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悪役令嬢が溺愛エンドを迎えた世界に、魔法オタクが転生したら  作者: じうかえで
第一章 ヒロインらしくしなくてもいいよね?
33/67

33 湖のほとり①



***



 次の日は、屋敷でのんびり読書や魔法練習をした。カトリーアの魔法が上達したのを見て、殿下達が驚いていた。そんな彼らに、「私もやればできるのよ」とカトリーアが不満げに頬を膨らませていた。





 そしてさらに次の日には、ピクニックをしようということになった。屋敷から近いところに、湖のある森があるらしい。


 皆揃って、森への道をてくてくと歩く。数人の侍女や執事、殿下の護衛騎士も一緒だ。

 るんるんと嬉しそうにカトリーアが鼻歌を歌っている。そういえばこの子は、昨日の夜あたりから何故かテンションが高かったなと思い出す。よほど今日のピクニックが楽しみだったのだろうか。


「アリア楽しみにしててね! とっても綺麗で、きっと気に入るから!」

「同じような台詞をちょっと前にも聞いた気がするんだけど」

「でもなんだかんだ言いながらも楽しんでたじゃない。よかったでしょ、バートネット祭り」

「あのお祭りってそういう名前だったんだね」

「いいえ今つけたわ」


 しれっと言うカトリーアに、思わず「テキトーかい!」とツッコミを入れてしまった。


「まあでも、楽しかったことは認めるけど。前世に釣られてる感は否めないけど、また来ても、良い」

「もうっ、素直じゃないなあ。ストレートに『また来たい』って言えば良いのに」


 頭を撫でようと手を伸ばしてくるカトリーアから、横に後ずさって距離を置く。

 まったくこの人は、変なところでお姉ちゃんムーブをしてくる。妹と再会できて嬉しいからだろうか。だったらちょっと、嬉しいな。


「アリア嬢、荷物持つ。貸して」


 後ずさった私の手から、ユーリさまがすかさずバスケットを攫っていった。


「あ、ありがとうございます……」


 びっくりして、一瞬言葉が出てこなかった。あまりにスマートな動作に、心臓がまだドキドキしている。

 カトリーアが、目を見開いてユーリさまを見る私を見て、次に黙ったまま歩くユーリさまに視線を移し、くすくすと笑った。


「あっ、もうすぐ着くわよ!」


 一歩進むにつれて、カトリーアの声が高くなっていくのがわかる。相当興奮しているようだ。

 だが道の先には森の木があるだけで、湖らしきものはどこにも道からない。


「湖ってどこにあるの?」

「この先に曲がり角があるから、そこを過ぎればすぐ見えるわよ!」

「ほんと? 楽しみ!」


 そうこうしている間に、曲がり角まで来た、そして、角を曲がると。


「もしかして、あれ?」

「そう、あれが今日の目的地」


 森を抜け、開けた場所に出た私は、その美しさに目を見張った。

 緑色の森に囲まれた広場、その中央に位置する湖は、一言で表すとすれば『幻想的』という言葉がしっくりくる。


 茂る葉の隙間から漏れる太陽の光は筋となり、地面にちらちらと木漏れ日の粒を落としていた。その真ん中、大きな湖は青い空と森の木々を滲ませた湖面を風に揺らし、降り注ぐ光を受けてキラキラと輝いている。その透き通った輝きに、見ている者の心までもが洗われて透き通っていくような心地がした。


「きれい……」


 無意識に、言葉が口をついて出ていた。こんなに美しい光景は見たことがなかった。

 そんな私の呟きに、カトリーアはうふふと微笑む。


「そうでしょう。これを見せたかったの」

「連れてきてくれて、ありがとう」

「ええ」


 殿下達もその後ろに控えている侍女達も、護衛騎士ですら、その場の全員が森の中の湖に心を奪われていた。長い長い時間が過ぎたような気がした。

 やがて、沈黙を破ったのはカトリーアだった。


「さてと」


 そう言ってカトリーアは、後ろに控えていた侍女の一人、リンさんに声をかける。


「リン、いつもの場所に準備お願い」

「かしこまりました」


 リンさんはすたすたと歩き出した。手には平べったい袋を抱えている。「私もお手伝いいたします」と、ハンナを含めた数人の侍女やメイドが彼女の後を追って歩き出す。


「じゃあ皆さま、私達も向かいましょうか」


 カトリーアも、リンさんの向かった方向へ歩き出す。

 湖をぐるっと回るように歩き、また元の場所に戻ってきた時、そこには大きな布が三枚敷かれていた。ちょうど、ここにいる全員が座れるくらいの広さだ。


「……今の、歩く意味あった?」


 私の疑問にヘレンドさまがうんうんと頷く。


「カティ毎回これやるよなぁ。お祈り? 何かの宗教とか?」

「そういえばこれは何の意味があるんだ?」

「湖は全方向から楽しむのが一番綺麗なのよ。いろんなお花が見られて

楽しかったでしょう?」


 確かに、湖はかなり大きく、一周回るのに五分はかかった。道の脇に咲いている花も、種類は多かった。

 カトリーアはそんなことまで考えているのか、と感心する。流石、幼少期から街おこし事業に関わっていたご令嬢だ。周りをよく見ている。


 カトリーアは「よいしょ」と地面に広げられた布の上に座った。パステルカラーのギンガムチェックが、いかにもピクニックという雰囲気を醸し出している。


お読みいただきありがとうございます!

次話は明日18時に投稿します。更新通知が来るので、ぜひブックマーク登録をしてお待ちください!


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