表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Replicant_World 〜ようこそ! ゲームの世界へ!〜  作者: ねぎとろ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/66

29話 『とっておきは微妙?』

 ゴブリンの頭を撃ち抜き、まともに銃を握るのすら難しくなっていた私を急に巨大な影が覆いつくしている。


「はっ? まさか押し潰す気!?」


 立ち止まっている私が隙だらけだったのは認めるが、それにしたってここまで近くに来ていたのに気付かない程疲れているとは思わなかった。

 けれど、こいつらも私が殺したゴブリンたちを見ていたからこそ盾を使うことを考えたのだろうし、どうにか炎の斬撃を使わせないようにできたのは上出来だ。


 正直、今の場面で使われてたら被弾は免れないし。


「ちょっ、もう! 重すぎだって!」


 最初に一体のゴブリンが私へと盾を飛び跳ねてから押し付け、私はどうにか潰されないように耐えている。

 しかし、腕に力が入らない現状では足の力だけで耐えるほかないが、既に他のゴブリンが押さえつけられている私の事を更に両側から挟もうとしているのだから、どうにかしてでも抜け出すしかない。


「……はぁはぁ。なんとかなっちゃったよ」


 既に迫ってきているゴブリンたちは盾を構えていることもあって、倒すことは難しい。

 だからこそ私は、一瞬しか耐えられないのを承知で片腕を離し、盾の側面から上に居るゴブリンへと銃を向けた。

 その瞬間、死ぬことを恐れたのかゴブリンが盾の上から逃げ、盾は私が支えなくなったことで地面へと落ちていく。


 そうして自由になった私は両側から迫ってきていた盾を蹴り、空中で回転しながらゴブリンの頭を撃ち抜き、もう一体へは短剣を頭に投げて突き刺し、それを引き抜く事で対処する事が出来た。


 こんな動きは頭では想像できても実際に出来るとは思っておらず、上手くいったことに対してと、激しく動いた事でどうも動機が収まりそうにない。


 ただし、そんな私の状態などゴブリンたちにしてみれば知った事ではなく、むしろ息が切れている私は殺しやすいと考えたのだろう。

 だからこそ、私へと向けて奇声を発しながら突っ込んできているのだろうし。


「痺れが収まらないし、無茶するしかないか」


 手を何回か握り、握力もあまりないと理解したが、それでもこの体には鞭打って動いて貰わなきゃならない。

 それに、まだこいつらを片付けてもゴブリンキングが残っているのだ。貫通弾はゴブリンキング相手にも使うと思うし、ここはどうにか短剣だけで倒すのが望ましいだろう。


 勿論、未だ手を出してこないゴブリンのリーダーがそう簡単に倒されてくれるとは思えないけど。


「ふぅ、あのゴブリンが盾を捨ててくれなかったらちょっと危なかったかもしれないし、これは敵に感謝しないとね」


 奇声を発していたゴブリンの攻撃は酷く単調なものであったが、それでも鎧を着ている以上短剣で倒すのは難しい。

 とはいえ、近くには未だに転がっている盾があるわけで、それを利用すれば簡単だった。


 ゴブリンが横なぎに振ってきた瞬間に落ちている盾を蹴り上げて直撃させ、怯んだ隙に首を切り落とす。この短剣の切れ味が良かったからできた芸当ではあるが、ともかくこれで残りの取り巻きはリーダーであるゴブリンと、私を怖がったのか、焔ちゃんを狙っているゴブリンだけだ。


「ちょい! なんだこいつ!」

「ごめん! そっちに行かせちゃった!」

「大丈夫、これくらいならすぐに――」


 私が逃がしたゴブリンを一瞬で対処した焔ちゃんは、ゴブリンキングへと視線を戻そうとするけど、その時には既にゴブリンキングの持つ剣が振り下ろされていた。

 そして、そんな光景を目にしていた私は考える暇なくすぐに炸裂弾を撃ち放った。レベルを消費するだとか、反動がどうだとか一切考える暇なくだ。


 そうして、銃から放たれた炸裂弾は真っ直ぐにゴブリンキングの剣へと向かっていき、剣へと直撃するとともに激しい閃光と爆発音が鳴り響いた。

 閃光に一瞬目を奪われてしまったが、ゴブリンキングの叫び声が聞こえるし、どうにか攻撃を止めることは出来たといったところだろう。


「レベルを消費しちゃったし、さすがに威力は高いよね……?」


 攻撃を止められたのは良いとして、後はデメリットに対してのメリットが合っているかどうかだった。

 体力的には確かに減っているが、正直そこまで威力が高かったかと聞かれればそうでもないと思う。


 でも、炸裂弾の強みはどうやら威力じゃなかったみたい。


「武器を離して、悶えてる?」

「雫! 援護ありがとう! 私はこのまま追撃するね!」

「えっと、うん! よろしくね!」


 ゴブリンキングが何故悶えているのかは、その体を見れば一目瞭然だった。

 剣と炸裂弾がぶつかり合ったあの瞬間に、文字通り弾は炸裂し、ゴブリンキングの体は穴だらけになっている。

 それに加えて今も体内で炸裂しているらしく、体や口からは煙が出ていた。


 また、私が狙った相手にしか当たらないのか、或いはパーティーメンバーには当たらない様になっているのかは分からないけど、炸裂した弾は不自然にも焔ちゃんを避けている。

 まぁこんな危ない弾が仲間に当たったら殺しちゃうかもしれないし、こういう所はあくまでもゲーム的な要素なのだろう。


 でも、正直言ってこれがレベルを消費して使うのだとしたらあまり見合ってないと思う。

 今の私はレベルが下がってるからステータスは勿論下がっているし、ランダムなステータスが振り分けポイント分減ってしまっている。


 一切の反動もないし、使いたい時に瞬時に使えて弾速も速いけど、多分私は炸裂弾を、


「うーん。やっぱりピンチとか今みたいにすぐに助けたい時にしか使わないかなぁ」


 という結論に至ってしまった。

 もしかしたらこれから先威力どんどん強くなっていく可能性はあるけど、それでも基本的には使う事はないだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ