それから俺は多少こちらの情報を開示することで彼女に話を聞いた。


 天然ぶりを発揮する彼女にこちらの情報を話す際、俺はまるで小さな子供を相手にしているようだった。


 まぁ、そんなことはどうでもいい。


 俺の予想した通り、彼女はあっさり情報をばらしてくれた。


 だが、問題は内容だ。


 彼女は『混血姫』がとっくの昔に死んでいると言った。


 その事実を知った俺は、衝動のままに彼女の服の襟に掴みかかる。


 そして怒鳴りつけた。


「なんで!あんたらがその人になんかしたのか?」


 それでも、彼女は特に表情を変えるでもなく答えた。


「いえ、あの方は子供を出産した時に・・・」


「こ、ども?」


 力なく呟き、彼女の首を締める力も弱くなる。


(嘘だろ?幽閉されていた姫に子供が?)


 予想していなかっただけに、驚きも大きかった。


 でも、ありえない話ではない。


(父親は王族の誰かか?)


 頭の隅でそんな疑問が浮かんだが、問題はそちらではない。


「じゃあ、その子供は?」


「・・・」


 彼女は黙ったままだったが、俺は続けた。


「子供がいるんなら、そいつも人間の血が入ってる。混血差別主義の純血共がうじゃうじゃいるここじゃ親の二の舞になる。そいつだけでも助けないと・・・」


 彼女の襟を掴んでいた手を今度は肩に移動させ、強く揺さぶる。


 父親が誰であったとしても関係ない。


『混血姫』の子供であることが問題なのだ。


「・・・」


 相変わらず彼女は黙ったままだったが、俺は訴え続ける。


「なぁ、そいつの居場所を教えてくれ!あんたは他の純血共とは違うんだろ?」


「・・・いやです」


 はっきりした声で言われ、途端に彼女の蒼がこちらを睨み着ける。


 人形のような無表情だった少女に睨みつけられ、俺は不覚にも一瞬固まってしまった。


 それでもすぐに我に返って、彼女を睨み返す。


「なぜ!!」


「他人の貴方に人の不幸を決めつける権利があるのですか?」


「なっ!?」


 思いもよらぬことを言われ、俺は口をつぐんだ。


 彼女は俺の手首を掴み、続ける。


「確かには幽閉され、不自由な思いをしていたのでしょう。ですが私は別にこの生活を不自由だとは思いません。毎日決まった時間に起きて働き、きちんと三食の食事を与えられ、睡眠の時間も与えられます。これの何が不自由なのでしょうか。たとえ多少の非道な扱いを受けたとしても、不自由という程ではありません」


 彼女は堂々と言った。


(こいつ、今なんて━━!?)


 動揺していた俺は彼女の左目を見て更に言葉を失った。


 右目と同じ空のような蒼だったはずのそれは、悪魔のような赤紫に変わっている。


 おそらく魔力が通ってそうなっているのだろうが、それが片方だけというのは俺の予想を肯定するには十分だ。


「・・・じゃあ、あんたが」


「・・・わかって頂けましたか?まぁ、たとえ不自由があったとしても、私がここを離れることは許されないのですがね」


 彼女は自嘲気味に笑った。


 彼女は意味のわからないことを最後に言っていた。


(許されない?そりゃ一体誰に━━)


 その時だった。


「よくわかっているじゃないか」


 まるでこちらを嘲笑うかのような不愉快な声だった。


 いつの間にか開いていた扉には、見覚えのある人物がすがっていた。


(エンキ・ブラッドリー・・・)


 現魔王の息子に、俺は眉を潜めた。

読んでくださり、ありがとうございました<(_ _*)>

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