第7話:調教(マニピュレート)
1. 深夜の密会
場所は志乃のプライベートマンション。酒の瓶が転がり、贅沢だがどこか虚無感が漂う部屋。
38歳の志乃は、議員という肩書きを持ちながら、虚勢を張ることでしか自分を保てない危うさを持っています。彼女の「男遊び」は、外資の傀儡として何も決められない自分への、空虚な代償行為でした。
そこへ、甥であるはずの九条新(32)が、アポなしで現れます。
2. 突きつけられた「リスト」
「……何よ、新。こんな夜中に。お金でも借りに来たの?」
志乃がグラスを傾けながら冷たく言い放ちます。しかし、新(佐野)は何も言わず、タブレットを彼女の前に置きます。
そこには、彼女がこれまで密会を重ねてきた「男たち」のリスト。
ただの遊び相手ではありません。アジア共同体の幹部、外資系コンサルの中枢、さらにはかつての敵対派閥の御曹司。
「なっ、これ……どこで……!」
3. 佐野源助の「声」
新は、32歳の甥としての顔を捨て、50歳の老練な政治家・佐野源助のトーンで話し始めます。
「志乃叔母さん。あなたの『趣味』を責めに来たわけじゃない。むしろ、その人脈の広さに感服している。……ただ、これだけのスキャンダルがあれば、あなたは一瞬で社会的抹殺を受ける。それどころか、あなたの家系は完全に潰れるだろう」
「……何が望みなの」
「『日本を救う聖女』になってもらう。 あなたはこれから、私の書くシナリオ通りに動くマリオネットだ。男を誘惑するその技術、人に入り込むその嗅覚……すべてを『地政学的な工作』に転用してもらう」
4. 恐怖から心服へ
新は、ドランプや自由民社と渡り合ったあの圧倒的な知略の一部を、志乃に見せつけます。
今、この世界の大国同士が、日本のどの利権を巡って対立しているか。どの男をどう動かせば、日本に有利な条件を引き出せるか。
「……あなた、本当に新なの?」
志乃は震えます。目の前の男は、血の繋がった甥ではない。何か、もっと巨大で、禍々(まがまが)しい「亡霊」のように見える。
「新でも佐野でも、どちらでもいい。……志乃。今の大国に媚びるだけの生活に、飽きていたんだろう? 私なら、あなたに『世界を手のひらで転がす悦び』を与えてあげられる」
新は、絶望していた志乃に、初めて「本当の力(権力)」という甘い蜜を舐めさせます。
志乃は新の足元に崩れ落ち、恐怖と、それ以上の「期待」に瞳を濡らしました。




