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Replicant_World 〜ようこそ! ゲームの世界へ!〜  作者: ねぎとろ


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16話 『不審な二人組』

 森へと入れないままに数日間が経過し、街ではダンジョンの情報や、一層のボス情報なんかがチャット機能によって飛び交っていた。

 チャット機能という存在には最初から気付いていたものの、あまり機能していなかった。

 それが、今はこうして離れた人との情報交換の為に使われている。


 それに、チャットにはオープンチャットとパーティーチャット、後はまだ使えないけどギルドチャットというのがある。

 が、少なくとも私たちが書き込むことは当分ないだろう。

 とはいえ、見ているだけでも時間が潰せるし、良い情報が手に入るから悪い機能ではない。


 ただ、中には嘘の情報を言ってる人も居るらしいからそこは気を付けないといけないけど……。


「雫! ユニークアイテムの情報だって!」

「ん? えーっと、一層の森の何処かにあるダンジョンにユニークアイテムが眠ってるらしい?」

「そうそれ! 探してみようよ!」

「いやいや、ユニークアイテムなんて皆欲しいだろうし、きっともう見つかっちゃてるよ。それに嘘だったらどうするの?」


 ダンジョンには条件を満たした上で出現し、一度しか攻略出来ないものと、時間で復活するダンジョンが存在する。

 当然、前者の方が良い物が手に入りやすく、この一層でもユニークアイテムには及ばないものの、何個かのダンジョンを攻略した人がオープンチャットで話しているのを見た事がある。

 ユニークアイテムに関しても私たちが見ていないだけで書き込まれたか、書き込まない人が先に取った可能性が高いと思ってしまう。


 ただ、噂が広まっている以上、是が非でも欲しい人が血眼になって探しているはずだ。

 もしも今も見つかっていないのなら余程条件が難しいか、見つけづらい場所にある。

 もしくはその両方ということになる。


 ……後はやっぱり嘘の情報という可能性もあるけど。


「えー! まだわかんないじゃん! 探そうよ~!」

「うーん。私たちってまだ森にあの日以降入れてないんだよ? もしも森中を探すのなら先に森に慣れないと難しいと思うかな」

「なら慣れるよ! もう怖くないもん!」


 張り切る焔ちゃんを他所に、私もそろそろ克服しないとなと密かに決意する。

 そうして、ひとまずは森に慣れてから嘘の可能性も考慮しつつ、探してみるという事に決定した。


 それからというもの、私たちはユニークアイテムを見つけるという目標を掲げながら、森での戦闘や木の実を取って食べてみたりと、森を怖い所ではないと思う様にしながら通っていき、一週間が経つ頃にはすっかり恐怖はなくなっていた。


 勿論ゴブリンやオークといったモンスターとも何度も戦い、トラウマを完全には消し去れないものの、充分戦えるようにはなっている。

 これならばもうユニークアイテムを探し始めても問題ないだろう。


 っと、そう思っていた時だった。


「ねぇねぇ君たち、もしかして君たちも噂で流れてるユニークアイテムを探しているのかい?」


 全く足音が聞こえなかった為に、不意に肩を叩かれて、声を掛けられてしまったのだ。

 それも、ニヤニヤとした男二人組に。


 肩を叩かれた事でビクッとしてしまった私は、咄嗟にその場から飛び跳ねるように逃げ、自分の残弾数を確認した。

 万が一にもこの二人組がプレイヤーキルを目的としているか、私たちを何かしらの目的の為に狙っているのなら、戦う必要があるかもしれないからだ。


「あの、私たちは別にそういうの探していないので、もう行って良いですか?」


 私が確認しているうちに、焔ちゃんが強気に返答した事で、男二人組は考えていた返答じゃなかったのか、少し考えるように黙り込んでしまった。


「それじゃ、私たちもう街に帰りますね。行こっ、雫」

「う、うん」


「ちょーっと待ってよ。ね? 俺たちもずっと話し相手がお互いしかいなくてさ、寂しかったんだよ。だから話し相手になってくれない?」


 一刻も早くこの場から立ち去りたかったが、無理矢理引き留めるように、歩き出していた私たちの腕を掴まれてしまった。

 これじゃあ逃げられない。


「ごめんごめん。そんなに嫌そうな顔しないでよ、ちょっと腕掴んだだけじゃん。なっ?」

「そうそう。別にやましい気持ちなんて俺たちにはこれっぽっちもないんだから、警戒なんてしないでよ」


 どんな言葉を言ってこようと、未だに離そうとしないその手が言葉の信憑性を失わせており、無意味でしかない。

 むしろ、より嫌な気持ちになるだけだ。


「やましい気持ちがないなら離してもらっても良いですか?」

「腕掴まれたままじゃ話なんて余計したくなくなるから、早く離してよ!」


 無理矢理振りほどこうと力を込めて振り回しても、一向に離そうとしないし、私たちの言葉に耳を貸そうともしない。

 最早これは明らかに普通の人ではなく、女の子を狙った変質者で間違いないだろう。

 ただ、そうと分かっても、相手の方が強かったらどうしようもないし、今はまだ下手に行動しない方がいいかもしれない。


「ちょっと俺たちのお願いを聞いてくれたらすぐ離してあげるからさ、今離したら逃げちゃうでしょ? ごめんね、それだけはさせられないから」

「じゃあ早く本題を言ってくれる?」


 強気に返答する焔ちゃんを気に入ったのか、男はより一層気持ち悪い顔をしながら目的を話し始めた。


「俺たちはさ、あのユニークアイテムを探している人っていうのを手助けしたいと思ってるんだよ。皆諦めきれないって感じだからな。それでだ、君たちもどうせだったらユニークアイテムが欲しいだろ? だったら一緒にパーティーを組まないか? 俺の相棒はこの森を知り尽くしてるからよ」


 私を掴む男は得意げに頷き、もう一人はまさか断らないよな? っといった感じで掴む手に力を込めているようだった。

 焔ちゃんは痛みで顔が歪みはじめているし、ここは私がひとまず応えた方がよさそうだ。

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